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つれづれイタリア~ノ<17>ブオン・ナターレ、メリー・クリスマス! 食い倒れの季節がやってきた――イタリアンスイーツはいかが?

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トレーニングキャンプでクリスマスツリーに並んで立つイヴァン・バッソ(2010年)トレーニングキャンプでクリスマスツリーに並んで立つイヴァン・バッソ(2010年)

 もうすぐクリスマスです。この時期になると、大人も子供もみんなワクワクします。街中はイルミネーションで彩られ、あちらこちらから讃美歌の優しい音色が聞こえてきます。残念ながらイタリアでもクリスマスは宗教的な行事から商業的な行事に変わりつつありますが、特別な雰囲気に包まれた街を歩くと、心が優しくなります。

 “日本のクリスマス”は、11月1日に始まり12月24日に終わります。カソリックの国で生まれた私からすると、とても不思議な光景です。25日のクリスマスの日がほとんど無視されていますから!

 イタリアではクリスマスの期間は12月8日「Giorno dell’Immacolata(無原罪の御宿りの日)」に始まり、この日から街のイルミネーションが点灯されます。終わりは1月6日「Epifania(公現祭の日)」、クライマックスは25日と元旦です。

ロードレーサーにとって残酷な時期

 イタリアのクリスマスで特徴的なのはまず、たくさん食べることです。全国各地にクリスマスにしか食べないごちそうがたくさん存在し、食べる量も並大抵ではありません。とにかく死ぬほど食べます。肉、パスタ、スイーツ、ワイン、スプマンテ、フルーツ…。

自宅のクリスマス飾りを見せるダミアーノ・クネゴ(2004年)自宅のクリスマス飾りを見せるダミアーノ・クネゴ(2004年)

 かつてクリスマスは、貧しい農民たちが唯一腹いっぱい食べられる時期でした。裕福な社会になった今でも、食い倒れの習慣は消えていません。

 3月のクラシックレースシーズンまでレースがほとんどなかった90年代ヨーロッパでは、クリスマスは選手たちにとっても羽根を伸ばして腹いっぱい食べられる時期でした。しかし現在ではワールドツアーカレンダーの多様化の影響で、1月にベストパフォーマンスを出さなければならない選手も多く、厳しいウエイトコントロールの中で、食事を制限しつづけなければなりません。他人の食べる姿を見て、悲しい思いをする人は多いはずです。

イタリア、クリスマススイーツめぐり

 クリスマスというと、やはりスイーツです。フランス、ベルサイユ宮殿を中心に生まれたおしゃれでクリーミーなお菓子と比べてイタリアのスイーツは割とワイルドで、クリスマスのスイーツも例外ではありません。極端に甘いか、固いか、それとも大きいか。ユニークなお菓子も多くあります。

 ここで、イタリアのもっとも代表的なクリスマススイーツを、プロロード選手たちの出身地に合わせて紹介していきます。

北部代表:永遠のライバル、パネットーネとパンドーロ

 イヴァン・バッソ(キャノンデール プロサイクリング)とダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ)がライバル関係にあるように、イタリアのクリスマスケーキのトップを争うのが、ミラノ生まれのパネットーネとヴェロナ生まれパンドーロです。

パネットーネパネットーネ
パンドーロパンドーロ

 両方とも重さ1㎏を超える巨大なシフォンケーキのようなもので、前者は多くのバターとドライフルーツが入り、後者はブリオッシュのような柔らかい食感に卵とバニラの爽やかな味わいが特徴的です。戦後、テレビコマーシャルの影響でクリスマスの新定番となり、今では全国的に食べられています。パネットーネ、パンドーロともに“カロリー爆弾”のようなものです。パネットーネの場合、100g当たり350~450kcalにもなります。
 
ただ、王者はやはりパネットーネです。12月5日ミラノ商工会が発表したデータによると、2013年末に予想されているパネットーネの売り上げは5億ユーロ以上(約700億円)に上ります。値段が5~10ユーロだとすると、1億個が生産されていることを意味します。

中部代表:個性のある固いスイーツ

 中部のクリスマススイーツは、ユニークで固い! 私もびっくりするほどです。
 
ミケーレ・スカルポーニ(2014年シーズンよりアスタナ プロチーム)出身の東の地域では「pizza di Natale(クリスマスのピザ)」という、クルミ、レーズン、砂糖がたっぷりのオリーブオイルをトッピングしたピザを食べます。
 
一方、パオロ・ベッティーニ(自転車競技イタリア代表監督)が住んでいる西の地域、トスカーナ州では「パンフォルテ」という固いケーキ。アーモンドとナツメグ、コショウ、クローブといったスパイスが入って、かなり癖のある味。

南部代表:油、万々歳!

 イタリア南部のクリスマススイーツの特徴は揚げ菓子です。とにかく油を使います。アルベルト・コンタドールの元チームメイト、現在ニバリのアシストであるパオロ・ティラロンゴ(アスタナ プロチーム)の出身地では「プルチェッドゥツィ」という蜂蜜がどっぷり入っているボール型ドーナツが好まれています。ナポリでも揚げ菓子、南へ行けばとにかく油ものが増えます。

離島代表:入れ歯が壊れるほど固いお菓子

ソフト・トッローネソフト・トッローネ

 イタリアの離島たち、サルデーニャ島とシチリア島に行くと、さらにユニークなお菓子が登場します。シチリアと言えば、今年のジロを総合優勝したヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ プロチーム)と大活躍したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(モビスター)。この2人の出身地で食べられるスイーツ「トッローネ」は、卵白、蜂蜜、砂糖、アーモンドを固めて作ったケーキで、石のように固くお年寄りには厳しいスイーツです。ハンマーを使って細かく割ってから、口の中で砕きます。しかし、最近「ソフト・トッローネ」ができて、やっと噛めるようになりました。

 リストはまだまだ続きますが、血糖値が上がりましたのでここでやめにします。

◇      ◇

 1年はあっという間に過ぎましたが、スプマンテを片手にみなさまに「Buon Natale e Felice Anno nuovo(メリー・クリスマスとハッピーニューイヤー)」! 連載「つれづれイタリア~ノ」と「Cyclist」をこれからもよろしくお願いします。また来年、ここで会いましょう。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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