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池田祐樹の「世界のトレイルから」 2013年末スペシャルリベンジのヒマラヤへトレーニング開始 2014年にチャレンジしたい世界のMTBレース<前編>

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「BCバイクレース」に参戦した池田祐樹選手(2012年)「BCバイクレース」に参戦した池田祐樹選手(2012年)

 マウンテンバイクをつうじて見える新しい世界、冒険、出会い、挑戦は、人生を豊かにする糧。そしてレースでは、楽しさと苦痛、喜びと葛藤、友情と競争、達成感と悔しさ…あらゆる感情が想起され、人生観を変えるほどの経験となる――。

 MTB競技で国内外の耐久・長距離レースに挑み続ける池田祐樹選手が、そんな経験をできる2014年のおすすめレース・イベントを、「世界のトレイルから」2013年末スペシャルとして全2回で紹介します。初回はネパールの「ヤックアタック」、カナダの「BCバイクレース」「シングルトラック6」です。

◇            ◇

最も過酷なMTBステージレース

ヤックアタック(Yak Attack)

 開催日: 2014年3月2日~14日
 開催国: ネパール
 公式ウェブサイト: http://theyakattack.com/yakattack.html

ヒマラヤの自然は非常に厳しいが、その美しさも格別 ©Jeff Kerkoveヒマラヤの自然は非常に厳しいが、その美しさも格別 ©Jeff Kerkove

 地球上で一番高い場所、ヒマラヤ山脈で行われるマウンテンバイクレース。最も過酷なステージレースとして知られ、全8ステージのコース総距離は400km、獲得標高は1万2000m以上にも及ぶ。特に「標高」「気温」「コース」の3要素のタフさは、聞くだけで挑戦者たちを身震いさせる。

 私自身、2013年のヤックアタックに挑戦したが、感染症によりコース上で気を失うなどして、ドクターストップで途中棄権に終わった。

2013年ヤックアタックでは感染症にかかり、ヒマラヤ山中で生死の境をさまよった2013年ヤックアタックでは感染症にかかり、ヒマラヤ山中で生死の境をさまよった
長いつり橋もコースの難所のひとつだ ©Jeff Kerkove長いつり橋もコースの難所のひとつだ ©Jeff Kerkove

■標高:
 コース最高地点「ソロングラ峠」は5416m。平地と比べるとたったの50%の酸素しかない。
■気温:
 最初の4ステージは30℃以上に上がることも珍しくない。そして、山岳エリアに入ると気温は急激に低下し、峠ではマイナス15℃まで下がる。
■コース:
 路面は岩、砂、川、吊り橋、泥、雪と変化に富み、チャンレンジングな作り。2014年は更にタフな設定となり、第2ステージは総距離86kmで獲得標高2700m、第4ステージは60kmでなんと獲得標高3200mだ。

 肉体と精神を極限まで追い込む過酷なレースだが、一方でネパールの美しい自然、独特の文化、そして人情に触れることができる。厳しいチャレンジに打ち勝てば、一生の思い出となる素晴らしい経験を得られることだろう。私の2014年ヤックアタックへの挑戦は、すでに始まっている。必ず最高の結果でフィニッシュラインを通過するという、確固たる目標を持ってトレーニングに励んでいる。

コースの最高標高地点・ソロングラ峠(5416m) ©Jeff Kerkoveコースの最高標高地点・ソロングラ峠(5416m) ©Jeff Kerkove

 

“ライダー本位”のレースや運営がキラリ

BCバイクレース(BC Bike Race)

 開催日: 2014年6月28日~7月5日
 開催国: カナダ・ブリティッシュコロンビア州
 公式ウェブサイト: http://www.bcbikerace.com/

ウィスラーステージのスタートラインに並ぶ選手ら ©BC Bike Raceウィスラーステージのスタートラインに並ぶ選手ら ©BC Bike Race

 近年のMTBステージレース人気の火付け役ともなった、毎年すぐに完売するほどの大人気レース(12月25日現在で完売まで残り8%)。2012年に参戦した際には、「MTBが心底好きだ!」と再認識させられるに至った。壮大な規模で展開されるレースの光景や、素晴らしい経験は、今でも鮮明に思い浮かべることができる。

 この7日間のBCバイクレースに参加するのは、毎年およそ500人。世界30カ国以上から集まった参加者は、距離335km、総獲得標高1万mにおよぶワールドクラスの手作りシングルトラックを楽しむ。1ステージ中に2カ所は、下り基調でテクニカルな「グラビティエンデューロ」のタイムトライアルセクションが設けられる。“レースの中にレースをつくる”という発想がユニークだ。グラビティエンデューロの表彰は、総合表彰とは別に毎日あり、リーダーは特別な緑のプレートをつけてレースができる。

マウンテンバイク天国と言われるBC州の大自然 ©BC Bike Raceマウンテンバイク天国と言われるBC州の大自然 ©BC Bike Race
エキサイティングなエンデューロセクションの入り口 ©BC Bike Raceエキサイティングなエンデューロセクションの入り口 ©BC Bike Race

 大半のレーサー達は、最低でも1週間以上仕事を休み、大金を費やして参加している。レースの運営側にも、やはりこの1週間のために仕事を休んで貢献している大会スタッフ、ボランティアの人たちがいる。辛苦を乗り越え、7日目のフィニッシュラインで笑うために走る。それにしてもなぜ、7日間もある過酷なレースが世界中のマウンテンバイカーをここまで魅了するのか?

 私を含めトップライダーたちは、もちろん順位も追うが、それはそれ。競い合いだけじゃない世界がここにはある。例えば、コース上のたくさんのボランティアはただそこにいるだけではなく、笑いを誘うために仮装をし、ベーコンを焼いて配りながらも大きな声援を投げかけてくれる。

 また、毎晩のレース後のミーティングでは、その日のコースで撮った映像と画像がハイライトビデオやスライドショーとして流される。これを見るだけで、選手たちの翌日へのモチベーションは大幅にアップするから不思議だ。毎日のくじ引きで当たる、シマノXTRホイール、フォックスフォーク、イーストングッズといった豪華景品も見逃せない。

ボランティアにより芸術的に並べられたテント村 ©BC Bike Raceボランティアにより芸術的に並べられたテント村 ©BC Bike Race
ジョージア海峡を大型フェリーって大移動 ©BC Bike Raceジョージア海峡を大型フェリーって大移動 ©BC Bike Race

 ボランティアは雨の中であっても、100を超える選手たちのテントの撤収・移動・設営を行ない、大会メカニックは毎晩ほぼ徹夜でバイクトラブルに対応してくれる。テント生活や移動は大変だが、そのストレスを最小限にするための徹底したサポートがあり、全てがライダーの立場から考えて作られている大会だと実感できた。大型フェリーでの移動も、大会の規模の大きさにときめくことができるポイントのひとつだ。

 2014年は、残念ながらMTBマラソン世界選手権と日程が重なっているので参戦できないが、また絶対に出場したい。

 

ノウハウを引き継いだ新生カナディアンレース

シングルトラック6 ~ライド・ザ・ウエスト~(Singletrack 6: RIDE THE WEST)

 開催日: 2014年7月26日~31日
 開催国: カナダ・アルバータ&ブリティッシュコロンビア州
 公式ウェブサイト: http://singletrack6.com/

 12年続き、2013年で終止符を打ったステージレース「トランズ・ロッキーズ・チャレンジ」が生まれ変わって誕生するのが、シングルトラック6だ。コースは、カナダのウェスタン・ローカルライダー・コミュニティが、ボランティアや地域の助けを得ながら、ライダーのために手塩にかけて作り上げたワールドクラスのシングルトラック・トレイルをメインに使用。長年の大会運営で培ったノウハウとハイスタンダードを受け継ぎながらも、新しいスパイスがたくさん盛り込まれている。

Goldenステージのダイナミックなトレイル ©Dave BestGoldenステージのダイナミックなトレイル ©Dave Best
カナダの代名詞ともいえるラダーセクション! ©Revelstoke Chamberカナダの代名詞ともいえるラダーセクション! ©Revelstoke Chamber

 ルートはなんと、毎年新しく変更される予定だという。2014年のルートは、MTB天国のアルバータとブリティッシュコロンビアの2州をまたぎ、Kananaskis、Nipika、Radium、Golden(2回)、Revelstokeの6カ所が舞台となる。クロスカントリーからエンデューロスタイルのダウンヒルまで多岐に渡り、楽しみながらチャレンジにもなる設定だ。

 この新レース開催のニュースを見た瞬間に「これは出たい!」と叫んだ。カナディアンのトレイルビルディングの技術の高さとMTBを楽しむ姿勢を知っているからだ。帯同するサポーターや家族のために、特別なプランやアトラクションが用意されているのも魅力的だ。6日間、極上のシングルトラックを思う存分ライドできることを想像すると、今から待ち遠しくて仕方がない。

池田祐樹池田祐樹(いけだ・ゆうき)

トピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、かつ日本人初の米国自転車連盟認定コーチ。MTB競技で国内外の耐久や長距離レースに挑戦している。2013年は、MTBマラソン「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・大滝」を制し2年連続「キング・オブ・王滝」獲得、米「ブレック・エピック」(6DAYデュオ)優勝。東京都在住。ブログ「Yuki’s Mountainbike Life

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