皆、絆でつながっている1年前の約束を胸に 今年もボランティアとして「ツール・ド・三陸」を走りました!

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 10月6日に岩手県で開催された「ツール・ド・三陸 サイクリングチャレンジ2013 in りくぜんたかた・おおふなと」では、参加者とゲストライダーの他に、参加者たちをグループごとに先導し、サポートを行うボランティア・ライドスタッフも走った。そのライドスタッフを2年連続で務めた、サイクリングクラブ「爆笑!茶利坊主団」団長の茶利坊主さんが、イベントの模様をレポートしてくれた。

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産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 昨年に続き「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」の一員として、たくさんの自転車仲間とともにボランティア・ライドスタッフを務めた。実行委員会主催、グッド・チャリズム宣言プロジェクト共催のこのイベントは、三陸の復興活動を応援することが目的だ。今年は、昨年を上回る800人もの自転車愛好家たちが全国から集まった。

産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 大会では、49kmを走る「健脚コースS」と、39kmの「健脚コースA・B」、それに17kmの「ファミリーコース」が設定され、私は健脚コースSの遊軍ライドスタッフとして巡回走行した。

 昨年はおびただしい数の瓦礫の山々に絶句し、「来年も、また来ます」と地元の方々に誓ったものだった。あれから1年経った今、瓦礫の山は大幅に減り、わずか数カ所だけになっていた。破壊され砂利道と化した沿岸線の一般道は、見事に復活を遂げ、コンビニや新しい住宅も建ち並んでいる。

 その素晴らしい変貌は、ボランティアや県民の皆さんの努力の成果であり、つくづく今年も来てよかったと思った。その一方で、まだまだ住宅の基礎部分のみを残した雑草地を見ると、心が痛んだ。

産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 今年で2回目のイベントは、昨年以上に濃い内容になっていた。それは多彩なゲストライダーたちの参加が物語っている。ツール・ド・フランスで3度の個人総合優勝を果たしたグレッグ・レモンさんをはじめ、ヒルクライム愛好家でモデルの日向涼子さん、キャスターでトライアスリートの山田玲奈さん、元新日鐵釜石ラグビー部員で日本選手権7連覇を達成した石山次郎さん(NPO法人スクラム釜石代表)ほか7名。

弟が暮らした地を駆けるシェリー・フレドリックさん弟が暮らした地を駆けるシェリー・フレドリックさん

 なかでも目を引いたのは、はるばる海を越えて参加したアメリカ人女性、シェリー・フレドリックさんだ。彼女の弟、モンティ・ディックソンさんは2011年3月11日に陸前高田市で被災し、亡くなった。外国語指導助手としてこの地の小中学校の子供たちに熱心に英語を教えていたという。トライアスリートでもある彼が、自転車で縦横無尽に走っていた陸前高田の街を彼女も走った。

 一般参加者の中にも、昨年に続いて参加したというリピーターが多く見受けられた。それぞれの想いと絆を胸に秘め、800人のライダーが陸前高田の街並みを走り出す。

産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 木材が積み残っている瓦礫を横目に見ながら市内区域を抜け、16km地点に新設された大船渡市の碁石海岸レストハウスを目指す。碁石海岸は波によって磨かれた玉砂利が特長で、国の名勝天然記念物にも指定されている。そこから健脚A・Bコースの分かれ道を通過して大野湾に向かう。途中、大船渡の港ではたくさんの船が並び、活気を取り戻しているようにも見えた。

産経新聞社・早坂洋祐撮影

 ここまでの間に何カ所か勾配の厳しい所があり、上り切れずバランスを崩して転倒される方や、パンクされた方のお世話をした。27km地点のエイドステーション、黒崎温泉ではバナナ、グレープフルーツと「工房めぐ海」名物のおやきを提供してくれていた。これは中味がワカメで、とても香ばしい海の香りがして実に珍味。今年も食べられたことをうれしく思う。参加者は何人かごとにグループを作り、ボランティア・ライドリーダーの案内で風光明媚な三陸の海沿いを楽しそうに走っていた。

産経新聞社・早坂洋祐撮影
民宿志田で休憩するスクラム釜石のメンバーたち民宿志田で休憩するスクラム釜石のメンバーたち
メッセージが書かれた横断幕が掲げられていたメッセージが書かれた横断幕が掲げられていた

 さて今回、私が最も印象深く感じたのは、沿道で昨年にも増して地元住民の方々の声援が多かったことだ。「全国からの御支援ありがとうございます」という横断幕を掲げて応援して下さる方、大きな日の丸の旗を振って励ましてくれる方、家族一同やご夫婦、小さなお子さんからお年寄りまで…。

産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 「来てくれてありがとね。頑張って!」という声を聞くと、応援しに来た私が逆に励まされて目頭が熱くなった。住民の方々の人情味と、震災に負けない粘り強さを感じ、人間は決して1人ではない、皆が1つの絆でつながっているのだと改めて思った。

 また、ゴール間近の陸前高田駅跡には仮設テントが設けられ、何人かの語り部が震災当時のことを熱く語っていた。そこで聞いたひと言が今でも耳に残っている。

大量に積み上げられた木材大量に積み上げられた木材
陸前高田駅跡で、語り部が震災当時を語った陸前高田駅跡で、語り部が震災当時を語った
産経新聞社・早坂洋祐撮影

 「津波が押し寄せて来ると高い所に上るのが常套手段でもあるにも関わらず、人は遠くへ遠くへと動いてしまう。遠くと言ってもたかが知れている。津波は引く力が恐しい。だから今回の震災では半端ではないほどの犠牲者が出てしまったのだ」

 その状況を想像すると胸が痛くなる。今後、この教訓が日本中で生かされることを切に望む。

 本大会では、ゼッケンカードに参加者思い思いのメッセージをしたためた。私はそのカードに「Stay Positive!」と書いた。「前向きに生きよう!」という意味である。どんな困難に際しても、常に前向きに考えるプラス思考を貫こうという思いを込めて。

 三陸の皆さん、また来年もお会いしましょう!

レポート・茶利坊主(金子正夫)

ゴール後に記念撮影する茶利坊主さんと仲間たちゴール後に記念撮影する茶利坊主さんと仲間たち
ゴール後にレモンさんたちが記念撮影(産経新聞社・早坂洋祐撮影)ゴール後にレモンさんたちが記念撮影(産経新聞社・早坂洋祐撮影)

 

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