ロンドンオリンピック 男子ロードレースヴィノクロフが涙の金メダル 大本命イギリスは包囲網に敗れる

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スタートする新城幸也(共同)スタートする新城幸也(共同)

 ロンドン五輪の自転車競技は28日、最初の種目として男子ロードレースが開催された。ロンドン市街地から郊外へ抜け、「ボックス・ヒル」と呼ばれるアップダウンの厳しい周回コースを9回走り、再びロンドン市街地に戻る250kmのレース。金メダルを獲得したのはアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)だった。日本の別府史之と新城幸也は、それぞれ22位と48位で完走した。

 レースは午前10時にロンドン中心の「ザ・マル」をスタート。序盤に12人の逃げグループが形成された。スチュワート・オグレイディ(オーストラリア)、デニス・メンショフ(ロシア)、マルコ・ピノッティ(イタリア)ら有力選手を含むこの集団に、日本の別府史之が入った。協調体制の取れた12人は、順調にプロトンとの差を付けていく。

スタートする別府史之(共同)スタートする別府史之(共同)

 一方プロトンはイギリス勢が先頭に立って集団をコントロール。この日はプレオリンピックで優勝したマーク・カヴェンディッシュを勝たせる体制で、ツール・ド・フランス総合優勝のブラッドリー・ウィギンスが集団牽引に回る贅沢な布陣だ。

 先頭はボックス・ヒルの周回コースに入るが、ここで苦しくなったパク・スンベク(韓国)が脱落。11人となった先頭グループは、プロトンに約5分半の差で逃げ続ける。

 周回コースに入ってからプロトン内からは追走の動きが散発的に発生するが、イギリス勢は急激には追わず淡々と集団をコントロールする。今年ここまでツールを含めて数多くのレースを制してきた「チームスカイ戦法」だ。追走はフィリップ・ジルベール(ベルギー)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)など10人以上となるが、プロトンは意に介さず淡々と先頭とのタイム差を縮めていく。周回コースでの後半、追走グループが先頭に合流するが、プロトンとの差も2分弱にまで縮まり、全てはイギリス勢の手の上にあるかのように思われた。

 最後のボックス・ヒルへの上りを前に、先頭ではジルベールがアタック。集団から単独先行するが、10km余りを逃げたところで吸収。一方この間に集団にはヴィノクロフ、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン)ら有力選手を含む追走グループが合流。先頭は約30人までに膨れ上がる。

 残り約40kmで先頭とプロトンの差は50秒ほど。イギリス勢に加えてスプリンターのグライペルを擁するドイツ勢もプロトン牽引に加わるが、ここに来て差が縮まらなくなる。世界に名だたる強豪選手が協調している先頭グループに対して、レース序盤から働き続けたイギリス勢は、追い込むまでのペースを作ることができない。今年のツール総合2位に入ったクリストファー・フルームが、力尽きて集団から遅れていく。

 先頭は意気盛ん。特に有力なのは、強力な独走力を誇るカンチェッラーラだ。しかし残り15km、そのカンチェッラーラが集団先頭でコーナーを曲がり切れずにクラッシュするアクシデント。先頭集団から脱落してしまう。

 残り10kmを切って、先頭とプロトンとの差は56秒。いよいよ逃げ切りが確実となる。別府もまだ先頭グループに残っている。田園地帯からロンドン市街地に戻り、集団内ではゴールを見据えたアタック合戦が開始される。

 残り8kmを切ったカーブの出口でアタックしたのは、リゴベルト・ウラン(コロンビア)。そしてこれをよく見て反応したのはヴィノクロフだった。2人は一気に集団と差を付ける。一方、集団は牽制気味で追走の動きがまとまらない。残り2kmで10秒余りの差を付け、金メダル争いはこの2人に絞られる。

 再び「ザ・マル」に戻ってのゴール勝負は、ヴィノクロフが経験と貫禄の差を見せた。残り1kmからウランを先行させ、後ろを気にするウランが一瞬目を離した隙を逃さず加速。そのまま追いすがるウランを寄せ付けずに先頭でゴールに飛び込んだ。2000年のシドニー五輪では銀メダルを獲得したヴィノクロフが、12年越しで五輪の表彰台の一番上に上り詰めた。

 ウランは銀メダル。その後ろの集団スプリントはアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)が先頭で入り、銅メダルとなった。

 カヴェンディッシュらを擁するプロトンは、40秒遅れでゴール。グライペル、ボーネン、カヴェンディッシュの順で入ったが、集団先頭でも26位と、メダルにも入賞にも遠く及ばない順位に終わってしまった。

 ヴィノクロフはゴール後、涙と笑顔を交錯させた表情で喜びを爆発させた。今年39歳を迎える大ベテラン。数多くの勝利と、同時に挫折を経験してきた。昨年はツールで落車して大腿骨骨折の大けが。一度は引退を表明したが、それを撤回して臨んだ今シーズンそして今回の五輪だった。

 日本勢は別府が3位集団でゴールして22位。序盤から積極的な走りを見せて「逃げ切り」を成功させたが、メダル争いのスプリントは惜しくも届かなかった。逃げの別府に対して、集団をマークする作戦に回った新城は、イギリス勢の追走が沈んだことでレースとしては出番がなかった。プロトン内でゴールし、48位で完走している。

 
別府史之の話
 トップ集団でいけたのでゴールで勝負したかったが。いろんな努力を重ねてきたので満足。(共同)

新城幸也の話
 狙っていたメダルに届かず残念だが、通常のレースと違う五輪の雰囲気を楽しんだ。4年後に向け、良い手応えを感じた。(地元石垣島の人々にも)自転車の楽しみを味わっていただけたのではないかと思う。(共同)

 

レース結果
1 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン) 5時間45分57秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア) +0秒
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー) +8秒
4 テイラー・フィニー(アメリカ) +8秒
5 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン) +8秒
6 スチュワート・オグレイディ(オーストラリア) +8秒
7 ユルヘン・ルーランス(ベルギー) +8秒
8 グレゴリー・ラスト(ノルウェー) +8秒
22 別府史之(日本) +8秒
48 新城幸也(日本) +40秒

 

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