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栗村修の“輪”生相談<12>30代男性「実業団(E3)で昇格するための効率の良い練習メニューは?」

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 お聞きしたいのは、トレーニングメニューです。

 私は普段、交代勤務をしており、また家に帰れば2児の父で子守りもしなければいけません。具体的には、勤務日は朝、自転車で出勤し、そのまま24時間の勤務。翌日の朝、勤務が明けた後そのまま1~2時間のロードトレーニングを実施し、昼前には帰宅。その後子守り&家族サービスといった感じです。普通の人の土日にあたる週休日もあるのですが、必ずしも土日に重なる訳ではないので、どうしても1人で練習する機会が多いです。

 このような日課の中、特に2日に1回の勤務明け1~2時間を使った効率の良い練習メニューについてご教授いただけたらと思います。なお、実業団(E3)登録者で、来年こそは昇格をと思っています。

(30代男性)

 24時間勤務ですか!? ハードな生活ですね…。お体は大丈夫ですか?

 まず、これは僕が著書などでずっと強調してきたことでもあるのですが、トレーニングは「質」が重要です。質の高いトレーニングとは、高いモチベーションを背景に、楽しく、集中して行えるトレーニングのことです。

 トレーニングには、「正のトレーニング」と「負のトレーニング」とがあるんです。最近乗りはじめたばかり、という人はともかく、質問者さんのようにある程度以上のレベルで走っている方の場合、負のトレーニングをするとマイナスですらあるんです。プロでも、どうも最近ぱっとしない選手、というのが少なからずいますよね。彼らは決してさぼっているわけじゃありません。毎日乗っているはずです。でも、負のトレーニングになってしまっています。

良質な睡眠もトレーニングのうち良質な睡眠もトレーニングのうち

 質の低いトレーニングは負の効果を生みます。体がくたくたの状態で、あるいはやる気がない状態で無理やり自転車に乗ってもマイナス方向にしかいかないんですね。

 トレーニングは、いわば体の破壊です。破壊した体を再建することで破壊以前より強くするのです。したがって、体を休ませるところまでがトレーニングなんです。心肺機能や筋力の強化は、回復の過程で起こるからです。ちゃんと休まなければ意味がありません。

 また、テクニックの向上やフォームの最適化もトレーニングの目的ですが、モチベーションが低い状態では、おのずからフォームも乱れるでしょう。心拍数やパワーを指標にしたトレーニングメニューがあったとしても「やればいいんでしょ、やれば」という感じになりがちです。

 こういう負のトレーニングを重ねていると、フィジカルの伸びは鈍り、フォームは非効率的になります。遅くなることすらあるかもしれません。逆に、十分に休んだ体と高いモチベーションで臨むのが正のトレーニングです。こちらを目指さないといけません。

 24時間勤務の後にトレーニング、その後も休めずにお子さんの世話、となると、正直、正のトレーニングを行うのは簡単ではないのではないでしょうか。心身ともにかなり疲れてしまってはいませんか? ご自身の心と体をよくモニタリングしてみてください。そのレーサーがどれだけ練習するか(できるか)というのは、心身の状態によって決まると思います。質問者さんご自身にしかわからないはずです。

実際のレースを想定してメニューを組み立てよう実際のレースを想定してメニューを組み立てよう

 練習メニューですが、これまた僕が本などで言い続けていることですが、トレーニングとは、本番のレースで予想される状況への「順応」です。目標とするレースが高強度短時間ならば高強度短時間の練習、中強度長時間ならば中強度長時間の練習がよいでしょう。

 その上で、たとえばゴールがスプリントになりそうならばスプリントの練習、上りで勝負が決まりそうならば上りの練習も加える、といった具合に目標から逆算してください。

 E3ならばレース時間は短めですよね。その分強度は高いと予測されます。どちらかというと、短時間高強度の練習がいいでしょう。

 また、おひとりでの練習が多いとのことですが、テクニックやマナーなど、集団で走らなければ身につかないものも多くあります。週に1回はお仲間との練習をしたほうがいいと思います。

 いずれにしても、練習が正のものであることが大前提です。質問者さんのトレーナーは質問者さんご自身です。自らの心身の観察を欠かさないようにしてくださいね。

(編集 佐藤喬/写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 プロ・ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」監督。レース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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