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豊岡英子と田中苑子の欧州シクロクロス遠征記 2013-14<1>今年も始まったオンナ2人の欧州珍道中!? 怒涛の年末年始ベルギー連戦がスタート

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ワールドカップ、ナミュール大会を翌日に控えて。今年も三十路をすぎたオンナ2人、寒いベルギーを拠点に頑張りますワールドカップ、ナミュール大会を翌日に控えて。今年も三十路をすぎたオンナ2人、寒いベルギーを拠点に頑張ります

 今シーズンも豊岡英子選手(パナソニックレディース所属、通称“姫”)と私(フォトグラファー田中苑子、通称“チュー”)の欧州シクロクロス遠征が始まりました。昨シーズンの遠征と同じく、拠点となるのは世界中でもっともシクロクロス熱の高いベルギー。そのフランス国境に近いフランドル地方のズウェベヘムという小さな街に、2月の世界選手権まで滞在する予定です。

 レーススケジュールは概ね例年どおりですが、今シーズンは前回パスした、年明けのイタリア、ローマで開催されるワールドカップ第6戦にも参戦する予定です。そしてステイ先の向かいに住むランジット一家がいつも温かく豊岡選手のレース活動を全面的にバックアップしてくれます。

まずはランジットのガレージで、日本から持ってきたバイクの梱包を解き、組み立てましたまずはランジットのガレージで、日本から持ってきたバイクの梱包を解き、組み立てました
今年はランジットが手伝ってくれたので、スムースです今年はランジットが手伝ってくれたので、スムースです
ベルギーへの到着翌日、さっそく今後のレーススケジュールについてランジット家で話し合いましたベルギーへの到着翌日、さっそく今後のレーススケジュールについてランジット家で話し合いました


豊岡選手の遠征のレーススケジュール
12月22日 UCIワールドカップ#4・ナミュール(ベルギー)
12月26日 UCIワールドカップ#5・ゾルダー(ベルギー)
12月27日 Bポストバンクトロフィー・ルンハウト(C1、ベルギー)
12月29日 スーパープレステージ・ディーヘム(C1、ベルギー)
1月1日 Bポストバンクトロフィー・バール(C1、ベルギー)
1月5日 UCIワールドカップ#6・ローマ(イタリア)
1月13日 シクロクロス・オーテヘム(C2、ベルギー)
1月25日 UCIワールドカップ#7・ノメ(フランス)
2月1日 世界選手権(オランダ)

 今シーズンは昨シーズンまでと違い、豊岡選手はシーズン序盤にもベルギーに遠征し、ワールドカップ第1戦、第2戦と戦いました。その後、全日本選手権などのため約1カ月ほど日本に帰り、12月18日に再びベルギーに戻ってきた形になりました。もう拠点での生活やレース遠征は慣れたもの。拠点に到着したあとは恒例の買い出しに行き、12月21日に今回の遠征の初戦となるワールドカップ、ナミュール大会に向けて出発しました。

51選手が出走したワールドカップ第4戦、ナミュール大会。日本でこれだけ、トップクラスの女子選手が一斉にスタートする大会はない51選手が出走したワールドカップ第4戦、ナミュール大会。日本でこれだけ、トップクラスの女子選手が一斉にスタートする大会はない
レース前に集中する豊岡選手。UCIポイントにより、以前よりも前列でスタートできるようになったレース前に集中する豊岡選手。UCIポイントにより、以前よりも前列でスタートできるようになった
長い上り区間をバイクを担いで登る豊岡選手長い上り区間をバイクを担いで登る豊岡選手

 ワールドカップ、ナミュール大会は昨シーズンも遠征の初戦となった大会。細かいコースの変更はあるものの、概ねコースは同じでした。17世紀に造られたという丘の上の城塞の周囲に造られるコースは、アップダウンに富んだ非常にテクニカルもので、全7戦あるワールドカップのなかでも、とくに難易度の高いコースと言えるでしょう。さらに昨年は大会前からひどい雨が続き、レース当日はこれまでに経験がないような泥に覆われ、レース前に豊岡選手は「生きて帰れる気がしない…」と言っていたほどでした。

ナミュール大会、最大の難所である長いキャンバーの直線路ナミュール大会、最大の難所である長いキャンバーの直線路

 今年も天候は曇ったり、小雨が降ったりというベルギー特有のもの。しかし、昨年のような大雨にはならず、泥は泥なのですが、昨年よりだいぶ走りやすそうな印象でした。豊岡選手にとって、日本のレースとは大きく異なる厳しいコンディションではあるものの、これまでの経験もあり、落ち着いてスタート。大きなトラブルもなく、28位で無事に初戦を終えました。

 その豊岡選手、今年の全日本選手権では結果を残せませんでしたが、現在、日本人女子選手として唯一、本場のシクロクロスレースにフォーカスを当てて転戦しています。シクロクロス競技の頂点は2月1週目に開催される世界選手権ですが、この独特なシクロクロスの世界において、一連のレースに参戦し、大会主催者や選手、熱心なファンたちに受け入れられることはとても大事なことです。シーズンを通して欧州のトップレースで結果を出した選手こそが、本物の選手として受け入れられます。

 そして、世界選手権も重要ですが、トップ選手が同じように重視しているのが、これからの年末年始のレースシーズン。1月1日までたくさんのトップレースがベルギーやオランダで開催され、多くの選手が、ここにコンディションのピークを設定します。

遠征初戦を28位で終えた。難しいコースでのレースながら、好スタートを切ることができた遠征初戦を28位で終えた。難しいコースでのレースながら、好スタートを切ることができた
寒いなか、いつも素手でバイクを洗ってくれるランジット。彼のサポートには本当に頭が下がる思いです寒いなか、いつも素手でバイクを洗ってくれるランジット。彼のサポートには本当に頭が下がる思いです

チュー「いや〜、今年も始まったね!」

「ついにきましたね、コレ!!! 1年ぶりだ〜」

チュー「でも、遠征にも慣れてきて、ここまですごく順調に、ワールドカップに参戦できているのね。あ、でも姫、到着する日を1日間違えて伝えていて、1日早く着いたのにはビックリしたけど…」

「あ…それはゴメン!」

チュー「朝からノンストップで運転して、なんとか間に合ったから良かったよ。でもトラブルって言ったらそれくらいだもんね。慣れてきたときの不注意っていうのには気をつけないといけないけど、とりあえず無事に遠征のスタートが切れて本当に良かった。さっそくナミュールのワールドカップを走ったけど、印象はどう?」

ランジットの奥さん、エブリンも毎レース一緒に来てくれます。貴重な休日を使って手伝ってくれているランジット。じつは彼女の理解と協力なくしてはありえないことですランジットの奥さん、エブリンも毎レース一緒に来てくれます。貴重な休日を使って手伝ってくれているランジット。じつは彼女の理解と協力なくしてはありえないことです

「もう今シーズンで7年目の欧州遠征。もちろん走りも変わってきているんだけど、周りの環境も変わってきている。今日もワールドカップのコースを試走していて、ベルギーチーム監督のルディ・デビーが後ろからやってきて、『明日はスピードレースだよ、大丈夫?』なんて言ってくれる。本当に私を娘みたいに扱ってくれるようになって、毎レース、気にかけてくれているんだよね。ま、完璧に私のことを20代前半だと思っているみたいやな(笑)」

チュー「そうやって、トップチームの監督が気にかけてくれるなんて、すごいことだよね。トラックで待っていても、次から次へとよくわかんない人たちがポストカードもらいにくるしね。これまでに遠征を積み重ねて、しっかり走ってきた1つの成果だね」

私たちの到着を心待ちにしてくれていたランジットの息子、ジャスティン。豊岡選手のレースを手伝ってくれますが、最近は彼もレースに本格参戦しています私たちの到着を心待ちにしてくれていたランジットの息子、ジャスティン。豊岡選手のレースを手伝ってくれますが、最近は彼もレースに本格参戦しています
エブリンが泥で汚れた豊岡選手のヘルメットを丁寧に掃除してくれます。キメの細かいサポートを完璧にこなしますエブリンが泥で汚れた豊岡選手のヘルメットを丁寧に掃除してくれます。キメの細かいサポートを完璧にこなします

「やっぱり、シーズンのうちできるだけ長く、こっちで走るようにすると、色んなことがプラスの方向に変わってきていると思う。注目される存在になってきている」

チュー「うん、走りはもちろんのこと、日本人選手っていうのも注目されるし、なんといってもヘルメットが光っているからね(笑)。もちろんそれは姫の好みであるとは思うんだけど、人とは違う、目立ったことをするっていうのも、このシクロクロスの世界では受け入れられるポイントかも。ただひたすら前をめざし続ける猪突猛進の姿勢や、誰もが振り向くピンクのヒョウ柄ジャージ&デコヘルメットっていう派手なビジュアルは、7シーズン通してまったくブレてないしね」

「本当にレースを走っていると、アヤコ、アヤコ!ってみんな応援してくれるからね。この前のナミュールでも、ぜんぜん知らない子どもたちが私の名前を呼んで応援してくれていて!」

チュー「そういう応援は本当に嬉しいよね」

「せやな。観戦ポイントになっているすごい激下りで、転びそうになって、視界が転ぶ寸前まで傾いたんだけど、それでも転ばない。そんなときの歓声なんかは、快感だし」

ベルギーに到着して最初の夕食。ヨーロッパは野菜が安くて美味しいので、料理も楽しいですベルギーに到着して最初の夕食。ヨーロッパは野菜が安くて美味しいので、料理も楽しいです
豊岡選手の古いヘルメットがお気に入りのジャスティン。私たちとレースに行くのを本当に楽しみにしてくれています豊岡選手の古いヘルメットがお気に入りのジャスティン。私たちとレースに行くのを本当に楽しみにしてくれています

チュー「こっちのレースは観客と選手の一体感が本当にいいんだよね。レースの厳しさや一生懸命走っている選手を観客たちはよく知っている。そんな観客たちに受け入れられることって簡単なようで簡単ではないと思う。この世界に入り込んだからって、すぐに得られるものではなくて、やっぱりこれまで築いてきた姫のヨーロッパでのキャリアが表れているんだろうね」

「うん。彼らの歓声や期待に応えられるように、今シーズンもいい走りをしていきたいよ!」


 これから1月1日まで怒涛の連戦ウィークを迎えますが、豊岡選手の目標設定は、この1週間でしっかりと結果を出すこと、その先の世界選手権です。みなさん、応援よろしくお願いします!

(写真・文 田中苑子)

目に入った泥をゴール直後に洗い流す。選手達は過酷なレースコンディションに向き合い続ける目に入った泥をゴール直後に洗い流す。選手達は過酷なレースコンディションに向き合い続ける
ワールドカップ、ナミュール大会の試走を終えたあとのグローブとヘルメット。泥だらけのシクロクロス遠征が始まりますワールドカップ、ナミュール大会の試走を終えたあとのグローブとヘルメット。泥だらけのシクロクロス遠征が始まります
豊岡英子
豊岡英子(とよおか・あやこ)

1980年、大阪生まれ。トライアスロンを経て自転車競技の選手に。シクロクロスでは2005年~11年まで全日本選手権で7連覇を達成し、2012年は2位、2013年は4位。ヒョウ柄のウエアとバイク、キラキラのヘルメットなど華やかなビジュアルが彼女のトレードマーク。


田中苑子
田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。


 

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