工具はともだち<33>空転時の音にまでこだわったラチェットハンドル 工具の世界にも「グッドデザイン賞」の栄誉

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KTC「NBR390」KTC「NBR390」

 前回までは、緊急的な工具をご紹介してきました。登場回数は少ないですが、持っていれば、いざという時に便利だと思います。あくまでも緊急用なので、できるだけ、使用する事態にならないほうがいいですけれどね。

 今回も少し変わった情報をお届けします。グッドデザイン賞を、ご存知ですか? 少し詳しく説明すると、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、世界でも有数の歴史と実績を誇る日本唯一の総合的なデザイン推奨制度なんです。対象となるものは、自動車などの工業製品から家電製品、ソフトウェアといった、有形無形を問わず、デザインのあらゆる領域にわたっています。毎年の受賞数は約1000件、55年間の歴史のなかでは約3万8000件にものぼるそうです。

 企業としては、名誉ある賞を獲得するために、機能や性能に加え、デザイン、サービスといった要素も向上させようと様々な試行錯誤を繰り返し、グッドデザインにふさわしい商品にすべく、日々努力を続けています。

 2013年のグッドデザイン賞において、自転車では、ノイズバイクの「ノイズカーゴ」やブリヂストンの「ANCHOR RL8」「CHeRO」が受賞しました。ブリヂストンは、これで112点目の受賞になるとか。

 自転車メンテナンスのためにご紹介している工具類も工業製品ですので、もちろん、賞の対象として扱われます。我々KTCの製品では、まだまだ少ないですが、通算で26点がグッドデザイン賞を受賞しています。

「NBR390」(左)と従来品「NBR3UN」の比較。ギアの枚数の違いが一目瞭然です「NBR390」(左)と従来品「NBR3UN」の比較。ギアの枚数の違いが一目瞭然です

 KTCでは2013年のグッドデザイン賞で、フラッグシップモデルであるネプロスシリーズのラチェットハンドル「NBR390」が受賞することができました。狭い場所でもボルト・ナットの締め、緩めが可能なラチェットレンチといったカテゴリの商品で、内部構造のギアが世界最多の90枚ということや、人間工学に基づいたデザイン、フォルム、そして空転させた時の“音”にまでこだわった点が評価されました。

 自転車のメンテナンスは、比較的作業スペースに余裕がありますので、ラチェットレンチの使用頻度は多くはないようですが、自動車やDIYなどメンテナンスシーンを広げていけば、必需品となる工具です。

 以前、F1チームにこのネプロスシリーズを提供していた時期がありました。あるメカニックは、このシリーズを非常に気に入ってくれて、ドイツのワークショップに訪問した際に、小一時間、自慢話をされました。通訳の方を通じて、このシリーズの良さを、色んな角度からお聞きしたのを覚えています。

 この「NBR390」の“音”を、リアルにお伝えすることはなかなか出来ませんが、10月30日から11月4日まで東京ミッドタウンで行われる「グッドデザインエキシビジョン2013」に展示しますので、サイクリング日和となれば愛車でお越しくださいね。

 次回は、待望のトルク管理のニューアイテムをご紹介。自転車メンテナンスにも活用いただけるのではと考えております。

~工具屋さんのひとり言~
大きな台風が続いていますが、皆さん、安全に自転車を楽しんでいただいているでしょうか?先日の台風の際には、私はジテ通をやめ、徒歩で通勤。テレビで見たことのある「傘をさして歩けない状況」に遭遇しました。新品の傘を守れたことだけが救いでした…。

小池覚(こいけ・さとる)
KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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