巨額投資で屈指のビッグチームに変貌?「チーム サクソ・ティンコフ」をロシアの実業家ティンコフ氏が買収 リース氏は監督業に専念

  • 一覧

新チーム名は「ティンコフ・サクソ」

(左から)コンタドール、チームマネージャーのリース氏、新オーナーのティンコフ氏(AP)(左から)コンタドール、チームマネージャーのリース氏、新オーナーのティンコフ氏(AP)

 ロシアの実業家オレグ・ティンコフ氏が、元ツール・ド・フランス覇者のビャルネ・リース氏が運営する「リースサイクリング」を買収すると発表した。社名は「ティンコフスポーツ」とする。これまでチーム サクソ・ティンコフとして活動してきたロードレースチームは、来季からメーンスポンサーがティンコフクレジットシステム社、セカンドスポンサーがサクソバンク社となり、「ティンコフ・サクソ」としてUCIワールドツアーを戦う。

 現地時間2日15時からグーグル・ロンドン本社で行われた記者会見には、ティンコフ氏、リース氏のほか、サクソバンク社共同CEOのラルス・セイア・クリステンセン氏と、チームの主力ライダーであるアルベルト・コンタドール(スペイン)、ニコラ・ロッシュ(アイルランド)の両選手が出席。

2013年のジャパンカップで来日したリース氏(撮影・砂田弓弦)2013年のジャパンカップで来日したリース氏(撮影・砂田弓弦)

 まず、リース氏から自身の運営会社をティンコフ氏に譲ることが明らかにされた。チームの全所有権はティンコフ氏が持つ一方で、自らは「ティンコフスポーツ」と3年契約を結び、チームマネージャー職を継続する。

 その後の記者会見でティンコフ氏は、「これは民間投資であり、すべて私の個人資産から支払われている。サイクリングは私の情熱であり、UCIワールドツアーチームを所有できることに大きな満足感を抱いている」とコメントした。

 現役時代の薬物使用に関する捜査が進むリース氏に対しても質問が集中。チーム売却と捜査は無関係とし、「毎年のようにスポンサー探しが難航するのがストレスだった。また、チーム運営と監督業の両立により、家族と過ごす時間が少なかった点を改善したかった」と売却の経緯を述べた。

 

ジュニアで活躍し実業家へ 情熱の男オレグ・ティンコフ氏

2年間に渡って「ティンコフクレジットシステム」を保有したティンコフ氏(撮影・砂田弓弦)2年間に渡って「ティンコフクレジットシステム」を保有したティンコフ氏(撮影・砂田弓弦)

 ティンコフ氏の自転車競技のルーツは、12歳までさかのぼる。ジュニア時代にはシベリア地域のロードレースチャンピオンを経験。その後は実業家となり、「ティンコフビール」で成功を収める。2005年には、ビール会社の権利を売却すると同時に、UCIコンチネンタルチーム「ティンコフレストラン」でロードレースシーンにデビューを果たした。

 2007年からは「ティンコフクレジットシステム」と改称し、UCIプロコンチネンタル登録。2008年のジロ・デ・イタリア第19ステージでは、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、現スカイ プロサイクリング)が逃げ切りを決め、悲願のグランツール初勝利を挙げた。しかし、2007年に所属したタイラー・ハミルトン(アメリカ)のかつての薬物問題などが問題視され、2008年シーズン終了と同時にチーム カチューシャ(現カチューシャ チーム)へと売却した経緯がある。

 それでも、自転車競技への熱意は冷めることなく、2012年のツール・ド・フランス直前に現チームのセカンドスポンサーに就いた。今シーズンは、コンタドールのツールでの走りをツイッターで批判。一度はチームのスポンサー関係を解消することが発表されたが、結果的にチームを買収し、長年夢見ていた「UCIプロチームのオーナーになる」ことが実現した。

2014年もエースを務めるコンタドール(撮影・砂田弓弦)2014年もエースを務めるコンタドール(撮影・砂田弓弦)

 ヨーロッパの一部メディアでは、ティンコフ氏がチーム買収に600万ユーロ(約8億4000万円)を支払ったとの報道もある。また、年間予算として1100万ユーロ(約15億円)から1300万ユーロ(約18億円)を投じるとも言われており、それが実行されればプロチーム屈指のビッグチームへと変貌を遂げる可能性がある。2014年シーズン以降のビッグネーム獲得は必至の情勢だ。

 間近に迫る2014年シーズンは、コンタドール中心のチームであることが確認されている。ツール、ブエルタ・ア・エスパーニャでの“ダブルツール”が目標だ。アイルランドで開幕するジロは、地元期待のロッシュがエースを務める。新生「ティンコフ・サクソ」の戦いに大きな注目が集まることだろう。

(文 福光俊介)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。
  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載