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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<新春特別編>ツール・ド・フランス2014を勝手に大予想! 優勝者、レース展開を占う 日本人選手の出場は?

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 サイクルロードレースファンの皆さん、新年あけましておめでとうございます! 世界各国で劇的なレースが数多く繰り広げられた2013年。そして、今年もさまざまなドラマが待ち受けているはずです。そこで今回は、どこよりも早く「ツール・ド・フランス2014」を展望してみたいと思います。筆者独断の“超勝手”大予想も展開。皆さんにとって、最高のサイクルイヤーとするための参考になれば幸いです!

第101回目のツール パヴェ、6つの頂上ゴール、総合争いはピレネーで勝負

 いま一度、第101回ツールのコースを確認しておこう。全長3656kmの3週間の旅は、イギリス・ヨークシャー地方のリーズで開幕。イギリスが開幕地となるのは、ロンドンでスタートした2007年以来。イギリス国内を南下しながら第3ステージまで進み、第4ステージからフランス本土へと舞台を移す。

ツール・ド・フランス2014 コースマップ ©A.S.O.ツール・ド・フランス2014 コースマップ ©A.S.O.

 序盤最大のポイントとなるのが、ベルギーのイープルからアーレンベルグ・ポルト・ドゥ・エノーまでの第5ステージ(156km)。4年ぶりにパヴェ(石畳)セクションが設けられ、その全長は15.4km。4年前のツール第3ステージでは、フランク・シュレク(当時チーム サクソバンク)が落車で鎖骨骨折。集団は次々に粉砕され、総合優勝候補の多くが後方に取り残される事態となった。今回も当時と同様、落車などをきっかけに地獄絵図となる可能性がある。

 6つ設けられる頂上ゴールは、第8ステージ(161km)以降に登場する。第11ステージからはアルプスに入り、第13ステージ(200km)のシャムルース、第14ステージ(177km)のリゾル峠という2つの頂上ゴールは中盤のハイライトに。

 3週目に入ると、第16ステージからの山岳3連戦が控える。第17ステージは125kmのうち40kmが上りとなり、高速山岳バトルは必至。第18ステージ(145km)はオーカタムの頂上を目指す。そして、第20ステージは、54kmの個人タイムトライアル。この長距離TTでは、王者の圧倒的な走りもあれば、まさかまさかの大逆転も大いにあり得る。

 そして、パリ・シャンゼリゼの最終ステージで感動的なフィナーレ。最終日前日まで、観る側も気の抜けない日々が続くことは間違いないだろう。

出場選手、チームは? ワイルドカードの行方にも注目

 出場選手については、各チームともに5月から6月にかけてのレースで9人のロースターを絞り込む。とはいえ、ビッグネームは現段階でツールまでの日数を逆算し、長期的視野で調整に臨むケースも少なくない。ここでは、出場意思を示している選手や、出場が期待される選手をピックアップしていきたい。

連覇に向けて、充実の戦力で挑むクリストファー・フルーム連覇に向けて、充実の戦力で挑むクリストファー・フルーム

 まずは総合争い。連覇のかかるクリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)は、「向こう7年間はツールの総合を狙う」と宣言。圧倒的な登坂力とTT能力を武器に、今年も優勝候補筆頭となる。スペインの自転車専門サイトでは、本番まで半年以上ある現時点で、ブラッドリー・ウィギンス(イギリス)ら7人のアシストがすでに“当確”しているとも報じられている。充実した戦力で、穴のないシフトを敷く。

 続くのは、昨年のジロ・デ・イタリア総合優勝のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)と、復権を目指すアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム ティンコフ・サクソ)。ニバリは山でのパンチ力とダウンヒルの速さが武器。アシストにミケーレ・スカルポーニ(イタリア)ら強力クライマーが揃うのも心強い。コンタドールは、アレルギーに苦しんだ2013年からの立て直しがポイント。こちらも山岳でのアタックなど、本来の決定力が戻ると俄然レースがおもしろくなる。昨年同様、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)、ニコラ・ロッシュ(アイルランド)らのアシスト陣を従える。

2013年のジロを制覇したニバリ。次はツールを狙う2013年のジロを制覇したニバリ。次はツールを狙う
王者返り咲きを目指すコンタドール(中央)王者返り咲きを目指すコンタドール(中央)

 世界チャンピオンの証、マイヨ・アルカンシエルでツールのスタートラインに立つルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)は、初の単独エース。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)は、昨年は1つのメカトラですべてを失ってしまった。今年こそ運を味方につけたい。ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)、バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリング)、ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)といった実力者も虎視眈々とチャンスをうかがう。

 若手有望株としては、昨年マイヨヴェール(新人賞)まであと一歩だったミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド)を筆頭に、ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル・ラモンディアル)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ.FR)らの名前が挙がる。

 終盤ステージまでスプリントチャンスがあることから、マイヨヴェール(ポイント賞)を争うスプリンターも、多くの参戦が見込まれる。

(左から)グライペル、キッテル、カヴェンディッシュ(左から)グライペル、キッテル、カヴェンディッシュ

 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリングチーム)、マルセル・キッテル(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ)の“BIG4”は、余程のことがない限り参戦するだろう。カヴェンディッシュは地元で迎える第1ステージに執念を燃やす。サガンは3年連続のマイヨヴェール獲得がかかる。

 ツール初出場が見込まれる若きフレンチスプリンターにも期待がかかる。いまやトップスプリンターの1人に成長したアルノー・デマール(FDJ.FR)、そしてデビューイヤーからブレイクした2年目のブライアン・コカール(チーム ヨーロッパカー)に注目したい。コカールはすでに出場意思を表しており、メンバー入りはチームのオーダー次第。

 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)は、パヴェステージに意欲的。同じくトル・フスホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)も2010年ツールに続くパヴェステージ制覇を狙う。TTステージの優勝候補筆頭、トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)、パヴェとTTをともに得意とするファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)らもステージ優勝を狙う。

 出場チームについては、第1ディビジョンの18チームは自動的に出場。第2ディビジョンのプロコンチネンタルチームから4チームがワイルドカード選出される見込みだ。

 現在、コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)、ブルターニュ・セシェ アンヴィロンマン(フランス)、IAMサイクリング(スイス)、チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)、コロンビア(コロンビア)、MTN・キュベカ(南アフリカ)、ユナイテッドヘルスケア プロサイクリングチーム(アメリカ)、この7チームがワイルドカード獲得に向けたロビー活動を行っている。

 このうち、コフィディスとブルターニュのフランスチームが最有力視されているほか、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)ら人気ライダーの獲得に成功したIAMサイクリングも選出が濃厚な情勢。なお、ワイルドカードの正式な発表は、春頃と見られている。

ツール2014はこうなる! 3週間の戦いを大予想

 ここからは、フランスを巡る3週間の戦いを予想してみようと思う。コースレイアウトが出揃っていないため、ステージごとの細かい予見は難しいが、ポイントを押さえながら展開を占っていきたい。筆者の希望的観測が強い点は何卒ご了承を。

コカールが勝つならば、新城のアシストからのスプリントとなる可能性は高いコカールが勝つならば、新城のアシストからのスプリントとなる可能性は高い

 まずは第1ステージ。ゴール地・ハロゲートは、母の故郷だというカヴェンディッシュが初のマイヨジョーヌ獲得に燃えることだろう。しかし、ここはコカールを推したい。初のツールでセンセーショナルなデビューを飾ると同時に、ホストライダーであるフランス人選手たちに大きな勇気を与えるのではないか。

 続く第2ステージ、細かなアップダウンが続く。最後の上りとなるゴール前5kmでアタックした10名弱のゴールスプリントに。ここで生き残ったサガンが勝利し、自身初のマイヨジョーヌに袖を通す。そして、第3、4ステージも危なげなくジャージを守る。

シャヴァネルはパヴェの難関ステージで勝利を狙うシャヴァネルはパヴェの難関ステージで勝利を狙う

 大会最初の難関、第5ステージのパヴェセクションで集団が大きく割れる。ステージ優勝狙いの選手たちから数十秒遅れの集団で総合系ライダーがゴール。2010年の経験が活きたコンタドール、充実のアシストに守られたフルーム、ニバリは同集団でこの日を終える。一方で、大きく遅れをとる有力選手もいることだろう。そして、このステージを制するのはシャヴァネル。初出場のIAMサイクリングに、大きな勝利とマイヨジョーヌをもたらす殊勲を挙げられるのは、この男だ。

バルギルも注目すべき新人の一人だバルギルも注目すべき新人の一人だ

 本格的な山岳がスタートする第8ステージ。ジェラールメ・ラ・モスレーヌの頂上ゴールを目指し、スカイ プロサイクリングがいよいよ動き出す。ウィギンス、リッチー・ポート(オーストラリア)らに解き放たれたフルームが先手を打ち、ステージ優勝。まずはマイヨジョーヌに袖を通す。ニバリ、コンタドールらも射程圏内でゴール。

 フランス革命記念日(7月14日)の第10ステージは、フレンチクライマーが主役に。フルーム、ニバリ、コンタドールに加え、ピノやワレン・バルギル(チーム アルゴス・シマノ)が意地を見せ、最後はバルギルが昨年のブエルタ・ア・エスパーニャに続くビッグレース勝利。

2013年は第5ステージで逃げに乗った新城。今年こそツール初勝利を目指す2013年は第5ステージで逃げに乗った新城。今年こそツール初勝利を目指す

 アルプスを走る第2週。アタッカー向きの第11ステージでいよいよ我らが新城幸也(チーム ヨーロッパカー)がエスケープ。メーン集団は逃げを容認。数名の争いを新城が制し、日本人初のツールステージ優勝。7月16日は歴史に残る1日となる。

 ほぼフラットとされる第12ステージは、カヴェンディッシュが勝利。第1週でも数勝を挙げ、この頃にはサガンとマイヨヴェールを争っていることだろう。

 アルプスでの重要な2日間、第13、14ステージはいずれもコンタドールのアタックをきっかけに、フルーム、ニバリを含む3選手がノーガードの打ち合いに。最後は底力を発揮したフルームに軍配が上がるか。続く第15ステージは、再びカヴェンディッシュが勝利し、第2週を終える。

 ピレネーに場所を移す第3週は、各選手が捨て身の攻撃を展開。ゴール前21.5kmが下りとなる第16ステージでは、逃げを容認しつつもメーン集団ではニバリのダウンヒルが炸裂。スカイ プロサイクリングのアシストが必死に追うも、ニバリがフルームとの差を縮めることに成功する。

 125kmと距離が短い第17ステージは、チーム ティンコフ・サクソが奇襲攻撃。逃げに次々とアシストを送り込み、コンタドールの発射態勢を整える。中盤にコンタドール自ら前を追い、アシストと合流すると何度もアタック。これに対応できるのはフルーム、バルベルデあたり。ニバリは少し苦しいステージとなる。

ニバリのキレのある下りアタックが炸裂するかニバリのキレのある下りアタックが炸裂するか
追う立場となれば、ティンコフ・サクソの奇襲攻撃が見られるだろう追う立場となれば、ティンコフ・サクソの奇襲攻撃が見られるだろう

 翌日の第18ステージ。まずは中盤のツールマレー峠の下りでニバリが攻撃。今度はアスタナ プロチームが奇襲戦法をとる。ライバルとのアドバンテージを得たままオータカムの上りに入ったニバリは、そのままフルームらに数十秒の差で先着。マイヨジョーヌは第8ステージ以降フルームのものだが、ニバリ、コンタドールも2分以内の差にとどめ、勝負は第20ステージの個人TTに委ねられることに。また、ピレネーで生き残ったスプリンターによる第19ステージは、脚を貯めながら第3週までを走り抜いてきたグライペルが勝利。

フルームはTTで圧倒的な力を発揮しそうだフルームはTTで圧倒的な力を発揮しそうだ

 第20ステージの54km個人タイムトライアル。前半にスタートするであろうフィニー、カンチェッラーラが次々と好タイムをマークするも、マイヨ・アルカンシエルを着るマルティンが本領発揮。ウィギンスもこのステージに賭けるが、マルティンのタイムには及ばない。そして、総合上位陣は一発逆転を狙ってスタート。そんな中、圧倒的な走りを見せるのは、やはりフルーム。ニバリ、コンタドールに1分以上の差をつける激走。ゴールタイムはマルティンに届かないものの、総合優勝には十分すぎるほどの走りで連覇を手中に収める。

 最終ステージ、シャンゼリゼ大通りのフィナーレを飾るスプリント。昨年キッテルの後塵を拝したカヴェンディッシュが雪辱。今年再結成するマーク・レンショー(オーストラリア)とのホットラインが完璧に機能し、マイヨヴェールに華を添えることに。

 …と、根拠もなく予想(いや、妄想か!?)を書かせてもらったが、いかがだろうか? きっと賛否あることだろう。皆さんもこの機会に、ぜひ予想をしてみてほしい。それでは、最後に4賞を予想して締めたいと思う。

マイヨジョーヌ(個人総合時間賞)
クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)
マイヨアポア(山岳賞)
クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)
マイヨブラン(新人賞)
ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド)

日本人選手出場の可能性は?

 「ツールに日本人選手が出場しないと夏を迎えられない!」なんてファンも多いことだろう。2014年、ツール出場の可能性があるのは、第1ディビジョンのチームに所属するに新城と別府史之(トレック ファクトリーレーシング)の2人。

ツール出場が決まれば、5年ぶりとなる別府ツール出場が決まれば、5年ぶりとなる別府

 4月に31歳となり、キャリアで最も脂が乗った時期に差し掛かっている“フミ”。慣れ親しむトレック社のバイクを繰り、新たなシーズンに向かう。まずは、春のクラシックまでにしっかりとアピールし、出場を熱望しているジロ・デ・イタリアでの活躍に期待だ。ツールは未定だが、出場とあればフランクとアンディのシュレク兄弟(ルクセンブルク)やカンチェッラーラを支える一員となる。

アシストだけでなく勝利も求められる立場の新城アシストだけでなく勝利も求められる立場の新城

 3年連続5回目のツール出場がかかる新城は、今ではチームに欠かせない存在。トマ・ヴォクレール、ピエール・ローラン(ともにフランス)といったチームの顔からも全幅の信頼を寄せられ、エースクラスの扱いを受ける。チーム ヨーロッパカーにとって、ツールはシーズン最大のターゲットレース。首脳陣がベストメンバー9名を揃えるとあれば、今年もツール出場は固い。また、チームは5年ぶりに第1ディビジョンへと復帰し、すべてのビッグレースへの出場が可能となった。ツールに限らず、ジロやブエルタ・ア・エスパーニャ、クラシックレースでも“ユキヤ”の熱い走りが見られるかもしれない。

 2014年シーズンは、1月19日スタートのツアー・ダウンアンダーで開幕。今年も、ひとつひとつの感動を心に刻み、サイクルロードレースの歴史の証人となりましょう!

文 福光俊介

福光俊介
福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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