来日特別インタビュー「クロノバイク」に宿るFESTINAの神髄 ゼネラルマネージャーが語るツール・ド・フランスへの情熱

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「クロノバイク2013 ブラック リミテッドエディション」「クロノバイク2013 ブラック リミテッドエディション」

 サイクルロードレースをモチーフにした腕時計「クロノバイク」をはじめとする「FESTINA」(フェスティナ)のコレクションが今夏、日本に本格上陸した。フェスティナが「ツール・ド・フランス」の公式タイムキーパーを務めて今年で21年。このほどプロモーションのために来日したゼネラルマネージャーのマノン・コロンビス(Manon Colombies)さんと、輸出担当マネージャーのジェイソン・リー・ニューマン(Jason Lee Newman)さんにCyclistがインタビューし、ロードレースを支え続けるフェスティナのこだわりと情熱、そして製品に込められた思いを聞いた。(聞き手 柄沢亜希)

FESTINA 販売サイト (産経netShop)

「ロードレースの戦略は、企業活動そのもの」

フェスティナのコロンビスGM(左)とニューマンさん(木山久男撮影)フェスティナのコロンビスGM(左)とニューマンさん(木山久男撮影)

 フェスティナがサイクルロードレースへ情熱を傾ける理由について、コロンビスさんは開口一番、「オーナーがファンだから」と笑った。もちろん、それだけではない。ロードレースという競技の特性に触れ、「戦略的なところがオーナーのスタイルと合っている」と分析した。

 ニューマンさんは、ロードレースの先頭や集団内で展開されるさまざまな戦術や、ツール・ド・フランスを頂点とするロードレース・シーズンへの取り組みに注目し、「ひとつの勝利のためにトレーニングを積み重ね、犠牲をはらうというチームスポーツは、まさに企業活動そのもの」と、フェスティナの企業姿勢に通ずる点を表した。

マノン・コロンビスさん(木山久男撮影)マノン・コロンビスさん(木山久男撮影)

 フランス出身のコロンビスさんと、イギリス出身のニューマンさんにとって、サイクルロードレース、中でもツール・ド・フランスは特別だ。

 生まれ故郷の仏南部カルカソンヌ市には、これまで7回のツール・ド・フランスが訪れたというコロンビスさん。2014年には第2休息日と第16ステージスタート地点にもなっている。「私自身、故郷ではツール・ド・フランスを3回迎えたわ」と話す様子は誇らしげだ。

 「あなたは実際にツール・ド・フランスを見たことがあるの?」

 記者が「残念ながらまだ経験がない」と告げると、コロンビスさんは驚いた様子で「絶対に来るべき! テレビで観るのとはまったく違うわ。もう素晴らしくて、本当に信じられないの。わずか数時間で町の中に“町”ができる様子も見られるし、フランスの魅力を堪能できるのだから。来年のツール休息日のパーティーなんて、もう準備を始めているところよ…」。息継ぐ間もなく、情熱的な言葉で、コロンビスさんはツールの魅力を語り続けた。

 一方、イギリスは、2014年のツール・ド・フランスで“グランデパール”(開幕地)となる。また、フェスティナは近年、「ツアー・オブ・ブリテン」のスポンサーにもなっている。ニューマンさんは「グランツールで勝利を収めるイギリス選手が出てきたことで、自転車文化が盛り上がり、サイクリングがファッショナブルだとみなされるようになった」と解説する。

 さらに、「3年前からイギリスでフェスティナの腕時計の販売も始まり、自転車にまつわるいろいろな動きが巻き起こっている。2014年はフェスティナブランドにとって最高の年になるだろう」とニューマンさん。仕事のアピールも交えつつ、喜びと興奮を抑えきれない様子だった。

ツール・ド・フランスのスタートやゴールを21年間タイムキーパーとして見守ってきた(2013年)ツール・ド・フランスのスタートやゴールを21年間タイムキーパーとして見守ってきた(2013年)

 ツール・ド・フランスは、フェスティナのPR戦略にも欠かせない。例えば、フェスティナがイメージキャラクターに起用している元プロロードレース選手のリシャール・ヴィランクは、スポーツチャンネルでツール・ド・フランス中継のコメンテーターも務めており、その中継はおよそ50カ国に放送されるのだという。こうした自転車文化の波及効果は、フェスティナの認知度を広めたり、イメージを向上させたりするためにも「極めて重要」だとニューマンさんは強調した。

 フェスティナがツール・ド・フランスのタイムキーパーを長年務めてきた要因として、ツールの運営会社であるASO(アモリ・スポル・オルガニザシオン)社との良好な関係も挙げられる。コロンビスさんは、「ASOとはいい関係。さらに数年は確実に(支援を)続けていく」と今後への意気込みを示した。苦労することはないか聞いてみると、ニューマンさんは「ASOによる運営は、見てのとおり何も問題がない。まるで油の行き渡った完璧なエンジンだ」と称えた。

“サイクルセーフティ”分野もスポンサー

ジェイソン・リー・ニューマンさん(木山久男撮影)ジェイソン・リー・ニューマンさん(木山久男撮影)

 自転車の利点は、「サイクルスポーツに限らず、手軽に購入して自分流に楽しめること」とニューマンさん。「お金持ちであろうとなかろうと、性別や年齢にも関係なく、すべての人にオープンなんだ」

 フェスティナが拠点を置くスペインでは、ここ数年で新たに自転車通勤ブームがきているという。ニューマンさんは「(フェスティナの)社員にも自転車通勤者はたくさんいる。街中の移動手段として、オランダやドイツのように自転車を使うことが“トレンド”として認識され始めたと感じる」という。「社内にも、毎週サイクリングを楽しんでいるチームがあるんだ。もちろんサッカーチームもあるんだけどね」

 記者は、イギリスなどで盛り上がりをみせる“バイクカフェ”を引き合いに、「フェスティナ・カフェといったスペースを作る構想はありますか」と質問してみた。ニューマンさんは、「製品は小売店を通じて販売するので、フェスティナが直接、カフェを開くことはなかなか難しい。だけど、サイクリストとカフェのつながりが深いことはよくわかる。街のカフェに行ったら、それぞれバイクを持った50人くらいのサイクリストに占拠されていたこともあったよ」と、身近な場所で体験したサイクリングブームを笑顔で紹介してくれた。

 ただし、盛り上がりをみせる一方で事故も多発している。ロンドンでは今年11月だけでも11人が自転車事故で亡くなったという。フェスティナでは最近、自転車の安全面でのサポートにも取り組み始めたという。

 環境に優しい乗り物として自転車が注目を集めているメキシコシティでは、「サイクルセーフティ」のためのプログラムをスポンサー開始。街中を安全に走ることの重要性を知ってもらう絶好の機会として、積極的に推進したいとしている。

「自信を持って身につけてほしい」ウォッチ、クロノバイク

 コロンビスさんが「2013年のデザインは特に重要視した」という「クロノバイク」は、フェスティナブランドで12年も続いているコレクションだ。今年は、ツール・ド・フランス100回大会を記念して「クロノバイク2013 ブラック リミテッドエディション」も発売された。

 これまでのコレクションとの違いは、ラバーとメタルの融合と、ケースの小型化。「ラバーをうまく配したことで、ベルトサイドのチェーンリンクデザインがよく映える。また小型化は、今年の流れではあるけれど、(スリムな)サイクリストにとっても見逃せないポイント。リシャール・ヴィランクの現役時代なんて体重が今よりも20~30kg軽かったと話してくれたよ」と語るニューマンさん。すると「(リシャールは)今、ようやく標準体型になったのよ」と、コロンビスさんがすかさず女性目線でフォローした。

「Festina クロノバイク2013 シリコン・ポリウレタン」「Festina クロノバイク2013 シリコン・ポリウレタン」

 コロンビスさんはまた、「大柄な人が多い北ヨーロッパや、小柄な人が多いスペイン、日本など92カ国で販売をしている」として、インターナショナルなブランドであるがゆえに、身に付ける人の体格の違いも考慮したデザインである点をアピールした。

フェスティナのコロンビスGM(左)とニューマンさん(木山久男撮影)

 GPS機能などのついたハイテクウォッチを展開する可能性について問うと、「フェスティナでやるつもりはない」ときっぱり。コロンビスさんは、「各ブランドがそれぞれの得意分野で展開している。テクニカルになり過ぎると、また違うビジネス分野になってしまう」と、ブランドイメージや経営方針の観点からコメントし、ニューマンさんは「サイクリスト向けにしろ、ほかのスポーツにしろ、ハイテクウォッチはニッチな市場。フェスティナのウォッチはサイクリングと強く結びついているものの、伝統的な時計屋で販売するスタイルだ。サイクリング機能だけに特化した製品は作ることができない」と、販売戦略面での事情を明かした。

 ラバーを巧みに取り込んだスポーティーデザインでありながら、ラグジュアリーさを保つクロノバイクは、フェスティナのアイデンティティが凝縮された製品と言える。ニューマンさんは、「高級スーツでも蛍光ジャージでも、ビシッとキメた格好に合わせ、いつでも自信を持って身につけてほしい」と“着こなし方”をアドバイスしてくれた。

FESTINA 販売サイト (産経netShop)


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