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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<37>パヴェ、タイムトライアルを得意としたスペシャリストたちの幕引き

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 ロードレースシーズンが終わりしばらく経ちましたが、未だに寂しさを感じる今日この頃…。来シーズンに向けた情報も落ち着き始め、ファンにとっても休息の時期ですね。さて、前回に引き続き、プロトンに別れを告げる選手たちの思い出を書いていきたいと思います。今回は特定分野に長けたスペシャリストをピックアップします。

余力を残して引退するフレチャ ピノッティはチームスタッフに

パリ~ルーベでは毎年上位に入ったフレチャ(パリ~ルーベ2013)パリ~ルーベでは毎年上位に入ったフレチャ(パリ~ルーベ2013)

 クライマーやオールラウンダーが次々と輩出されるスペイン勢にあって、数少ないパヴェ(石畳)巧者だったのがフアンアントニオ・フレチャ(ヴァカンソレイユ・DCM)。

 14年のキャリアのうち、ビッグレースでの表彰台はパリ~ルーベ3回(2005、2007、2010年)、ツール・デ・フランドル1回(2008年)、ヘント~ウェヴェルヘム1回(2005年)。悲願だったスペイン人初のルーベ優勝は叶わなかったものの、確実に上位フィニッシュする安定感が持ち味だった。

 今シーズン後半は、解散の危機にあったチームのために、コースレイアウト問わず多くのレースに参戦。最終レースはツアー・オブ・北京(総合23位)。結局、チーム解散を機に引退を発表したが、思い残したことはないようで、北京でのレース後すぐにハワイに飛んでサーフィンを楽しんだとか。

ナショナルチャンピオンジャージでTTに臨むピノッティはお馴染みの光景(ブエルタ・ア・エスパーニャ2013)ナショナルチャンピオンジャージでTTに臨むピノッティはお馴染みの光景(ブエルタ・ア・エスパーニャ2013)

 プロトンきっての知性派、マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)は、来シーズンから現チームのコーチングスタッフ入り。

 タイムトライアル(TT)スペシャリストとして、イタリアチャンピオンジャージ獲得6回、ジロ・デ・イタリアのTTステージも2度(2008、2012年)制している。ジロでは総合リーダーの証であるマリアローザを通算5日間着用。2010年には自身最高位となる総合9位でフィニッシュしている。

 キャリアの半ばからはイタリアチームを離れ、他国をベースとするチームに所属。自国の薬物問題から距離を置いただけではなく、スペイン語や英語など、さまざまな言語を学ぶ場としてチームを選んでいた一面もあったという。また、キャリア終盤には女子選手のコーチも兼任するなど、彼の考え方や取り組む姿勢に影響を受けたライダーは多い。

スプリント勝負のための牽引役を担ったグラーブシュ(ツアー・ダウン・アンダー2010)スプリント勝負のための牽引役を担ったグラーブシュ(ツアー・ダウン・アンダー2010)

 2008年の世界選手権個人TT覇者のベルト・グラーブシュ(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)は、チームとの契約満了を機に引退を決意。

 TTの強さはもちろんのこと、グラーブシュといえば自慢の巡航力を活かした集団牽引。チーム HTCに在籍していた頃は、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のスプリントのために、長時間牽き続ける姿がおなじみだった。以前からTT強者を輩出してきたドイツ勢。その伝統は、トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ)らがしっかりと引き継いでいる。

キャプテン・アメリカ風の独特なTTジャージを身にまとうザブリスキー(ツール・ド・フランス2012)キャプテン・アメリカ風の独特なTTジャージを身にまとうザブリスキー(ツール・ド・フランス2012)

 同じくTTスペシャリストのデイヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)は、34歳でキャリアを終了。

 2度の世界選手権個人TT表彰台(2006年銀メダル、2008年銅メダル)のほか、2005年のツール・ド・フランスではプロローグを制覇。マイヨジョーヌを3日間着用した。地元最大のレースであるツアー・オブ・カリフォルニアでも、毎年のように総合優勝争いを演じた。

 ザブリスキーといえば、映画「キャプテン・アメリカ」を連想させるTTジャージで覚えた方も多いだろう。そんな彼の姿は、今シーズンで見納めとなった。

ツール・ド・フランス2015のグランデパールはユトレヒトに決定

 ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.は11月8日、2015年のツール開幕地(グランデパール)に、オランダ中部の街・ユトレヒトを選出。ツールがオランダで開幕するのは6回目となる。

2010年はロッテルダムがグランデパールに選ばれた(ツール・ド・フランス2010)2010年はロッテルダムがグランデパールに選ばれた(ツール・ド・フランス2010)

 ユトレヒトは、首都アムステルダムの南30kmに位置。学生の街としても知られているほか、「大聖堂の塔」が街のシンボルだ。12年もの間、街を挙げてツール誘致に尽力。8月には、大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏が視察に足を運び、その熱意や活気にあふれた街の雰囲気に太鼓判を押した。

 自治体、地元企業合わせて1000万ユーロ(約13億3000万円)を用意し、2年後のツールに向けて万全の態勢を整える。11月28日には、パリで公式発表が行われる予定だ。1968年ツール総合優勝者のヤン・ヤンセン氏がイベント大使に任命され、発表に華を添えることとなっている。

今週の爆走ライダー-シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファルマ・クイックステップ)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

シャヴァネルはスイス籍のプロコンチーム、イアムを新天地に選んだ(ツール・ド・フランス2013)シャヴァネルはスイス籍のプロコンチーム、イアムを新天地に選んだ(ツール・ド・フランス2013)

 決断のときがやってきた。5年間所属した現チームを離れ、来シーズンからはプロコンチネンタルチームのイアム サイクリングへと移籍する。周囲の慰留を求める声は多かったが、自らの意思は固かった。

 トップシーンに現れたときは、「未来のツールチャンピオン」とフランス自転車界を挙げての期待がかけられた。それだけに、多くのレースで結果を残しているにもかかわらず、ツールのリザルトが振るわず物足りなさを抱くファンも多かった。

 とはいえ、タイムトライアルとクラシックで年々強さを増していくことで、周囲の見方を変えさせることに成功した。新チームでは、いよいよ単独エースとして“北のクラシック”へと向かう。この冬は、シクロクロスで12レース出場を予定。しっかりと脚づくりを行うつもりだ。

来シーズンは、単独エースとして“北のクラシック”に挑む(E3 ハーレルベーケ2013)来シーズンは、単独エースとして“北のクラシック”に挑む(E3 ハーレルベーケ2013)

 フランスのアイドルライダーが加入するとあって、イアム サイクリングにはツール出場の期待もかけられている。2014年シーズンは「イアム旋風」がロードレース界に巻き起こっても不思議ではない。シャヴァネルのキャプテンぶりにも大いに注目しよう。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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