JR両国駅を“出発進行”サイクルトレインに自転車を積み込んでGO! 「Station Ride in 南房総」で秋晴れの房総半島へ

  • 一覧
サイクルトレインと記念撮影サイクルトレインと記念撮影

 千葉県・南房総を走るサイクリングイベント「Station Ride in 南房総」が11月23日に開催され、JR東日本の協力によりサイクルトレインの運行も行なわれた。サイクルトレインは両国駅発。梱包なしに自転車をそのまま輪行できるとあって、多くのサイクリストが普段とは違った自転車と鉄道の旅を楽しんだ。サイクリングのコースには、75kmと45km、また電車を利用しない「道の駅 富楽里とみやま」集合・スタートの100kmと70kmコースの全4コースが用意され、計290人が参加。「Cyclist」では、70人ほどが利用したサイクルトレインに乗り、75kmを走った様子をレポートする。

両国駅で自転車とともに列車に乗り込む参加者両国駅で自転車とともに列車に乗り込む参加者

 

「遠足気分」で楽しめるサイクルトレイン

 まだ日が昇る前の午前6時、出発地点となった両国駅には熱心なサイクリストが続々と集まった。普段は入ることができない裏口のスロープから自転車とともにホームへ入る。かつて新聞輸送のために作られたというホームを自転車が埋め尽くしていく光景はとても新鮮で、出発前には記念写真を撮る参加者が多数見られた。

 いつもは通勤電車として使われている列車内も、この日は「サイクルトレイン南房総」のために模様替え。片側半分が白いビニーシートで養生され、つり革からはバンドタイプの紐が下がっていた。「ビニール紐や、タイヤチューブなども試したが、この方法が一番だった」と駅員が太鼓判を押すとおり、ハンドルを紐で固定して後輪をスタンドに乗せるとしっかりと固定され、安心して自転車を離れることができた。

サイクルトレイン車内の様子サイクルトレイン車内の様子
参加者の輪行袋を固定するスタッフ参加者の輪行袋を固定するスタッフ

 参加者を乗せたサイクルトレインは定刻通り午前7時07分に出発。地元千葉県の出身で大会MCの桜井せなさんが車内マイクを持ち、「祖父が国鉄職員だったので制服姿に憧れていた。今回、本物の帽子をかぶることができて嬉しい。大会では秋のおいしい味覚を楽しんでください」と鉄道好きらしいコメントを交えた挨拶で参加者を歓迎した。

 また、北京・ロンドン五輪のトライアスロン日本代表、上田藍選手もゲストライダーとして愛車とともに乗車。「初めてのサイクルトレインは遠足気分で興奮している。皆さんと一緒に走れることがとても楽しみ。リラックスして走るので、沢山話しかけてほしい」とあいさつした。

「bayfm」DJの桜井せなさん「bayfm」DJの桜井せなさん
参加者に挨拶をするトライアスリートの上田藍選手参加者に挨拶をするトライアスリートの上田藍選手

 サイクルトレインは千葉駅に停車して、さらに参加者10人をピックアップ。ここでは通常の改札を通って乗り込むため、自転車用の輪行袋が必要だった。それでも参加者専用の列車とあって、一般乗客に気を使う事のない鉄道の旅が楽しめるのは大きなメリットだ。その後、到着地までノンストップの旅を、田園風景の車窓とともに満喫した。

 

サポートライダーとともにグループ走行

 日も高くなった頃、内房線和田浦駅に到着。まずは「道の駅 和田浦WA・O!」にて受付と大会セレモニーが開かれた。

内房線和田浦駅で降車した「Station Ride in 南房総」サイクルトレイン参加者内房線和田浦駅で降車した「Station Ride in 南房総」サイクルトレイン参加者
和田浦駅にて参加者を歓迎する駅員たち和田浦駅にて参加者を歓迎する駅員たち

 セレモニーに出席した館山駅駅長の石橋さんは、「南房総は気候もよく、自転車向きの道が多いので、ぜひ楽しんで欲しい」と他の駅員とともに参加者を歓迎した。ここまで都内から自走してきたというトライアスロンの山本淳一選手は45kmコースをサポート。「前半、無理をせずゆとりをもって走り、後半まで余力を残して欲しい。道の駅でのおいしい物を楽しみにしている」とプロアスリートらしいアドバイスを交えながら参加者を激励した。雲一つない青空の中、参加者たちは10人程のグループを組んでコースに繰り出した。

 ただし、信号のほとんどないゆったりとした広い道を、比較的少人数で走るため、コース上で他の参加者とはぐれると、あっという間にひとりになってしまいがちだ。このためイベントでは、サポートライダーが設定したペースに合わせてグループで走るプランも用意されていた。グループで走りたい人はもちろん、初心者や、ひとりで走るのは不安という参加者に配慮した親切なプランだと感じた。

スタート前の上田藍選手スタート前の上田藍選手
フラワーラインを海に向けて駆け抜けるフラワーラインを海に向けて駆け抜ける

 スタートしてすぐに海という“出し惜しみのない”景観に、思わず笑みがこぼれた。潮風を感じつつ外房黒潮ラインから房総フラワーラインへと走ると、あっという間に最初のエイドステーション「道の駅 ローズマリー公園」に到着した。ゴールまでのエイドステーションは全部で6カ所あり、そのうち5カ所は道の駅だ。房総半島は道の駅が多く、地元の味覚を味わうことができるのも魅力のひとつ。ただ、多くのエイドステーションでは、ドリンクと一般的な補給食の提供にとどまったせいか、参加者からは「せっかく道の駅とコラボしているのだから、おすすめの食べ物も置いて欲しい」との声も聞かれた。

 

房総半島の魅力をサイクリストへ発信

天気がよく海がとてもきれいに見えた天気がよく海がとてもきれいに見えた
たくさんの椰子の木がリゾート気分を盛り上げてくれたたくさんの椰子の木がリゾート気分を盛り上げてくれた

 たまに緩やかなアップダウンが現れる以外は平坦基調の道が続き、ゆったりと景色の楽しめるコースだ。まぶしい程の太陽に海面はきらきらと輝き、白い灯台に椰子の木の映えるコースは、11月とは思えない温暖な気候と相まってリゾート感たっぷりといった風情を醸しだしていた。

 東京・練馬から参加した丹野さんと小山さんは、自転車歴半年で100kmコースにチャレンジ。「『初心者OK』と書いてあったので勇気を出してエントリーした。山あり海ありの自然に囲まれ、信号のない所を走れるのが嬉しい」と楽しんでいた。また、サイクルトレインで参加した田中さんと大澤さんは、「普段は神奈川や静岡を走っているが、千葉は同じ海岸でも砂浜ではなく岩場が多く、新鮮に感じた。沿道の応援や地元の方との交流があればもっと楽しめるかも」と経験者ならではの意見を述べた。

100kmコースに参加した小山さん(左)と丹野さん。「思ったより走りがいがある!」100kmコースに参加した小山さん(左)と丹野さん。「思ったより走りがいがある!」
いわしのつみれ団子はゴールした参加者に大人気いわしのつみれ団子はゴールした参加者に大人気

 ゴールの「道の駅 富楽里とみやま」に着く頃には日も暮れ始め、辺りはすすきの穂が夕日に輝く秋らしい風景に。到着した参加者には、完走記念バッジとおしるこ、イワシのつみれ団子が振る舞われた。“とみやま名物”というイワシのつみれ団子は、うまみたっぷりのすり身とモチモチとした食感が、参加者に大人気だった。

 サイクルトレイン参加者は、内房線岩井駅までさらに10分ほど走り、千葉駅利用者は輪行袋にパッキング、両国駅利用者はそのまま自転車を押してホームへと入っていった。

輪行袋に自転車を入れる参加者輪行袋に自転車を入れる参加者
復路のサイクルトレインを待つ参加者復路のサイクルトレインを待つ参加者

 この場面に出くわした一般客は、興味津々。参加者と自転車話に盛り上がったり、ホーム到着した電車に「こんな電車があるんだ」「初めて見た!」と驚きの声を上げたりしていた。

内房線岩井駅ホームで復路のサイクルトレインへ乗り込む内房線岩井駅ホームで復路のサイクルトレインへ乗り込む
内房線岩井駅ホームで復路のサイクルトレインへ乗り込む内房線岩井駅ホームで復路のサイクルトレインへ乗り込む
サイクルトレイン車内の田中さん(左)と大澤さんは海外のイベントにも参加するほど自転車好きサイクルトレイン車内の田中さん(左)と大澤さんは海外のイベントにも参加するほど自転車好き

◇      ◇

 自転車をそのまま乗せることができるサイクルトレインは、日本ではまだ珍しい。さらに房総半島は、晴天の多さや景観の良さが魅力。ベテランサイクリストはもちろん、初心者にとっても走りやすい道が多く、サイクリングの舞台としてポテンシャルが高い。全国のサイクリストがうらやむ程のイベントとして、今後ますます盛り上がれば、この地域の活性化にも役立つことだろう。

写真・文 大星直輝

 

フォトギャラリー

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

イベント サイクルトレイン 輪行

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載