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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<39>U23世界王者から2世選手まで 2014年にデビューするヤングライダーたちに注目せよ!

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 前回まで3回にわたってお届けした引退選手特集はいかがだったでしょうか? 功労者の幕引きは寂しさもありますが、一方でこれから時代を築いていく若い力も台頭してきます。そこで、今回は2014年にデビューするライダーのうち、筆者セレクトの6人をクローズアップ。即戦力から将来性豊かな選手まで、しっかりと押さえてみました!

2014年デビューはタレントの宝庫

ジュニア、U23と連続優勝したマテイ・モホリッチ(世界選手権ロードレース2013 男子U23)ジュニア、U23と連続優勝したマテイ・モホリッチ(世界選手権ロードレース2013 男子U23)

 今年9月の世界選手権U23のロードレース、個人タイムトライアル勝者は、来シーズンそれぞれにプロ入りを果たす。ロードチャンピオンのマテイ・モホリッチ(スロベニア、19歳)はキャノンデール プロサイクリング、ダミアン・ハウソン(オーストラリア、21歳)はオリカ・グリーンエッジに入る。

 昨年の世界選手権でジュニアロードを制したモホリッチは、カテゴリー違いながら2年連続で世界の頂点に。エリートクラスでのレース経験は浅いが、ここ一番に強いと評判だ。チームは早い段階で契約を済ませ、じっくりと育てる構え。

 ハウソンは8月からスタジエール(研修生)としてオリカ・グリーンエッジに加入しており、来シーズンからの正式加入もスムーズだろう。数多くのライダーを輩出した育成機関・オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)出身だ。

 オリカ・グリーンエッジにはハウソンのほかに、チーム初のイギリス人ライダーとして、アダム・イェーツとサイモン・イェーツという21歳の双子兄弟も加入する。

圧勝的なタイムで優勝したダミアン・ハウソン(世界選手権ロードレース2013 男子U23個人TT)圧勝的なタイムで優勝したダミアン・ハウソン(世界選手権ロードレース2013 男子U23個人TT)
ツアー・オブ・ブリテン2013で実力を証明したサイモン・イェーツ(世界選手権ロードレース2013 男子U23)ツアー・オブ・ブリテン2013で実力を証明したサイモン・イェーツ(世界選手権ロードレース2013 男子U23)

 トラック競技を追っている方なら、サイモンを知っていることだろう。今年のトラック世界選手権ポイントレースで優勝。早くからイギリスの若手育成機関でトレーニングを積む選手だ。一方のアダムは、その育成機関への入団テストで不合格になった経緯があり、フランスのアマチュアチームで走っていた。

 今年のレースでは兄弟で支え合うシーンがたびたび見られ、アダムは若手登竜門のツール・ド・ラヴニール総合2位、サイモンもステージ2勝。サイモンは、9月のツアー・オブ・ブリテン第6ステージで並み居る強豪を抑え、上りゴールを制している。サイモンはスカイ プロサイクリング入りが、アダムはフランスのプロチーム入りが噂されていたが、世界選手権でオリカ・グリーンエッジが使用するスコット社のバイクで出走。関係者の間で「まさかのオリカ・グリーンエッジ入り!?」との驚きの目で見られていたとか。

TTでの活躍が期待されるラッセ・ノーマン・ハンセン(世界選手権ロードレース2013 男子U23個人TT)TTでの活躍が期待されるラッセ・ノーマン・ハンセン(世界選手権ロードレース2013 男子U23個人TT)

 ロンドン五輪の金メダリストが待ちに待ったプロ入りを果たす。トラック・オムニアムの頂点に立ったラッセ・ノーマン・ハンセン(デンマーク、21歳)はガーミン・シャープを選択。

 オリンピックでは、途中種目で落車負傷しながら、現在チーム ヨーロッパカーで走るブライアン・コカール(フランス)との激闘を制した。タイムトライアル系種目に絶対の自信を持ち、ロードでもTT巧者として鳴らす。2016年リオデジャネイロ五輪での連覇を目指すため、当面はトラックとの並行となるが、チームTT復権を狙うガーミン・シャープの切り札となれるか。

父譲りのスプリント力で飛躍を目指すリック・ツァベル(世界選手権ロードレース2013 男子U23)父譲りのスプリント力で飛躍を目指すリック・ツァベル(世界選手権ロードレース2013 男子U23)

 2世選手として大きな注目を集めるのは、リック・ツァベル(ドイツ、19歳)。スプリンターとして一世を風靡し、1996年から2001年まではツール・ド・フランスのポイント賞(マイヨヴェール)を獲得した“ツァベルおじさん”こと、エリックを父に持つ。
 
 そのエリックは今年、過去の薬物使用を告白したが、リックはそれと一線を画すかのように、ドーピング対策を強化しているBMCレーシング入りを決めた。

 ジュニア時代にはロード、トラックそれぞれで結果を残し、U23カテゴリーからは、ラボバンク・コンチネンタルチーム(オランダ)に所属。父譲りのスプリント力で、今年はロンド・ファン・フラーンデレン・ベロフテン(U23)を制している。

 “ツァベルおじさん”といえば現役当時、我が子を抱いてポディウムに上がるのがおなじみだったが、その子がプロライダーとして飛躍する。

アワーレコードブーム到来!? クロノマンたちの選択はいかに

 前回、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード)が2014年中にアワーレコード挑戦を明言したと書いた。その直後からTTスペシャリストたちの周辺が慌ただしくなっている。

世界選手権個人TT3連覇中のマルティンも、アワーレコードに興味を示している(ブエルタ・ア・エスパーニャ2013)世界選手権個人TT3連覇中のマルティンも、アワーレコードに興味を示している(ブエルタ・ア・エスパーニャ2013)

 個人タイムトライアルでは名実ともに現役最強であるトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)も、アワーレコードへの興味を示しているのだ。

 リオデジャネイロ五輪での個人TT金メダルを目指し、このほど長期計画を設定。その間の中期目標の1つとしてアワーレコードにトライしたいのだとか。ただ、カンチェッラーラのように、具体的な実施時期などは決めておらず、あくまでも「興味がある」という段階。自身のTTのほか、グランツールではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)や、新加入となるリゴベルト・ウラン(コロンビア)らのアシストを務める予定。スケジュールを見ながら、アワーレコードへのチャレンジを検討していくこととなる。

 そのほか、2014年シーズンで事実上のロード引退を予定しているブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)も同様に挑戦したい旨を述べており、クロノマンたちの今後の動向は大いに注目していきたいところだ。

今週の爆走ライダー-ハインリッヒ・ハウスラー(オーストラリア、イアム サイクリング)

「爆走ライダー」とは…
 1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

大雨の第13ステージを制したハウスラー(ツール・ド・フランス2009)大雨の第13ステージを制したハウスラー(ツール・ド・フランス2009)

 大ブレイクした2009年。ミラノ~サンレモではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、当時チーム コロンビア・ハイロード)との死闘の末に2位。ツール第13ステージでは、大雨のダウンヒルを独走して逃げ切り勝利。あの当時の走りに魅せられた筆者は、周囲にハウスラーの存在を奨めに奨めたものだ。

 しかし、以降は怪我の連続。落車負傷でグランツール出場がフイになることもしばしばあった。そしてビッグチームを離れ、今年創設メンバーに加わった現チームで復活の兆しを見せている。ヘント~ウェヴェルヘム4位を筆頭に、北のクラシックでコンスタントに上位フィニッシュ。10月のパリ~トゥールでは6位と、チームのスプリントエースとしても信頼が厚い。

来シーズンはクラシックだけでなくグランツールでの活躍も期待される(ヘント~ウェヴェルヘム2013)来シーズンはクラシックだけでなくグランツールでの活躍も期待される(ヘント~ウェヴェルヘム2013)

 2009年から2年間所属したサーヴェロ・テストチームでトル・フースホフト(ノルウェー)とともに結果を残したように、実力・脚質などが似たライダーとの共存が上手くできる選手でもある。来シーズンからは、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)がチームに加わる。早速歓迎の意思を示し、北のクラシックでの成功を誓う。

 イアム サイクリングはプロコンチネンタルチームだが、グランツール、クラシックともにワイルドカード選出が濃厚な情勢にある。実力者を揃え、来シーズンは台風の目となるのは間違いない。その旗手に立つ1人がハウスラーであれば、チームとしても理想的な形であると言えるだろう。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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