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つれづれイタリア~ノ<15>イタリアの交通法律事情 週末1400万人がサイクリストになる自転車フレンドリーな国はどんな風?

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クルマを圧倒的に凌ぐ自転車販売台数

街中の移動はシェアバイクを利用街中の移動はシェアバイクを利用

 自転車はイタリアで昔から愛されている乗り物ですが、2012年に驚くべきデータが発表されました。48年ぶりに自転車の販売数がクルマを超えたのです。

 今年、FIAB(イタリア自転車愛好家協会)が公開したデータによれば、クルマの145万台に対し、自転車の販売台数はなんと、174万8000台でした。その差はおよそ30万台にまで広がりました。イタリアの総人口は6000万人(※)ですので、自転車はものすごい勢いで売れていることになりますね。内訳としては、ロードバイク、マウンテンバイク、電動アシスト自転車といった順に多く販売されています。電動アシスト自転車が3番目にきているのは、最近ではだいぶ購入しやすい価格になってきたという理由もあります。

※2010年現在、ISTAT調べ

 さらにFIABの調べを見てみますと、2001年に2.9%だった自転車通勤・通学が、現在は9%まで伸びを見せ、平日の自転車の数は確実に増えていることがわかります。もちろん週末になると、イタリアは自転車王国と化します。週末、1400万人のイタリア人が自転車に乗っているというのです。

新交通法で並行走行、片手ハンドルはOK!

 これだけの自転車ブームが起こっている要因は様々です。経済危機、ガソリンの価格高騰、健康ブーム、スポーツ志向――自転車の増加に伴い、1992年制定の自転車通行に関する法律(交通法第182条)が2010年に大幅に改正されました。

 日本では一部の悪質なライダーの行動だけが注目され、各地で自転車は煙たがられています。自治体による対応も様々です。京都では時間帯によって走行できない道があったり、岡山では自転車向けの2つの標識を作ったり、統一されたルール作りはまだないのが現状です。

暗いトンネルを走行するプロ選手たち(ジロ・デ・イタリア2013)暗いトンネルを走行するプロ選手たち(ジロ・デ・イタリア2013)

 イタリアは昔から自転車に厳しく、前後ライトがない自転車は警察に止められて注意されるほどでした。私も過去2回止められたことがあります。そして日本では可能な歩道の走行は、イタリアでは原則的に禁止です。自転車はクルマと同様に車道で走らなければなりません。ロードバイクだけでなく、すべてのバイクは車道へ!

 イタリア国土交通省が2010年に改正した交通ルールに伴い、多くの都市では自転車を受け入れる街づくりが進んでいます。特にヴェネツィア、パドヴァ、メストレ、フィレンツェ、トリーノ、ボローニャはモデル都市となっています。どんな交通ルールなのか、詳しく見てみましょう。

■「足こぎ乗物」に関する交通法第182条(Art. 182. Circolazione dei velocipedi)

1)並行走行
市内で走行した場合、交通量が多い場所を除き2人までは並んで走行が可能。市街では原則的に1列。
2)ハンドルの持ち方
最低でも片手でハンドルを握らなければならない。
3)台車を引く
許可のあるものを除けば、自転車で台車を引いたり、動物を引いたり、車に引っ張られることは禁止。
4)手で自転車を引く
歩きながら自転車を引くことは可能。ただし、歩行者を優先すること。
5)2人乗り
許可のある自転車を除き2人乗りは禁止。子供は8歳まで同乗させてもいい。
6)自転車専用道路
自転車専用道路が設置された場合、自転車はそこを走行しなければならない。
7)夜間走行
日が昇る30分前まで、日没30分後、およびトンネルでの走行の場合、リフレクター付のジャケットを着なければならない。
8)ライト
自転車は前後のライト(フロント:白または黄色、バック:赤)の装備は義務。

 イタリアでは街灯が少なく道路が非常に暗いので、ルール改正に伴い、夜間走行に関する項目が厳しくなりました。お隣の国、フランスも同様で、それはアルベルト・コンタドール(スペイン)のようなプロ選手も例外ではありません。

 コンタドールは、2011年6月にフランスで練習中に交通警察に止められました。トンネルに入ってバックライトがついていなかったためです。コンタドールはサポートカーのライトで十分だったと訴えましたが、自転車から降ろされ、サポートカーに乗せられました。プロ選手もこれから大変ですね。

問題がないわけではない

車道に引かれたラインの歩道寄りを走行する様子車道に引かれたラインの歩道寄りを走行する様子

 イタリアでは確実に自転車専用道路が広がっていますが、部分的に舗装されなかったり荒れたりしていて、ロードバイクでの走行が不可能な場所は少なくありません。それにもかかわらず、自転車専用道路がある場合はそこを通らないと罰則の対象になります。

 また日本と同様にイタリアでも、自転車は歩行者以上クルマ未満のような位置づけで罰則対象は曖昧なものの、例えば下りでスピード超過になると、自動車と同様に切符が切られ、高い罰金を支払うことになります。

 全国的に罰則を受けたライダーたちと道路整備を怠った自治体との争いは絶えません。これイタリアらしいですね。さて、日本はこれからどのように取り組んでいくのでしょうか。気になります。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)
イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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