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つれづれイタリア~ノ<番外・はいさい編>イタリア目線で堪能した「ツール・ド・おきなわ」 210kmでリタイアするも、ライダー魂に火がついた!

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スタート地点で太鼓を奏でてくれた子供たちと写真を撮るマルコさんスタート地点で太鼓を奏でてくれた子供たちと写真を撮るマルコさん

 チャオ、はいさ~い! 国内最大の自転車競技レース「ツール・ド・おきなわ」に参加してきました。第25回目となる今年は、11月8日〜10日に開催されました。開催から2週間が経とうとしていますが、頭の中でまだ沖縄の暖かい太陽を感じています。時差ボケではなく、ゆるい沖縄ボケですね。

 沖縄で開かれるスポーツイベントにはよく参加していますが、ツール・ド・沖縄の「市民レース210km」は初めてでした。私はロングディスタンスを得意としていますが、30℃を超える暑さのためか、胃が想定外のエンストに陥り補給食が食べられなくなりました。結果として胃の回復が遅すぎて、完走はできませんでした。それでも、悔しさはありません。来年のリベンジに持ち越しただけです。逆に沖縄や大会の素晴らしさを再認識できたことは大きな成果です。

1989年に始まった「ツール・ド・おきなわ」

沖縄で食べた、マンゴーがたっぷりと盛られたかき氷沖縄で食べた、マンゴーがたっぷりと盛られたかき氷

 ツール・ド・おきなわの第1回は1989年。バブルの真っ最中で昭和から平成へと時代が変わる頃です。主な出来事としては手塚治虫と美空ひばりが死去、横浜ベイブリッジが開通、任天堂がゲームボーイを発売―といった出来事が挙げられます。中国・北京での天安門事件、ドイツ・ベルリンの壁の崩壊など、世界でも変革の嵐が吹きました。

 自転車競技では、「ジロ・デ・イタリア」でローラン・フィニョンが総合優勝。「ツール・ド・フランス」ではグレッグ・レモンが総合優勝を果たしました。アメリカ勢が姿を見せ始めたのもこの頃です。

 第1回ツール・ド・おきなわの参加人数は1000人、今年は過去最多の4500人以上が参加するほどの大きなイベントに成長しました。交通の不便さに加え、夏も終わった11月という開催時期を考えると、すごい数字だと思います。公式に発表されたデータによれば、全25回で延べ5万2000人が参加したのだそうです。

オープニングイベントの様子オープニングイベントの様子
女性ライダーのみなさん女性ライダーのみなさん

ハードなコースも大会の魅力

空港内に設けられた自転車受け取り専用レーン空港内に設けられた自転車受け取り専用レーン

 ゆるい時間、温かい風、南国のフルーツとスイーツ…こういった沖縄独特の風土が人を惹きつけます。しかし、観光で訪れるわけではない私たち、自転車競技者にとって大事なことは、受け入れ体制です。

 ツール・ド・おきなわは、受け入れ体制がとてもしっかりとしています。那覇空港に降りた時から、自転車を受け取る場所が整えられ、道路沿いの電光掲示板でも大会の開催を歓迎するメッセージが流れています。

 名護市にあるメイン会場では、英語と中国語の通訳ボランティアが常駐し、外国人の受け入れも万全でした。韓国の選手もとてもフレンドリーで、大会を楽しんでいるようでした。やはり政治と市民交流は別ですよね。

受付に並んだ英語スタッフ受付に並んだ英語スタッフ
韓国からのライダーたち韓国からのライダーたち

 そして、何と言っても大会の最大の魅力はコース設定にあります。コースは大きく分けると2つ、サイクリングコースとレースコースが用意されています。サイクリングコースはたくさんの設定があり、無難な島めぐりから島を一周する長いコースもあります。レースコースは、100㎞、140㎞、210㎞が設定され、基本的にヒルクライム的なコースです。

 「海だ、平坦な道だ!」と想像する人がいるかもしれませんが、フラットコースはほとんどありません。勾配7%〜9%のきわどいアップダウンがずっと続きます。上ったり、急に下ったり、また上ったりの繰り返しです。最長の210kmコースだと、獲得標高は3000m以上になります。ずっとインターバルトレーニングをしているようなものなので、入念に準備をしておかないと痛い目に遭います。

足切りに遭ってバイクを収容するための長い列足切りに遭ってバイクを収容するための長い列

 関門での制限時間も厳しく、市民210kmの完走率は3割を下回ります。しかし、これがみそです。難しいコース設定をすることで、結果的にライダー魂に火をつけることになるからです。プロ選手と同じコース、全く同じ条件で走れることも魅力のひとつです。市民レーサーとしてこれ以上の喜びはありません。

 ちなみにレースの途中に足切りに遭った人には、かなりつらい経験が待ち受けています。ゼッケンの没収です。今まで多くのレースに参加しましたが、ゼッケンを回収されたことはありませんでした。最初は驚きましたが、「屈辱的な様子」を導入することによって次回へのリベンジ精神がくすぐられ、リピーターを増やすための最高のやり方だと感じました。

 会場である「21世紀の森体育館」(名護市)はとてもいい雰囲気です。レース後には交流パーティーが行われ、名物のアグーの丸焼き(沖縄の黒豚)が振る舞われ、解体ショーもあります。会場内にはエイサーの音が流れ、疲れを忘れさせる楽しい時間です。今年は新城幸也選手(チーム・ヨーロッパカー)も会場を歩き、サイン会ではファンとの交流を楽しんでいる様子でした。

ファンとの交流を楽しむ新城選手ファンとの交流を楽しむ新城選手
お弁当を配布する地元の高校生たちお弁当を配布する地元の高校生たち
アグーの丸焼き!アグーの丸焼き!

海外からも注目の大会

チャンピオンジャージとトロフィーを持つ初山選手チャンピオンジャージとトロフィーを持つ初山選手

 ツール・ド・おきなわは実は、イタリアでも注目されています。チャンピオンレース優勝者の速報は、各メディアに流れ、日本にいながらイタリア語でレース結果を読むというのはとても不思議な体験でした。初山翔選手(ブリヂストン・アンカー)の優勝は、イタリア人にも知れわたっていますよ。

 改善すべきことがあるとすれば、それは補給所の増設です。11月の沖縄は、晴れると真夏になります。現地のレーサーなら慣れていますが、北から来た人だとボトルがすぐに空っぽになります。今年の市民レース210kmチャンピオンの清宮洋幸選手(竹芝サイクルレーシング)も熱さの犠牲になりました。脱水症状がひどくゴールで倒れ、病院行きとなりました。

◇      ◇

 さて、ツール・ド・おきなわ市民レースに初参加するなら、完走率が比較的高い100kmもしくは140kmをお勧めします。山道(上りも、下りも)をしっかり練習した方がいいと思います。来年、会場で会いましょう。

フォトギャラリー

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)
イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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