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はらぺこサイクルキッチン<3>“改良版”カーボローディング 新しいメソッドで楽しみながら戦闘モードへ調整

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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 こんにちは、アスリートフード研究家のSayakoです。夫でありプロライダー池田祐樹(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)は、マウンテンバイクマラソンという長距離レースを得意としているので、スタミナが途中で切れることがないように食事面でサポートしています。連載3回目は、「カーボローディング」の名で知られている「グリコーゲンローディング」について、具体的なメニューとともに解説していきます。

◇            ◇

持久系パフォーマンスを高めるために

「シーオッタークラシック」(アメリカ)で疾走中のSayakoさんの夫、池田祐樹選手「シーオッタークラシック」(アメリカ)で疾走中のSayakoさんの夫、池田祐樹選手

 マウンテンバイクマラソンなど、2時間以上継続する持久系スポーツでは、「エネルギーをいかに身体に蓄えているか」が最後まで力を出し続けるための鍵となります。私達の最も大切なエネルギー源である糖質の多い食事を摂り、それと運動を組み合わせることによってグリコーゲン貯蔵量を増幅させる方法が、グリコーゲンローディングです。レース当日だけではなく、レースが近くなると意識して実践していきます。

 体に取り込まれた糖質は最終的に全てブドウ糖になり、血糖として全身の血液に送られ、エネルギーとして使われますが、余ったブドウ糖は肝臓や筋肉組織にグリコーゲンとして蓄えられます。アスリートにとってグリコーゲンの重要な働きは、運動を行う際のエネルギー源に、そして空腹時の血糖維持に利用される点です。肝臓・筋肉組織におけるグリコーゲンの貯蔵量は、訓練されているアスリートの方が一般の人に比べて多いといわれています。

新鮮野菜を地産地消! 食材探しも楽しむSayakoさん(中央)新鮮野菜を地産地消! 食材探しも楽しむSayakoさん(中央)

 グリコーゲンローディングの効果は科学的にも証明されていますが、実際に取り組んだ人の声をレース会場で聞くと、「レース途中にエネルギーが切れて実力を出し切れなかった」「無理に実践してレース前に風邪を引いてしまった」「ツラ過ぎて仕事にも支障が出そうだったので止めてしまった」というものも多くありました。

 これは、グリコーゲンローディングを実践して実力を出し切れなかった人の大半が、20年以上前からの“古典的な”方法だったというところに問題があります。「グリコーゲンローディングはツラいもの。それを乗り越えてこそ効果がある」と思っている方、そんなことはないんです。ここに改良された方法を紹介します。体調を崩すリスクもぐっと減りますので、ご参考にしてください。

古典的な方法

★特徴: 胃腸を痛める、風邪を引くなど体調を崩しやすい、意欲が低下するなどのリクスがある
 
大会6~4日前: 高たんぱく質・高脂肪・低脂質食+疲労困憊運動(オールアウト)
→主食(炭水化物など)や果物・甘いものをできるだけ摂らないようにし、肉や魚・芋類を除く野菜を多く摂る。食事と強度の高い運動で、体内のグリコーゲン量を一旦少なくする
 
大会3~1日前: 高糖質・低脂質
→主食(炭水化物など)や果物などの糖質を多くし、飢餓状態になった糖質を一気に取り込む。できるだけ脂質の少ない食品を摂る

改良された方法

★特徴: 体調が安定している、実施しやすい
 
大会6~4日前: 食事の50%は糖質食(普段は60%)+短時間の運動
→普通の食事に近いものでOK
 
大会3~1日前: 高糖質(70%)・低脂肪食+運動強度は中から軽度へ移行
→更に糖質を増やし、脂質は減らす

※個人差はあるものの、どちらの方法でもグリコーゲン量は筋肉中で約2~3倍、肝臓中で約2倍に増加することが分かっています。リスクが少ない“改良版”をおすすめします。

さぁ実践! カーボローディングのメニュー集

※メニューは全て左上から時計回りに記載。

<大会6~4日前のメニュー例>

◎プチトマト ◎ししゃも ◎卵焼き ◎りんご ◎乳酸菌が摂れる飲み物 ◎味噌汁 ◎21穀米 ◎キムチ

大会6~4日前のメニュー例

 ご飯はおかわりOK。果物も含め、糖質量は食事量の半分となるよう意識します。

 

<大会3~1日前のメニュー例>

 この時期の注意点として、レースが近づくにつれ消費エネルギー量を減少させるので体脂肪・体重の増加に気をつけましょう。グリコーゲンは筋肉内で水に溶けた状態になっているため、順調にグリコーゲンが増えると体重も増えます。適正なウエイトを越えてしまうと、スピードが落ちたり・自分の体重で登りが遅くなったりする恐れがあるので、食べ過ぎには要注意です。

◎海苔とエノキの味噌汁 ◎シーフードピラフ ◎塩ゆでブロッコリー&カッテージチーズ ◎プチトマト

大会3~1日前のメニュー例、その1

 

◎ササミと蓮根・水菜・プチトマトの照り焼き丼 ◎みかん ◎赤カブと昆布の浅漬け ◎白菜・白ネギの味噌汁

大会3~1日前のメニュー例、その2

 高糖質、低脂質の食事。ご飯はどんぶりにすると量が食べやすくなります。脂質の少ないササミは、酒と醤油麹に漬け、米粉をまぶして焼くと驚くほどジューシーに仕上がりますよ。

 

◎キャベツカッテージのサラダ ◎リンゴ4分の1 ◎砂肝塩焼き ◎蓮根ときのこのカレー

大会3~1日前のメニュー例、その3

 ボリュームがあるように見えますが、カレーは市販のルーは使わず油をほとんど使わないレシピです。また、カッテージチーズの脂肪分はクリームチーズの約8分の1。満足感はそのままに、体脂肪増加を防ぐメニューでモチベーションも維持しましょう!

実践するにあたって

 本格的なグリコーゲンローディングをレースに向けて行う場合は、改良された方法であっても事前に試して効果があるか、体調を崩さないかなどの確認を行うことが大切です。

 またレース前は、宿に宿泊するなど自炊ができない環境になることも多いですよね。食事を用意してくれる宿であれば、事前に食事内容を聞いたり「脂質の少ない食事は可能か」など相談できるとよいでしょう。トレーニング同様、それまでの積み重ねが水の泡とならないよう、最後まで抜かりなく。戦いはレース前にすでに始まっている…という気持ちで!

 ただし、せっかく貯蔵したグリコーゲンであっても、もちろん有限です。数時間で使い切ってしまいます。年々人気が増しているアイアンマンや100マイルのトレイルランニング、24時間耐久MTBレースなど、10時間以上に及ぶエクストリーム(極限)なレースには、体内脂肪を貯蔵する新たなメソッド「ファットローディング」という方法も考案されています。

 競技強度によって食事方法は異なりますが、どんな種目でも万全な状態で当日を迎えられるように、適切な方法を見つけたいですね。

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「ジュニア・アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。

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