title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<41>ヨーロッパカーがワールドツアーライセンス獲得! オメガファルマは大型補強に成功 2014シーズン展望

  • 一覧
チーム ヨーロッパカーが、ワールドツアーライセンスを獲得した(ツール・ド・フランス2013)チーム ヨーロッパカーが、ワールドツアーライセンスを獲得した(ツール・ド・フランス2013)

 前回からスタートした、有力チームの2014年シーズン展望。今回は、タレント揃いの「オメガファルマ・クイックステップ」をピックアップ。これまでのクラシック主眼の展開から、新たな領域へと向かうチームの動向を追ってみます。また、10日に発表された、2014年シーズンのライセンス獲得チームについても速報します。新城幸也が所属するチーム ヨーロッパカーは、5年ぶりとなるトップカテゴリー復帰が決定しました。

ウラン加入で総合力アップ ツール第1ステージに賭けるカヴェンディッシュ

 まずはエーススプリンター、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を押さえておきたい。この冬は2016年リオデジャネイロ五輪を見据え、トラック参戦を希望していたが、ゼネラルマネージャーのパトリック・ルフェヴェル氏が許可せず。来シーズンに向け、ロードトレーニングに集中する。

第5、13ステージで勝利したカヴェンディッシュ。来季こそ初日の勝利を狙う(ツール・ド・フランス2013)第5、13ステージで勝利したカヴェンディッシュ。来季こそ初日の勝利を狙う(ツール・ド・フランス2013)

 2009年に続く2度目の制覇を狙っていたミラノ~サンレモは、コース変更に伴いスプリンターにとっては難しいレイアウトに。「ルートが変わらない限り、二度と出場しない」と宣言。目下のねらいは、ツール・ド・フランス第1ステージに。ゴール地点のハロゲートは、彼の母親の故郷近くであり、スプリンター向けのこのステージを制すれば、自身初のマイヨジョーヌ獲得となる。そのほか、ジロ・デ・イタリアにも参戦を希望しており、2014年はグランツールがメーンとなりそうだ。

別のチームで2年を過ごしたカヴェンディッシュ(左)とレンショーが再びトレインを組む(ジロ・デ・イタリア2012)別のチームで2年を過ごしたカヴェンディッシュ(左)とレンショーが再びトレインを組む(ジロ・デ・イタリア2012)

 カヴェンディッシュを支えるメンバーも揃った。2009年から3年間、発射台として勝利量産の立役者となったマーク・レンショー(オーストラリア)の加入が大きなトピックだ。かねてからレンショーの加入を求め、チームも移籍情報解禁日の8月1日に契約・発表をする形で応じた。今年多くのレースでトレインの重責を担ったヘルト・ステーヒマンス(ベルギー)、マッテーオ・トレンティン(イタリア)、シーズン途中に加わったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)も控え、盤石の態勢を整える。

 復活を期するのは、チームの顔でもあるトム・ボーネン(ベルギー)。2013年は終始フィジカルの問題に悩まされた1年となった。8月にシーズン終了を決断し、休養を経て、10月からジムでの筋力・体幹のトレーニングを開始。11月には3~4時間のライドができるまでに戻っている。自身主催のシクロクロスイベントにも元気な姿で参戦し、順調な回復ぶりを見せる。

ツールのメンバー入りに意欲を見せるボーネン(右)。アシスト役も辞さない覚悟だ(ミラノ~サンレモ2013)ツールのメンバー入りに意欲を見せるボーネン(右)。アシスト役も辞さない覚悟だ(ミラノ~サンレモ2013)

 2月末~4月上旬にかけてのセミクラシック、北のクラシックがシーズン前半の目標。ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)打倒に燃える。ズデニェック・シュティバル(チェコ)、ニキ・テルプストラ(オランダ)、ステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー)といったクラシックスペシャリストも揃い、チーム力でパヴェ攻略に臨むいつものスタイルは変わらない。ボーネンがその中心に立つことができれば、復権が現実味を帯びる。

 また、ボーネンはパヴェステージ(第5ステージ)が設けられるツールのメンバー入りにも意欲的。彼が勝負できるのはこのステージのみとの声も多いが、「その他のステージはアシストに専念する」と語っており、チームオーダーに合った走りができると自信を見せている。

これまでチームに不在だった、グランツールのエースとして加入するウラン(ジロ・デ・イタリア2013)これまでチームに不在だった、グランツールのエースとして加入するウラン(ジロ・デ・イタリア2013)

 スプリント、クラシック組が結果を残してきた一方で、このチームの課題でもあったのがオールラウンダーの存在。一時はグランツールライダーとしての期待もかかったトニー・マルティン(ドイツ)がタイムトライアルに専念することから、新たな総合系ライダー探しに着手。結果、今年のジロ総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア)の獲得に成功した。

 ウランとチームは、そのジロの頃にはすでに相思相愛だったともいわれ、ほぼ既定路線の移籍だったようだ。いよいよグランツールでの総合優勝を目指す段階に到達したことになるが、本人はツールだけにこだわるつもりはないという。チームメートの動向を見ながら、ジロかツールかを判断することになる。また、ポンフェラーダ(スペイン)で開催される世界選手権ロードでは、優勝候補の1人に名前が挙がるだろう。

 ウランに続き、アシストも強化。2012年ジロ総合3位のトーマス・デヘント(ベルギー)は、「ウランのために何でもやる」と述べる。ヴァカンソレイユ・DCMでチームメートだったヴァウテル・プールス(オランダ)も加入。ともに力がありながら、調子の波が大きい点が懸念材料だったが、エースとしての役割を解かれ、楽な気持ちで走れるだろう。

ジロ総合3位にも入ったデヘントが、アシストに徹する(ジロ・デ・イタリア2012)ジロ総合3位にも入ったデヘントが、アシストに徹する(ジロ・デ・イタリア2012)
抜群の万能ぶりを発揮したクフィアトコフスキー(ツール・ド・フランス2013)抜群の万能ぶりを発揮したクフィアトコフスキー(ツール・ド・フランス2013)

 今年大ブレイクしたミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド)のレースプログラムも注目される。山岳、TT、スプリント、石畳とそつなくこなす器用さがあり、ツールのマイヨブラン(新人賞ジャージ)獲得に再挑戦することになるかもしれない。前述した、TT世界チャンピオンのマルティンは、世界選手権4連覇を目指すほか、スプリントトレインの統率役を買って出る。

 チームタイムトライアルの世界チャンピオンであるチームは、2014年は3連覇に挑戦する。今年のメンバーから3選手が抜け、新たな布陣を構築する。新加入のヤン・バークランツ(ベルギー)らがその候補となりそうだ。

2014年シーズン UCIプロチーム・プロコンチネンタルチーム決定

 UCI(国際自転車競技連合)は10日、サイクルロードレース2014年シーズンのワールドツアーライセンス(UCIプロチーム、第1ディビジョン)と、セカンドカテゴリーにあたるプロコンチネンタルライセンス(第2ディビジョン)をそれぞれ正式に認可。第1ディビジョンは18チーム、第2ディビジョンは17チーム、それぞれ申請したすべてのチームが審査を通過した。

 第1ディビジョンにおいて大きな注目は、チーム ヨーロッパカーの5年ぶりとなるトップカテゴリー復帰だ。チームのエース格である新城幸也は、すでにUCIワールドツアーのレース出場を見据えた動きを開始しており、ビッグレースでの活躍に期待がかかる。

UCIワールドツアーのすべてのレースに、ヨーロッパカーが出場する(ツール・ド・フランス2013)UCIワールドツアーのすべてのレースに、ヨーロッパカーが出場する(ツール・ド・フランス2013)

 その他、スポンサー変更に伴いライセンス委員会の再審査が行われた、トレック ファクトリーレーシングについても問題ないと判断。これにより2014年シーズンは、トレック所属の別府史之、そして新城と2人の日本人ライダーがUCIワールドツアーを主戦場とすることになった。

 なお、第1ディビジョンのチームは、グランツール(ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ)への出場も自動的に保障される。

 また、UCIプロコンチネンタルチームでは、日本でもおなじみのドラパック プロフェッショナルサイクリング(オーストラリア)が7年ぶりに第2カテゴリー復帰。すでに1月のツアー・ダウンアンダーへのワイルドカードを獲得しており、南半球から新たな旋風を巻き起こそうと意気込んでいる。

●UCIワールドツアーライセンス(第1ディビジョン)
・2014年シーズンUCIワールドツアーライセンス保有チーム
アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)
ベルキン プロサイクリングチーム(オランダ)
BMCレーシングチーム(アメリカ)
キャノンデール(イタリア)
FDJ.fr(フランス)
ガーミン・シャープ(アメリカ)
オメガファルマ・クイックステップ レーシングチーム(ベルギー)
チーム カチューシャ(ロシア)
チーム ティンコフ・サクソ(デンマーク)
ロット・ベリソル(ベルギー)※11月25日ライセンス承認
 
・2014年シーズンUCIワールドツアーライセンス更新または新規認可チーム
アスタナ プロチーム(カザフスタン)2014~2016年
ランプレ・メリダ(イタリア)2014~2015年
モビスター チーム(スペイン)2014~2016年
オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)2014~2016年
スカイ プロサイクリング(イギリス)2014~2016年
チーム ヨーロッパカー(フランス)2014~2015年
 
・ライセンス委員会の審議を経て、2014年シーズンUCIワールドツアーライセンス認可されたチーム
チーム アルゴス・シマノ(オランダ)
トレック ファクトリーレーシング(アメリカ)
 
●UCIプロコンチネンタルチームライセンス(第2ディビジョン)
・2014年シーズンUCIプロコンチネンタルライセンス認可チーム
アンドローニジョカットリ(イタリア)
バルディアーニ・CSF(イタリア)
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)
CCCポルサット・ポルコウィチェ(ポーランド)
コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)
コロンビア(コロンビア)
ドラパック プロフェッショナルサイクリング(オーストラリア)
IAMサイクリング(スイス)
MTN・キュベカ(南アフリカ)
ルスヴェロ(ロシア)
チーム ネットアップ・エンデュラ(ドイツ)
チーム ノヴォノルディスク(アメリカ)
トップスポルトフランデレン・バロイセ(ベルギー)
ユナイテッドヘルスケア プロサイクリングチーム(アメリカ)
ワンティ・フロープホーベルト(ベルギー)
イエローフルオ(イタリア)
 
・ライセンス委員会の審議を経て、2014年シーズンUCIプロコンチネンタルライセンス認可されたチーム
ブルターニュ・セシェ アンヴィロンマン(フランス)
 
※チーム名はUCIの発表に基づく

今週の爆走ライダー-竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 12月8日の全日本シクロクロス。ライバルのパンクトラブルがあったとはいえ、蓋を開けてみれば圧勝。異次元の走りを披露した。3連覇と日本では敵なしで、視線を世界へと向ける。

圧勝劇でエリート男子3連覇を達成した竹之内(撮影・中川裕之)圧勝劇でエリート男子3連覇を達成した竹之内(撮影・中川裕之)

 実力はもちろんだが、競技に対する意識も群を抜く。全日本のレース当日早朝、誰よりも早くコースに出て試走を繰り返す彼の姿があった。筆者がコースチェックに入った時点で、すでに試走も半ば。「いつも来ている会場(マキノ高原)だけど、コースは毎回違う。きっちり見ておかないと、後悔するのは自分だから」と、レース後に振り返った。

 今年はベルギーを拠点に、ロードシーズンフル参戦。シクロクロスシーズンに入ってからもベルギー、オランダのトップレースを転戦。全日本を制し、いよいよ最大の目標である世界選手権へと向かう。

異次元の走りで独走を続けた竹之内。世界選手権での飛躍を狙う(撮影・福光俊介)異次元の走りで独走を続けた竹之内。世界選手権での飛躍を狙う(撮影・福光俊介)
レース後には、OGKが用意した全日本チャンピオン仕様のヘルメットをお披露目(撮影・福光俊介)レース後には、OGKが用意した全日本チャンピオン仕様のヘルメットをお披露目(撮影・福光俊介)

 その世界選手権では、10位台でのフィニッシュを狙う。前回は31位だったが、そこからのジャンプアップに必要なものが何になるのかを模索しているそうだ。それが走りに結び付けば、大飛躍は間違いない。

 今後は国内レースを回避し、来年2月の世界選手権に向かうかもしれないという。力を蓄え、完璧な調整を行った彼の大いなる挑戦が楽しみだ。

文 福光俊介

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載