「台湾KOM」取材・番外編素顔の選手や個性豊かな取材陣と過ごした台湾 各国サイクリストとの貴重な“自転車文化交流”

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セブン-イレブンで話に花が咲く。左からインチ(台湾)、ゴードン(スコットランド)、コーリー(カナダ)、セリーン(マレーシア)セブン-イレブンで話に花が咲く。左からインチ(台湾)、ゴードン(スコットランド)、コーリー(カナダ)、セリーン(マレーシア)

 台湾で11月9日に開催された「台湾KOMチャレンジ」は、参加者400人のうち台湾の外から150人の参加者が集った。また、より国際的な大会への発展を目指す主催者の考えで、ヨーロッパやアジア、アメリカ、オーストラリアなどから30人ほどの選手やメディアが招待された。大会前後には、各国からの招待者が集い、台湾での自転車文化交流や懇親を楽しんだ。

女子トッププロ選手とまさかの同室

「昔学校で日本語を習ったことがある」とひらがなも読めるティファニーは、箸を上手に使っていた「昔学校で日本語を習ったことがある」とひらがなも読めるティファニーは、箸を上手に使っていた

 記者が台湾のホテルにチェックインした後、夕食をとって部屋に戻って、驚いた。なかったはずの場所に荷物がある。最初は部屋を間違えたのかと思ったが、カードキーでそれは起こりえない…しばし途方に暮れつつフロアに目を移すと、スーツケースが2つ広がっていた。謎が解けた。

 プロロード選手のティファニー・クロムウェル(Tiffany Cromwell)は、ロード界随一のオシャレな選手として知られ、自らもサイクリングウェア「Tiffany Jane Cycling Apparel」をデザインから手がけているほどだ。チーム遠征の際には、あらゆるタイプの靴やサングラス、ドレスやカジュアルウェアを複数のスーツケースで持ち込む。そのアイテムをホテルの部屋に広げて紹介するユニークな動画が、彼女の所属チーム「グリーンエッジ・AIS」(オーストラリア)の公式ムービーとして公開され、記者もよく知っていた。実は今回の取材で、彼女に初めて会えることをなにより心待ちにしていたくらいだ。

 部屋に戻ったティファニーに、「暖かい台湾で、まさかブーツは持ってないよね」と聞いてみると、「ちゃんと入っているわよ(笑)。おみやげのスペースも空けておかなきゃいけないし、パッキングはいつも大変」とニッコリ。女性共通の関心事でひとしきり盛り上がった。

おどけるティファニーとアンディおどけるティファニーとアンディ
買い物が大好き!買い物が大好き!

 今シーズン、ティファニーはベルギーのワンデイレース「Omloop Het Nieuwsblad」(2月)で優勝し、9月に行なわれた世界選手権ロードでは9位に入っている。来季は「スペシャライズド・ルルレモン」(アメリカ)との契約が決まっており、それに合わせてバイクもスペシャライズドを持参。「新しいバイクになって2週間、(スペシャライズドは)女性向け製品を専用のジオメトリーで開発してる点がいいね」と評価した。

 ヒルクライムが得意なティファニーに、その理由を聞いてみると「地元オーストラリアでは、街から少し離れたところに住んでいたの。街へ行くときはダウンヒル、戻りはヒルクライムと自然と身についた感じかな。それに、山頂をトップで制すると嬉しい!」とガッツポーズしてみせた。

 相部屋に慣れていない記者をよそに、「だいたい誰かと一緒だから問題ない」と笑顔のティファニー。「朝はできるだけ長く寝ているのよ」という言葉にホッとしつつ、2人でギリギリまで遅い時刻にアラームを設定した。

各国の自転車談義に花が咲く

 オーストラリアからやってきたライター兼選手のアンディ・ヴァンベルゲン(Andy van Bergen)とアダム・センプル(Adam Semple)。2人に自国の自転車事情を尋ねると、口を揃えて「カフェ文化!」という返事がかえってきた。サイクリングをする合間に楽しむカフェが豊富にあるそうだ。

大会に参戦した「Cycling Tips」のライター、アンディ大会に参戦した「Cycling Tips」のライター、アンディ
2011年の「ツール・ド・台湾」のステージで2勝したアダムは、ソックスフリーク2011年の「ツール・ド・台湾」のステージで2勝したアダムは、ソックスフリーク

 引き締まった脚をくっきり分断する日焼けが眩しいセリーン・リー(Serene Lee)は、マレーシア出身。学校に籍を置きながら医療関係の仕事をこなし、ライダーとしてのトレーニングを重ね、さらにサイクルウェア「ラファ」のスタッフも務めているという。「マレーシアの年間平均気温は24℃。日差しが強いから、日焼け止めを塗ってもこんなに焼けちゃう」と笑う様子がチャーミングだ。

 かたや、スコットランドからやってきた「PezCycling News」のゴードン・キャメロン(Gordan Cameron)は、「(自国では)夏にとても暑くなったとしても19℃」と驚きながら話を聞いていた。スコットランドは人口600万人弱ながら、起伏に富んだトレイルに恵まれ、ワールドカップの開催が10年近く続いているようにマウンテンバイク競技が盛んだという。「すばらしいダウンヒルコースがたくさんある。ロードバイクであっても、ドアを開ければすぐ、海を見下ろすツーリングコースに出られるよ」という環境はうらやましい限りだ。

太陽が似合うセリーン太陽が似合うセリーン
「スプーンがほしい」とゴードン「スプーンがほしい」とゴードン

 スコットランドを含めイギリスでは、自転車がスポーツや観光だけでなく健康面でも国に大きなメリットをもたらすという見地から、自転車道の本格的な整備や、自転車を新規に購入する際の税金免除など、さまざまな自転車振興政策を推し進めているという。自転車道の整備については、オランダやデンマークを見本にしているのだそうだ。

 また、若くて魅力的、社交的で話し上手な女性をイメージリーダーにして「10万人の女性を自転文化に引きこむ」ことを公言しているという。「結婚した家庭を考えてみても、女性が自転車に乗っていれば、子供も乗り始める可能性が高い」という理由は、大いに納得できる。

 ロンドンのような都市部には、自転車文化の盛り上がりに合わせて、サイクルショップとカフェがいっしょになったような“バイクカフェ”というスタイルの店が増加中。ゴードンは「サイクリストにとってますます過ごしやすい街になる」と、期待を込めて話した。

夜の帳が下りる台北の街夜の帳が下りる台北の街

夜の街のガイドは台湾トップヒルクライマー

にぎわう臨江街夜市にぎわう臨江街夜市

 台湾では、暑い昼間を避けて夜に人々が街へ繰り出す文化がある。太陽がかげって夕方を過ぎる頃、街路は人で溢れてくる。中国・広州からやってきたカメラマン、ユエン・ハイ(袁海)は、スマートフォンにしたためたリストを手にキョロキョロ。「妻からたっぷりと買い物を頼まれてて…」と、店から店へと走り回り、両手いっぱいの紙袋をホテルへ持ち帰っていた。

 さらに夜が更けてくると、飲食やショッピングが深夜まで楽しめる「夜市」が活気を増してくる。明かりが煌々と輝く台北最大の夜市「臨江街」を、選手やメディアの皆で練り歩いた。

屋台前にたたずむインチ(左)とアダム屋台前にたたずむインチ(左)とアダム
臭豆腐の屋台臭豆腐の屋台

 豆腐を発酵させ、独特のにおいを放つ「臭豆腐」は、夜市の屋台に並ぶ目玉のひとつ。ガイド役を買って出た台湾のトップヒルクライマー、ワン・インチ(王胤之)が、「これを食べないと」と臭豆腐の屋台を見つけて注文してくれた。皆で恐る恐る待って、出された臭豆腐を順に食べたところ、「においはそれほどでもない」「珍味としても“いける”」と満場一致。食に敏感で、世界各地の味覚をたくさん経験しているサイクリストたちだから、なのだろうか。

「あれ、まずくない」と臭豆腐を食べる「あれ、まずくない」と臭豆腐を食べる

 ほかにも、里芋を原料に使った揚げ団子、お茶で煮込んだゆで卵「茶葉蛋」、フレッシュフルーツジュース、小籠包、麺…手を伸ばせばすぐ届く場所に、おいしい屋台が限りなく広がっていた。

 次にアスリートたちが目をつけたのは、カラーボールを投げ入れてポイントを稼ぐゲーム。勝負ごとに挑む男性陣は、ずらりと並んだ景品にさえ目もくれず、誰もが真剣そのものの眼差しだ。ゲーム機から日本語の「がんばれ」に当たる「加油(ジャイヨウ)、加油!」の掛け声が鳴り響く中、男たちの白熱した戦いが繰り広げられた。

夜市で白熱するゲーム夜市で白熱するゲーム

 ゲームで獲得したビーチボールをドリブルし合いながら、さらなる夜の街へ。アスリートたちの絶えないエネルギーに圧倒されながらも、台湾の夜の心地よさを味わうのだった。

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