2013 ジャパンカップ・サイクルロードレース【ロードレース詳報】雨と風に苦しめられたジャパンカップ 独走を決めたロジャースが初優勝

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 ジャパンカップ・サイクルロードレースは20日、メーンレースとなるUCIロードレースが森林公園周辺特設コースで開催され、最終周回で独走に持ち込んだマイケル・ロジャース(オーストラリア、チーム サクソ・ティンコフ)が、そのままゴールまで逃げ切って初優勝した。日本人最高位は西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)の9位だった。

表彰台に上がった(左から)バウアー、ロジャース、クネゴ表彰台に上がった(左から)バウアー、ロジャース、クネゴ

 ワンデーレースとしては、アジアで唯一のUCI(国際自転車競技連合)超級クラス(HC)にカテゴライズされる、名実共に国内最高峰のロードレース。22回目の開催となる今年は、過去最多となる7チームのUCIプロチームが参加し、ツール・ド・フランスなど世界のトップレースで活躍する選手が例年にも増して多く出場した。朝から雨が降るあいにくの天候にも関わらず、沿道には6万2000人の観衆が詰め掛けた。

スタートのサインを終えたモーリ(左)とクネゴ。2人ともジャパンカップの優勝経験者だスタートのサインを終えたモーリ(左)とクネゴ。2人ともジャパンカップの優勝経験者だ
今期限りで引退する福島晋一(右から2人目)のため、新城幸也(右から3人目)が駆けつけた今期限りで引退する福島晋一(右から2人目)のため、新城幸也(右から3人目)が駆けつけた
84人の選手がスタート84人の選手がスタート

 レースは14.1kmの周回コースを10周し、最後の11周目のみショートカットの10.3kmを走る、151.3kmの距離で行われた。朝10時、厚く雲が立ちこめ小雨が降る中でスタート。まずは例年通り、逃げを決めたい国内チームが活発に動く展開に。1周目の古賀志林道頂上から下りきった時点で、10人強の逃げグループが形成された。

2周目に入った逃げ集団2周目に入った逃げ集団

 阿部‎嵩之(チームUKYO)が積極的に牽引する逃げグループは、アントニオ・カベッロ(同)、普久原奨、堀孝明(宇都宮ブリッツェン)、吉田隼人、入部正太朗(シマノレーシング)、福島晋一、内間康平(チームNIPPO・デローザ)、平井栄一(チームブリヂストンアンカー)、マティアス・フリードマン(ドイツ、チャンピオンシステム プロサイクリングチーム)、ルイスエンリケ・ダヴィラ(メキシコ、ジェリーベリー・プレゼンテッドバイケンダ)の11人。

 2周目に入ってすぐにフリードマンがペースを上げて単独で先頭に立ち、10人の追走グループと、そして大きなメーン集団という展開になった。快調に飛ばすフリードマンは、2周目終了時点で追走グループに1分20秒、メーン集団に2分50秒の差をつけた。メーン集団はUCIプロチーム勢が先頭を固めてペースを作る。

単独先頭で1回目の山岳賞を獲得したフリードマン単独先頭で1回目の山岳賞を獲得したフリードマン
5周目、集団から遅れる宮澤5周目、集団から遅れる宮澤

 3周目の山岳賞はフリードマンが獲得。コースでは雨と風が激しくなり、選手たちの体力を容赦なく奪う。レース中盤までにペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)、リッチー・ポート(オーストラリア、スカイ プロサイクリング)、また宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)らの有力選手がリタイアした。

古賀志林道を上るメーン集団古賀志林道を上るメーン集団

 5周目に入ると、先頭を走るフリードマンが失速。後続集団から差を一気に1分縮められてしまう。2度目の山岳賞が懸かる6周目の上りで、追走グループがフリードマンを捕らえ、山岳賞はダヴィラが先頭で通過した。

2回目の山岳賞を獲得したダヴィラ2回目の山岳賞を獲得したダヴィラ
逃げ集団で積極的な走りを見せた福島逃げ集団で積極的な走りを見せた福島

 逃げの11人から数人が脱落していく中、メーン集団も徐々に追走のペースを上げ、緊張感が高まっていく。今季限りでの引退を表明している福島晋一は、今回が最後の国際レース。得意の逃げの展開に乗ったまま、9周目の山岳賞を前に積極的なペースアップを見せた。

補給を受ける吉田隼人補給を受ける吉田隼人

 3度目の山岳賞はしかし、頂上目前で福島をかわした吉田隼人が獲得。そのままこの2人が前で逃げ続ける展開となった。残り2周のフィニッシュラインを先頭で通過した2人だが、メーン集団も30秒差まで追いつめ、10周目の古賀志林道の上りでついに2人は吸収された。

 逃げの吸収とともにアタックが掛かり、古賀志林道の頂上を先頭で通過したのはロジャース。ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)やダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)、スカイ勢ら10人ほどが食らい付く中、昨年優勝のイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)、2位のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)らはやや遅れてしまう。

 下りを終えた時点で、先頭はロジャースとジョシュア・エドモンドソン(イギリス、チーム スカイ)の2人に。これを20秒ほどの差でクネゴ、アレドンドら10人弱のグループが追走した。この中に日本人は唯一、西谷が入っている。バッソ、マーティンらの集団は、約1分にまで差が開いてしまった。

先頭のロジャースを追うエドモンドソン先頭のロジャースを追うエドモンドソン
選手たちの走りで、大きな水しぶきが上がる選手たちの走りで、大きな水しぶきが上がる

 逃げの2人ではロジャースが積極的に牽引。鶴カントリーの上りをグイグイと1人で引っぱり、残り1周に突入すると、ついに古賀志林道の上りでエドモンドソンを突き放して単独トップに立った。約30秒差で頂上を通過したのは、エドモンドソンとダビド・ロペス(スペイン)のスカイ勢とアレドンドの3人。これをクネゴら数人が追いかける。

 坂を下りきったロジャースは、風雨の中を140km以上走っているとは思えない、安定したフォームと落ち着いた表情。かつて世界選手権タイムトライアルを2003年から3年連続で制しており、独走力には自信がある。これをクネゴら5人が追走するが、差は相変わらず25秒程度あり、ロジャースの逃げ切りは決定的となった。

大雨のサバイバルレースを制したロジャース大雨のサバイバルレースを制したロジャース

 たびたび後ろを確認していたロジャースだが、残り500mを切って勝利を確信。最後の100mからは両手を挙げて、悠々とウイニングラン状態でゴールラインを切った。優勝タイムの4時間25分は、前年より20分以上遅いタイムで、レースコンディションの厳しさを物語っている。

 2位争いはジャック・バウアー(ニュージーランド、ガーミン・シャープ)、クネゴ、アレドンドのゴールスプリントとなり、バウアーが2位、クネゴが3位に入った。西谷は第3グループの最後尾でゴールし、1分5秒差の9位だった。

2位争いスプリント勝負では、ジャック・バウアーがクネゴに競り勝った2位争いスプリント勝負では、ジャック・バウアーがクネゴに競り勝った
シャンパンで祝うロジャースシャンパンで祝うロジャース

 レース後の記者会見で、優勝したロジャースは「天気はひどかったけれど、最初から調子はよかった。ローリー・サザーランドと相談して、ラスト2周回のヒルクライムで逃げを試みたのがうまくいった。勝てて嬉しい」と喜びを語った。

 2位争いで先着したバウアーは、「試練の一日だった。僕はこれが初来日なんだけれど、これって日本では普通なのかな? 路面は滑りやすいしサバイバルなレースだった」とレースの厳しさが口にする一方、「日本の人たちのおもてなしには感謝している」と続け、最後に日本語で「ありがとう」と述べた。3位となったジャパンカップ優勝経験者のクネゴは「とても寒かったが、ベストをつくしてチームに貢献しようと思った。シーズンの締めくくりとしてもとても満足している」と語った。

山岳賞を獲得した(左から)フリードマン、ダヴィラ、吉田山岳賞を獲得した(左から)フリードマン、ダヴィラ、吉田
9位に入りアジア最優秀選手賞を受賞した西谷9位に入りアジア最優秀選手賞を受賞した西谷
7位でU23最優秀選手賞のドンブロウスキー7位でU23最優秀選手賞のドンブロウスキー

ジャパンカップ・サイクルロードレース(151.3km)

1 マイケル・ロジャース(チーム サクソ・ティンコフ) 4時間25分00秒
2 ジャック・バウアー(ガーミン・シャープ) +44秒
3 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ)
4 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)
5 ダビド・ロペス(スカイ プロサイクリング) +50秒
6 マヌエーレ・モーリ(ランプレ・メリダ) +58秒
7 ジョゼフ・ドンブロウスキー(スカイ プロサイクリング)
8 カルロス・ベロナ(オメガファルマ・クイックステップ)
9 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +1分05秒
10 ジョシュア・エドモンドソン(スカイ プロサイクリング) +1分33秒
17 飯野智行(宇都宮ブリッツェン) +3分58秒
19 野中竜馬(シマノレーシング)
20 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)
25 西薗良太(チャンピオンシステム プロサイクリングチーム) +4分36秒
27 内野直也(日本ナショナルチーム) +8分10秒
30 増田成幸(キャノンデール プロサイクリング) +8分17秒
31 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
33 初山翔(チーム ブリヂストン アンカー) +8分19秒
34 吉岡直哉(日本ナショナルチーム)
35 吉田隼人(シマノレーシング)
36 鈴木譲(シマノレーシング) +10分30秒
38 秋丸湧哉(日本ナショナルチーム) +12分16秒
39 福島晋一(チームNIPPO・デローザ) +12分36秒

山岳賞
3周目 マティアス・フリードマン(チャンピオンシステム プロサイクリングチーム)
6周目 ルイス・エンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリー・プレゼンテッドバイケンダ)
9周目 吉田隼人(シマノレーシング)

アジア最優秀選手賞
西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)

U23歳優秀選手賞
ジョゼフ・ドンブロウスキー(スカイ プロサイクリング)

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