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栗村修の“輪”生相談<9>30代男性「膝がいつも痛くなります。乗り方が悪いのでしょうか?」

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 いつも楽しく拝見しています。
私は現在30代の男です(身長約160㎝、体重はおよそ60㎏)。2012年の夏から片道10㎞の自転車通勤をはじめ、今年の4月にロードバイクに乗り換えました。ロングライドにも挑戦しはじめたのですが、100㎞前後の峠を含んだライドだと右膝(特に外側)がいつも痛くなり、帰ってくるころにはペダルに足も乗せていられなくなります。
これは私の乗り方が悪いのでしょうか? それともただの筋力不足なのでしょうか?
(30代男性)

 「ペダルに足を乗せられない」というのは相当の状態ですね。決して無理をなさらずに、まずは病院に行って、膝の状態をチェックしたほうがよいと思います。

 ランニングなどに比べて故障が少ないといわれる自転車ですが、膝の痛みは多くの人を悩ませています。自転車に乗ると、首、お尻、腰など色々な場所に痛みが発生することがありますが、多くは姿勢が原因のやむをえないもので、故障ではありません。正常というのも変ですが、ある程度はロングライドにつきものです(ただし、故障の場合もあるので要注意)。

 しかし、膝の痛みは本来発生してはいけないものです。痛みがある時点で、それはもう故障か、故障に近い状態です。なんらかの対策が急務です。

 さて、対策ですが、2つあります。まずは病院。プロが診断を下してくれますから、炎症の発生個所や状態を知ることができます。これは対策を立てる上で欠かせないプロセスですね。痛み止めの処方など、治療もしてもらえます。

 ですが、どうしても対症療法になりがちです。お医者さんにもよりますが、根本原因まで掘り下げてもらえる場合は少ないんじゃないでしょうか。経験則では、病院だけで済ませると原因を取り除けないので、けっこうな確率で再発してしまいます。

 その場合、スポーツマッサージ療院や鍼灸院に行くといいかも知れません。骨盤が曲がっているとか、どこか一点に負荷がかかっているとか、根本原因を探してくれる場合があります。この2つを併用するとよいでしょう。

せめてこのくらい脚が長ければ…せめてこのくらい脚が長ければ…

 膝の痛みのかなり多くは、ポジションに原因があります。特に、クリートの位置や角度ですね。いわば、足を無理やりペダルに縛り付けている状態なので、どうしても肉体に負担がかかります。ここに原因がある場合があります。

 ペダルを1回転、回す間に、最適な足の角度は微妙に変化しているはずです。踏み込む時は内股がいいけれど、引き足ではがに股がいい、等々。だから、最近のビンディングには、足が左右に動けるだけの遊びをもたせた「フローティング機能」がついているわけです。これがないと、膝に負担がかかります。脚が長くてまっすぐな外国人選手はフローティングのない、固定クリートを選ぶ傾向がありますが、これは脚が長いと、脚自体がフローティング機能を持つというか、多少左右に遊ばせることができるためですね。余裕があるんです。

 しかし、そうでない場合は脚に負荷がかかりがちです。質問者さんの身長を考えると、下死点で脚が伸びきっているかもしれません。これも膝には負担になります。要するに、脚に余裕がないと無理矢理に脚を回す状態になり、負担がかかるということです。

 すぐにできる対策は2つ。よくあるのは、サドルが高すぎて脚に負担が掛かっているケースです。思い切って1cmくらい下げてもいいかもしれません。サドルが低すぎて膝を壊した、という話はあまり聞きませんからね。もうひとつは、ちょっとお金がかかりますが、短いクランクに交換すること。下死点で膝に余裕が生まれます。

 細かく挙げればキリがありませんが、ほかに、Qファクター(左右のペダル間の距離)、クリートの角度、前後・左右位置、フローティング角度なども再考してみましょう。意外と知られていないのが、足の角度。靴の中での、足の左右への傾きです。クリートにスペーサーを入れて角度を調整する選手もいるんです。

 このあたりを色々修正してみても痛みが消えない場合、原因はフィジカルにある、つまり本格的な故障と言わざるをえません。その場合は、長期戦を覚悟です。色々なところを回って、なんとか原因を追究して治さなければいけません。プロでも、膝の故障に苦しむ選手は多くいます。僕も監督として、そういう選手をたくさん見てきました。焦らず、じっくりと治療しましょう。

(編集 佐藤喬/写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)
プロ・ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」監督。レース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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