チャリガールMOCOのガールズトーク<17>ハンデに負けずヒルクライムに挑む人たちがいる! みんなに会いに、私はまた帰ります

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 自転車の目的って、やっぱり走る事でしょうか? 私は、この大会ばかりは、走る事よりも大事な目的があるように感じています。

「ヒルクライム大台ヶ原」に今年も参加させていただきました「ヒルクライム大台ヶ原」に今年も参加させていただきました

 また、あの人たちに会いに行く。そのための、自転車大会。

 それが、奈良県上北山村で開催される大会「ヒルクライム大台ヶ原」です。ご縁あって、今年もゲストライダーとしてお邪魔させていただきました。距離は28kmと日本一長く、標高差も1240mあって超過酷と言われるこのヒルクライム大会。参加者は毎年増加し、昨年は初めて村人の人口637人を超え、今年は過去最高の735人のエントリーがありました。まさに、小さな村の大きなイベント。1日だけ村の人口密度が倍以上になる、村にとって緊張感漂う一大イベントです。

参加者それぞれの思いを胸に、一斉にスタートを切る 参加者それぞれの思いを胸に、一斉にスタートを切る

 しかし、緊張感が最高潮に達しているのは、なにも村だけではないのです。参加者の皆さんだって、興奮クライマックス! コースがとびきり厳しいだけに、皆さんの思い入れも並々ならぬものがあるんですよね。

 今回、この大会に、大きな決心をもって挑んだ女性を紹介していただきました。その方は角野さんといい、コロコロとした笑顔が印象的な小柄な女性です。

 実は、彼女は心臓に持病を抱えており、高負荷の運動をすると心拍数を上手にコントロール出来ない事もあるそうです。しかし、そんな彼女が「無理のない範囲で、スポーツだって楽しみたい!」と始めたのがロードバイクでした。

角野さん(右)とチームメイト、出走前のひと時角野さん(右)とチームメイト、出走前のひと時

 持ち前の前向きさに、周りの仲間たちの支えもあって、メキメキと走力を高めた角野さん。いつしかヒルクライムの虜となり…そして生まれて初めての大会挑戦に、ヒルクライム大台ヶ原を選んだのだそうです。

 「私が挑戦する事で、少しでも、同じように病を抱えている人たちの励みになれたらうれしい」

 そう話す彼女の瞳は、静かに、強く輝いていました。何度もチームメートと試走を重ね、本番はペースコントロールのために練習仲間の谷川さんが最後まで伴走する事で、今回の出場が叶いました。

今年から「激坂区間賞」が採用されました今年から「激坂区間賞」が採用されました

 私も、スタートから4kmくらいは彼女のペーサーとして、低強度を維持してのんびり走りました。やがて、激坂区間に突入するあたりで角野さんとは別れ、マイペースで走りきって一足先にゴール。なんと、去年より10分ほどタイムが上がっていました。角野さんのお陰で、序盤は抑えて中盤から徐々に負荷を高めていく、ヒルクライムに適した走り方が出来ていたんですね。

笑顔でゴールを切る角野さん。同走の谷川さんもホッとした表情笑顔でゴールを切る角野さん。同走の谷川さんもホッとした表情

 その後は、角野さんのチームメートたちと、無事の完走を待ち受けます。しばらくすると、ペーサーの谷川さんと一緒に、にこやかにゴールを目指す角野さんが現れました。みんな、ホッと一息。なんと、試走より25分もタイムを縮めてのゴールです。

 角野さんのゴールを称え、下山誘導までの間、参加者の皆さんと和気あいあいの時間を過ごしました。そんななかで出会ったのが、今大会最高齢となる79歳のヒルクライマー島田さんです。関西方面を中心に活躍するサカタニレーシングのご長老。人生のベテラン、いぶし銀の貫録をもちながら、軽快にギャグも飛ばす。

今大会最高齢、79歳の島田さん今大会最高齢、79歳の島田さん
最高齢の島田さん。56歳以上の部でなんと優勝!最高齢の島田さん。56歳以上の部でなんと優勝!

 同じく自転車乗りである息子さんの勧めで、75歳からサイクリングを始め、今では毎日70kmを走り込んでるそうです。来年には80歳!また、島田さんと再会するためにも、大台ヶ原へ行かなくっちゃ。

角野さんを支えるチームメイトの皆さん角野さんを支えるチームメイトの皆さん

 体のハンディキャップや年齢に負けない強い心。その強さに感化され、周りで支えるチームメイトも心一つに頑張れるんですよね。

 「頑張って! 最後まで頑張って~! もう少しだよ~っ!!」

 そう繰り返した言葉の数だけ、大きな勇気が自分に返ってくるのを実感しました。

 そしてこの大会の魅力は、何と言っても、大会を盛り上げてくださる村の人たちの温かさ! 手作りの“おかえりなさい”と書かれたパネルを持って、沿道でず~っと手を振ってくれる温かさ! 前日に行われたトークショーでも、「MOCOさん、おかえり~!!」と皆さんで温かく迎えてくださいました。

激坂区間に先回りして、応援してくれる村人の皆さん激坂区間に先回りして、応援してくれる村人の皆さん
一番の難所では、応援してくれる村人の皆さんで賑わっています一番の難所では、応援してくれる村人の皆さんで賑わっています
ゴール後はじゃんけん大会でリラックスモードゴール後はじゃんけん大会でリラックスモード

 ただいま~っ!! 今こうして書いていても、うれしくて、心がじんわりして、涙が出てきます。“おかえり”と“ただいま”が、いつまでもこだまする、上北山村のヒルクライム大会。

 また、みんなに会いに、私は帰ります。

 日本一過酷なヒルクライム大会に参加するという、とっておきの口実をぶら下げて…(笑)。

MOCOチャリガールMOCO
本名:笹本智子。レーサーとして竹芝サイクルレーシングチームに在籍。実業団から市民レースまで様々なレースに参戦している。チャリガールイベントを企画・開催し、自転車を取り巻くすべての人達の「楽しい」「嬉しい」「面白い」を作っている。1980年生まれ。静岡県出身。公式ブログ:http://moco-sasamoto.jugem.jp

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