2013 JAPAN CUP「東京五輪に来られればいいね」 レイディオシャック・レオパード・トレックの“2人の王者”にインタビュー

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 栃木県宇都宮市で10月19日、20日に開催される国内最高峰のロードレース「ジャパンカップ」。今年のレースには、ツール・ド・フランスなど世界の舞台で戦うUCI(国際自転車競技連合)プロチームが、過去最多の7チーム参戦することになり、ハイレベルの戦いに期待が高まっている。「Cyclist」ではレースを目前に控え、世界トップクラスの実力を誇る「レイディオシャック・レオパード・トレック」で活躍する現ニュージーランドチャンピオンのハイデン・ルールストン(32)と、現ルクセンブルクチャンピオンのボブ・ユンゲルス(21)にインタビューし、プロ選手の生活や、日本への思いなどを聞いた。 (聞き手 柄沢亜希・写真 米山一輝)

レイディオシャック・レオパード・トレックのハイデン・ルールストン(左)とボブ・ユンゲルスへインタビューの場面レイディオシャック・レオパード・トレックのハイデン・ルールストン(左)とボブ・ユンゲルスへインタビューの場面

『僕らはすでにプロである』ということ

――2人とも日本が初めてですね

ボブ・ユンゲルス 「さっきは寿司や刺身を食べてきた。ヨーロッパでも最近はメジャーで、好んで食べてるよ」

ハイデン・ルールストン 「(母国の)ニュージーランドではいつも食べてるよ」

――2人の年齢が11歳差というように、ベテランと若手が混在しているチームですね

ハイデン・ルールストンハイデン・ルールストン

ルールストン 「クリス・ホーナーなんて来週42歳になる(笑) 大きなチームでは、年齢差はよくあることだと思っている。来年にはボブの下にさらに2人、若い選手が入ってくるから、トレックでは20歳から42歳までいることになるね。アンダー23とは違った面で学ぶべきことが多く、才能ある若手にはやることがたくさんある。レース数も圧倒的に違ってくるしね」

ユンゲルス 「経験豊富なベテランライダーがたくさんいるのはいいことだと思う。僕は昨年、レオパード・トレックのコンチネンタルチームに所属していたけれど、それがプロとして初めての経験。ハイデンが言っていたように、(UCIプロチームは)レースがもっとハードで距離も長く、トレーニング戦略もはもちろんそれまでと違った。チームの中で役割が与えられるので、たとえば“リーダーが5人”なんてシチュエーションは絶対にないよね。全部がきちんと決められている」

ルールストン 「わかりやすく言うなら、『僕らはすでにプロである』ってことなんだ。“プロになるため”に何かをするんじゃなくて、違ったゴールを見据える必要が出てくる」

――ドーピング問題をはじめ、自転車競技文化で何か変化を感じることはありますか

ルールストン 「2003年からプロとして活動をしている。変わってきたと思うポイントはまさにそこなんだ。もちろん昔だって全員がドーピングをしていたわけではない。でも確かにズルをしていた選手はいたし、陽性反応が出る選手も多かった。それが今ではドーピングがよくないこととして認識されているし、罰則も徹底されてシビアに管理されている。それは、これから先15年と選手をやっていくボブみたいな若手にとってはとても重要なこと。僕はあと2~3年だからその効果を体感できないとしてもね!」

「ファビアンは本当にいいヤツ。尊敬している」

――2人とも来季メインスポンサーとなるトレック新チームとの契約が決まっています

ドーピング問題について語るルールストン(手前)ドーピング問題について語るルールストン(手前)

ユンゲルス 「若いメンバーを含め、チームに新しいライダーが入る。いいプロジェクトだと思う。僕はルクセンブルクの自転車ブームの中で育った。もちろん一歩一歩自分で着実にこなしていく必要はあったけれど、それはシュレク兄弟の功績のおかげでもある。それに5年前まではテレビの中にいたような彼らと親しくトレーニングに出かけられるのは、特別なことだと感じている」

ルールストン 「とてもいいチームになると思うよ。変化することは自分にとっても大切。2005年に同じチームだった別府史之とまた同じチームになるというのは楽しみだ。同い年のファビアン・カンチェッラーラとも、今季は特にお互い好調に戦えた。僕らも仕事はしているけれど、ファビアンが担っている役割はそれ以上。彼は本当にいいヤツで尊敬しているし、彼も僕らを信頼してくれている」

――ユンゲルス選手は今年、タイムトライアル(TT)とロードの両方でルクセンブルクのチャンピオンに輝いていますね

ルクセンブルクの若きホープ、ユンゲルスルクセンブルクの若きホープ、ユンゲルス

ユンゲルス 「今年は本当に調子がよかった。“ナショナルストライプス”(ルクセンブルクの国旗は赤・白・水色)を身にまとえるなんて光栄なこと。これまで積み重ねてきたことが実って勝てたので、嬉しいよ」

――ルールストン選手は3回目のニュージーランドチャンピオンですね。北京五輪では、トラック競技の個人追い抜きで銀メダル。トラックとロードレースではどう違いますか

ルールストン 「個人追い抜きはたったの4kmだけれど、それを走る4分間にいかに高出力を出せるかが勝負どころ。一方でロードレースは、距離だけを比較しても、270kmを走ることもあるので全然違う」

「パリ~ルーべの空気は特別だった」

――好きなレースのタイプを教えてください

ルールストン 「僕が好きなのはクラシックレース。レースの雰囲気や、ベルギーの観客の熱気が好きなんだ。ツール・ド・フランスで言えば、最終日のパリのような感じかな。ワンデイのね。大変じゃないかって? そこが好きでもあるんだ。心拍が上がり、苦しさを乗り越える感じが大好きなんだ」

ユンゲルス 「まだグランツールを経験していない状態では決めるのは難しいな。今年はパリ~ルーべに参戦する機会があったのだけれど、すばらしかった。ファビアンの勝利もあったしね! 終わった後の空気は、ほかのレースでは味わうことができない特別なものだった。もちろんグランツールを走りたいと思っているけれど、今年はパリ~ルーべが間違いなく僕にとって一番貴重なレースだった」

――トレックのバイクについての感想は

ボブ・ユンゲルスボブ・ユンゲルス

ユンゲルス 「ハイデンと僕は違うタイプのバイクに乗っている。彼はクラシック向きのDomane(ドマーネ)で、僕はMadone(マドン)。もう3年もマドンに乗っているけれど、何も言うべきことがないくらいにいいバイクだと思う」

ルールストン 「昔と比べてバイクは軽く、走りやすくなっていると思う。何台もバイクを経験した中で、ドマーネはジオメトリーに優れ、乗っていても疲れない。乗ってみれば分かるよ」

――ジャパンカップではどんな走りをしたいですか

ユンゲルス 「きついコースだと聞いている。シーズンも終わりに近づき、コンディションも様子見だけど、幸運に恵まれるようなことがあれば積極的に結果を狙っていきたい」

ルールストン 「僕は完全に、チームをアシストするつもりで来ている(笑) 僕向きのコースじゃないことは分かっているけれど、チームは調子がいいので、できる限り力になりたいと思っているよ」

「いい仲間と走れる環境も重要」

――2020年には東京五輪が開催されます

ユンゲルス 「願わくば2回目のオリンピックとして来られればいいね。きょうは日本に来て最初の日だけれど、人は優しいし、いいところだと思っている」

ルールストン 「僕はニュージーランド代表のコーチとして来ているかもね!」

チームワークのよさを感じさせるルールストン(左)とユンゲルすのやりとりチームワークのよさを感じさせるルールストン(左)とユンゲルすのやりとり

――最後に、プロ選手を続けていく上で大切なことがあれば教えてください

ユンゲルス 「一番大切なことは、ひとつひとつ積み重ねていくこと。ひとっ飛びというわけにはいかない。4年前に決心をしてから、方向を定めてこなしてきた」

ルールストン 「喜びは何かってことと同じだと感じている。19~20歳の頃までは、長距離のレースや大きなレースに出場するなど、目標をやり遂げることが喜びにつながるので、そう難しくはない。25歳頃には体ができあがって、強くたくましくなる。でも30歳になったら? モチベーションを保ち続けなければならない。ボブが言ったように、結局は積み重ねていくしかない。どうやってレースを楽しんでモチベーションを保っているかって?」

ユンゲルス 「休暇でしょ?」

ルールストン 「いや、違うね(笑) シーズンを通してモチベーション、特に精神面でのモチベーションを保つためには、100%集中しすぎないことが大切。クラシックレースを走る時は、その日のゴールに向けて集中して、それが終わったらリラックスする…といった感じで、100%集中した翌月は90%とメリハリをつけている」

ユンゲルス 「いい仲間と走れる環境を選ぶのも重要だと思う。例えば自分が1週間、あるいは1カ月にわたってダメな期間が続いたとしても、信じてくれる仲間がいればきっと手を貸してくれる」

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