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栗村修の“輪”生相談<10>30代男性「補給について教えてください」

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 補給について教えてください。

 運動強度や距離によってはかなり違いがあると思いますが、参考にしたいと思います。

 ドリンクの中身、補給食の種類、効率のいいもの、摂るタイミングなど、ぜひお聞かせください。よろしくお願いします。

(30代男性)

 ツール・ド・フランスなどを見ていてもわかるように、ロードレーサーという人たちは、果たして走ることが仕事なのか飲み食いが仕事なのかわからなくなるレベルで補給を摂っていますよね。それは、補給が勝敗を決めることさえあるからです。それほど重要ということです。

 補給の内容に関しては、実は秘密はありません。たとえば、宇都宮ブリッツェンのサコッシュの中見は、ドリンクの入ったボトル、ブリバー、ジェルであるワンセコンド、あとはバナナくらいです。水分と、素早くエネルギーになる甘いもの、という定石通りの内容です。それらを、15分に1回など、こまめに摂っていきます。
 
さて、その補給ですが、「水分」と「カロリー」の2つにわけて考えてみましょう。「ドリンクと補給食」ではないところに注意してください。その理由は、後ほど。

 まず水分。夏場にロングライドをすると、平気で体重が2、3kg減ってしまいます。脂肪は確かに燃えますが、いくらなんでも1日でこんなに減るはずありませんよね。これは水分の減少によるものです。

今年のツール第18ステージで脱水症状に陥ったコンタドール。トッププロもこうなってはお手上げ今年のツール第18ステージで脱水症状に陥ったコンタドール。トッププロもこうなってはお手上げ

 一説には、体重の2、3%の水分を失うと、運動のパフォーマンスが10%落ちると言われています。これは、わずかな差で勝敗が決まるレースでは致命的ですね。さらに水分を失うと、頭痛、体温上昇、痙攣などの症状があらわれ、脱水になります。こうなるとレース云々以前に危険な状態です。

 強い喉の渇きを覚えた段階で、すでに体重の2、3%は水分を失っているという話もあります。つまり、喉が渇いてしまったらレースには勝てないと。パフォーマンスのためにも、健康のためにも水分補給は重要です。

 適切な水分補給の量を知るためには、練習前後に体重を計る習慣をつけるしかありません。理想は、練習前後で体重が変わらないことですね。ここまでが水分の話です。

 次はカロリーの話ですね。これは、具体例を挙げつつ考えてみましょうか。

 標準的な体型・体重のAさん(男性)。ダイエットもしたいし、秋晴れの週末に気合を入れて100kmのLSDトレーニングに出かけます。時間にして、まあ5時間くらいですね。

 まず朝。今日はロングライドということで、パスタとシリアルをがっつり。1000Kcalといったところでしょうか。食休みをしたら、いざ出発。脱水にならないよう、ドリンクをしっかり飲みます。飲むのは、宇都宮ブリッツェンも使うグリコのCCDドリンク。水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなども摂れますから効率がいいんです。ちなみに、1本(500㏄)あたり170kcalです。1時間1本として、170kcal×5=850kcal。

 ハンガーノックにも要注意ということで、補給食もちゃんと摂ります。2回のコンビニ休憩で、それぞれアンパンをひとつずつ(300kcal×2=600kcal)。甘いものだけじゃ飽きちゃうので、おにぎりも1個(200kcal)。まあ、お昼ごはんと考えれば少なすぎるくらいですよね。

 無事ロングライドを楽しんで帰宅。すぐ、回復のためにプロテインとフルーツを少し(350kcal)。ここまでで、Aさんは3000kcalを摂っていることになります。いっぽうで、100kmのLSDで消費できるカロリーは、標準的な体形の男性で、ざっと2000kcalくらいでしょうか。何もしなくても消費される基礎代謝が1500kcalとすると、Aさんがこの1日で消費するカロリーは約3500kcalです。

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 おわかりになるでしょうか。Aさんがわずかでもダイエットするためには、夕食を500kcal以下に抑えなければいけないんです。ところがどっこい、今日はいっぱい走ったし、昼飯も抜いたし、焼肉でも行っちゃうか!(1500kcal)。

 ロードバイクに最適な爽やかな11月、がんばって1000kmも走り込んだAさんの体重は、思いっきり増加していました。悲惨ですね。でも、これはよくある落とし穴なんです。

 このような悲劇を防ぐためにも、カロリー収支には要注意です。僕が「水分」と「カロリー」の2つにわけて考えた理由はここにあります。ドリンクのカロリーは意外とバカにならない。ナトリウムなど、水分以外も摂れる点では効率が良いのですが、カロリーは計算に入れておきましょう。自分の体重や性別と走る距離から、消費カロリーは予測できるはずです。それを基に、水分とカロリーの収支を常に意識するようにしてください。

(編集 佐藤喬/写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)
プロ・ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」監督。レース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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