栗村さんも喋って走って大活躍「栗村修杯 ツール・ド・Mtささもり」開催 福島を舞台にした地域密着シリーズ戦の最終ステージ

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 福島県各地を舞台に全6戦で行われるホビーレースシリーズ「Link FUKUSHIMA サイクルツアー」の最終戦、「栗村修杯 ツール・ド・Mtささもり」が11月17日、福島市松川町で開催された。自転車ロードレースの人気解説者で宇都宮ブリッツェン監督の栗村修さんの名前を冠した、初めてのロードレース大会。もちろん栗村さんも来場し、レース前日には自転車教室、当日には実況解説から飛び入りレース参加など大活躍して大会を盛り上げた。

苦しそう?嬉しそう?に走る栗村さん苦しそう?嬉しそう?に走る栗村さん

リーダージャージを獲れ! 8カ月かけての「ステージレース」

ツール・ド・フランスのように総合3賞ジャージがスタートライン最前列に並ぶツール・ド・フランスのように総合3賞ジャージがスタートライン最前列に並ぶ

 Link FUKUSHIMA サイクルツアーで特徴的なのは、各クラスにおいて、ツール・ド・フランスを模した個人総合、ポイント賞、山岳賞の3賞ジャージが用意される点だ。ツールと同じ黄色、緑色、赤水玉のジャージで、しかもこれが全6戦を1つのステージレースに見立てたものになっている。

 ポイント賞、山岳賞は、各レース内に設けられたポイントの年間累計で争われ、なんと個人総合は各レースでの合計時間で争われる。年間のシリーズ戦をポイントではなくタイムで争うというのは、日本ではこれまでになかった非常にユニークな試みだ。


 シリーズ戦では個人タイムトライアル、ロードレース、ヒルクライム、クリテリウムとさまざまなタイプのレースが行なわれ、選手の総合力が試される。4月の第1戦から足かけ8カ月をかけた、壮大な「ミニ・ツールドフランス」になっている。

 今大会を前に、上級クラスではイエロージャージを着る個人総合トップと、2位とのタイム差はわずか14秒。緊迫した接戦のまま最終戦を迎えた。

白熱のレース、そして個人総合争い

山岳ポイントに向けては走りごたえのある上りだ山岳ポイントに向けては走りごたえのある上りだ

 松川町内の公道に設定された1周4.3kmのコースは、コンパクトながら丘陵地帯を利用した本格的なアップダウンコースだ。特にスタートライン直後から平均勾配7%の上りが1km続き、力の劣る選手を容赦なく振り落とす。

 12周回、51.6kmで行なわれた男子上級クラスでは、序盤4周目で3人の先頭グループが形成された。総合首位のイエロージャージを着る高橋義博(チームCB)と、学法石川高校1年生の渡辺歩(エカーズ)、Jエリートツアーなどで実績のある金子大介(ボンシャンス飯田)が、4位以下に大きく差を付けて先行する展開となる。中でもフランスのアマチュアレースで成績を残している金子が、持ち前のスプリント力を生かして、途中のスプリントポイント、山岳賞を全て獲得する走り。最後3人でのゴールスプリント争いも難なく制し、この日のレース“完全勝利”を飾った。

男子上級クラス、イエロージャージが先頭でペースアップ男子上級クラス、イエロージャージが先頭でペースアップ
金子大介がスプリントを“全部獲り”して優勝金子大介がスプリントを“全部獲り”して優勝

 年間総合優勝は、先頭グループでゴールした高橋の手に。同じ松川町で6月に行なわれた第3戦では一度リーダージャージを失っており、僅差で迎えたこの最終戦は緊張したという。3人での逃げが決まった後は、下りのコーナーなどで無理をしないクレバーな走りで、総合首位の座を守りきった。

 9周回、38.7kmの男子中級クラスでは、3周目の上りから単独で抜け出した近藤雄一郎が、そのまま後続を寄せ付けずに独走で勝利を飾った。単独逃げながら、上級クラスの先頭グループを上回るペースで走り続けた快走に、解説の栗村さんも大絶賛。自転車競技の名門、学法石川高校の自転車部の主将を務める2年生。来年の目標はインターハイ、将来の夢は競艇選手だという。

男子中級クラスを独走する近藤雄一郎。小柄ながらパワフルな走り男子中級クラスを独走する近藤雄一郎。小柄ながらパワフルな走り
学校の仲間が見守る中、独走でゴールイン。栗村さんも「100点満点」のガッツポーズ学校の仲間が見守る中、独走でゴールイン。栗村さんも「100点満点」のガッツポーズ
Jスポーツなどでおなじみの名調子で解説をする栗村さんJスポーツなどでおなじみの名調子で解説をする栗村さん

栗村さんも走った 台湾からタオカスの社長も出場

 上級・中級の後は、男子初級・女子・小学生のレースが、それぞれ6周・4周・3周で行なわれた。先頭のタイム差に応じて途中での足切りがある中級以上のレースに対し、こちらは足切りなし。参加したサイクリストたちはそれぞれのペースで「レース」の走りを楽しんだ。

男子初級クラスのレース。集団で上りに突入男子初級クラスのレース。集団で上りに突入

 上位クラスのレースでは実況席で解説を務めていた栗村さんは、なんと着の身着のままで飛び入り参戦。女子のレースに混じり4周を走った。走り始めたら元レーサーの血が騒いだようで、上りでは口の中が血の味になるほど追い込んでしまったとか。最後は「ガッツポーズ評論家」らしく、いろんな種類のガッツポーズを連発しながら笑顔でゴールした。

女子のレース。後ろに何やら変な人が…女子のレース。後ろに何やら変な人が…
小学生のレース小学生のレース
ガッツポーズでゴールする栗村さんガッツポーズでゴールする栗村さん

 また、シリーズ戦の賞品としてバイクフレームを提供している台湾メーカー「TAOKAS」(タオカス)から、ウェイン・ヤン社長がこの大会のために来日。初級クラスでのライドを楽しんだ。タオカスは昨年にスタートしたばかりの新興ブランドだが、長年、有名ブランドのOEM生産を手掛けており、高い技術力と生産能力から、高品質のバイクフレームを低価格でリリースしている。

 ヤン社長は「皆さんと元気に一緒に走れて、とても感動しました。東北の大震災以来、台湾の人は東北の人たちのことをずっと心配しています。タオカスも何を協力できるのかとずっと考えています」と話し、「これからもリンク東北を応援します。来年また会いましょう」とエールを送った。

タオカスは台湾から社長のヤンさんが来日タオカスは台湾から社長のヤンさんが来日
ヤン社長も初級クラスに参戦ヤン社長も初級クラスに参戦
タオカスの2014年モデル。前三角をワンピース成型する独自技術をもつタオカスの2014年モデル。前三角をワンピース成型する独自技術をもつ

レース後のおもてなしも満載 地域密着を実感するレース

 レース後はメーン会場となる水原小学校に戻り、表彰式などが行なわれた。体育館内には仮設ながら本格的な「そば食堂」が出現。参加者には大会ゼッケンと交換で、ボリューム満点の天ぷらそばが振る舞われた。

体育館内にそば屋の暖簾が掛けられた体育館内にそば屋の暖簾が掛けられた
たっぷりの天ぷらそばに栗村さんも仰天たっぷりの天ぷらそばに栗村さんも仰天

 この日のレースの表彰では、地元からお米、卵、味噌などが賞品として贈られた。また最終戦ということで、年間総合成績の表彰も行なわれ、各賞ジャージが確定。総合優勝者には後援の福島民友新聞社からクリスタルトロフィーが、また各賞それぞれの勝者に、タオカスからロードフレームがプレゼントされた。

男子上級クラス年間表彰男子上級クラス年間表彰
男子上級クラス表彰男子上級クラス表彰
女子クラス年間表彰。各クラス優勝者には福島民友新聞社からクリスタルトロフィーが贈られた女子クラス年間表彰。各クラス優勝者には福島民友新聞社からクリスタルトロフィーが贈られた

 今回、初めて自らの名前を冠した大会に携わった栗村さんは、大会を通じて「ものすごく地域に必要とされている自転車レース」だと感じたという。「宇都宮ブリッツェン」の監督を4シーズン務めてきた栗村さんだが、来年は監督の仕事を離れ、ツアー・オブ・ジャパンの運営スタッフとして新たなステップに進むことが決まっている。開催によって地元が元気付けられているこの大会を、「今後自転車ロードレースが発展していく上で、いろんな正しい要素が含まれているレース」と話し、「ここで学んだことを逆にツアー・オブ・ジャパンに注入しつつ、大きな自転車文化を創っていきたい」と意気込みを語った。来年も同じように「栗村修杯」をぜひ開催したいという。

初の“冠大会”を行なった栗村さん。「来年もぜひ」初の“冠大会”を行なった栗村さん。「来年もぜひ」
大盛り上がりのジャンケン大会大盛り上がりのジャンケン大会

 最後はタオカスや栗村さん提供のスペシャル賞品が当たるジャンケン大会が行なわれた。来年のシリーズ戦は、3月にいわき市でタイムトライアル大会を、また5月には福島県を飛び出して宮城県白石市で、駅前のお祭りに併催する形のロードレースをそれぞれ開催する方向で調整しているという。さらに、松川町を含めた数レースを開催し、シリーズ戦を構成する予定だ。シリーズを主管するLink TOHOKU発起人の鵜沼誠さんは、「“地域の遊び”としてのロードレースを広げたい」といい、将来は東北全域でのロードレース大会につなげたいと展望している。

(写真・文 米山一輝)


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