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豊岡英子と田中苑子の欧州シクロクロス遠征記<2>好成績で終えたワールドカップ2連戦! 激動のレースウィークに突入

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<1>ベルギーに到着、世界のトップに挑む女子2人“シクロクロス珍道中”の始まり!!

 豊岡英子選手(パナソニックレディース所属、通称“姫”)と私(フォトグラファー田中苑子、通称“チュー”)のシクロクロス遠征。初戦はベルギーのナミュールで開催されたワールドカップ第5戦。そして、その3日後にはワールドカップ第6戦ゾルダー大会に参戦しました。

レース前に急遽ハンドル位置を下げることにし、サポートスタッフのランジットが手伝うレース前に急遽ハンドル位置を下げることにし、サポートスタッフのランジットが手伝う
ナミュールの観光名所である城砦の上に作られたレースサーキット。ヨーロッパの雰囲気が漂うナミュールの観光名所である城砦の上に作られたレースサーキット。ヨーロッパの雰囲気が漂う

 シクロクロスレースのカテゴリーは、年に一度開催される世界選手権を頂点に、UCI(国際自転車競技連合)が主催する全8戦のワールドカップ、そしてクラス1、クラス2のUCIレース、ベルギーでは“Bレース”と呼ばれるナショナルレースが続きます。日本では、クラス2のUCIレースが年間2戦(2012年は信州クロス・野辺山と関西クロス・マイアミ)開催されていますが、それ以上のものはありません。

バス停を利用してウォーミングアップ。ナミュールはときおり雨が降るコンディションバス停を利用してウォーミングアップ。ナミュールはときおり雨が降るコンディション
ワールドカップ第5戦ナミュール大会のスタート。ワールドカップ初参戦となる豊岡英子(パナソニックレディース)は最後尾からのスタートワールドカップ第5戦ナミュール大会のスタート。ワールドカップ初参戦となる豊岡英子(パナソニックレディース)は最後尾からのスタート

 豊岡選手のスケジュールは、まずワールドカップを2戦こなし、その後にクラス1のUCIレースに3つ出場するというもの。この5つのレースが、年末年始の約2週間に集中しています(濃密なスケジュールです!)。なかでもワールドカップは、やはり難易度がほかのレースよりも高く、遠征は最初から重要なレースが続くことになりました。

ナミュールでのワールドカップ。コースの大半が泥に覆われたナミュールでのワールドカップ。コースの大半が泥に覆われた
ナミュールのワールドカップ。泥のひどい区間では多くの女子選手がバイクを担いで走ったナミュールのワールドカップ。泥のひどい区間では多くの女子選手がバイクを担いで走った
泥だらけになったナミュールのレース。しかし豊岡英子(パナソニックレディース)は落車せずにレースを終えた泥だらけになったナミュールのレース。しかし豊岡英子(パナソニックレディース)は落車せずにレースを終えた
ワールドカップ、ナミュール大会。泥の急勾配を越える男子選手たちワールドカップ、ナミュール大会。泥の急勾配を越える男子選手たち

 この時期のベルギーは例年、大寒波が訪れて雪に見舞われることが多いのですが、今年は最高気温が10℃程度と暖かく、天候は毎日雨が降るような状況。寒くないために過ごしやすいのですが、コースは泥に覆われました。ナミュールとゾルダー、ただでさえテクニカルなこの2つのコースが、さらに難しいものになったのです。

ゾルダーサーキットの急な下りセクションに差し掛かる。ゾルダーでも大きな落車はなかったゾルダーサーキットの急な下りセクションに差し掛かる。ゾルダーでも大きな落車はなかった
ワールドカップ、ゾルダー大会でホームストレートの舗装路を走る豊岡選手ワールドカップ、ゾルダー大会でホームストレートの舗装路を走る豊岡選手
ナミュールに引き続き、ゾルダーでも厳しい担ぎ区間が組み込まれたナミュールに引き続き、ゾルダーでも厳しい担ぎ区間が組み込まれた
試走に使ったバイクをランジットが洗ってくれる。ワールドカップ、ゾルダー大会のレース前試走に使ったバイクをランジットが洗ってくれる。ワールドカップ、ゾルダー大会のレース前

 ヨーロッパ初戦だし、難しいコースだったので、豊岡選手はレース前に「まずは無事にレースを走り終えることを目標に、無理をしないで走ろう」と話していました。ところが結果は、ナミュールが28位、ゾルダーではワールドカップ自己最高位(おそらく日本人女子最高位)となる24位でフィニッシュ!

 本人も考えていなかったこの好成績に、サポートしてくれているランジット一家は大喜び。今年はほかの日本人選手が遠征していないので、彼らは豊岡選手のためだけに働いてくれています。寒い中、素手で冷たい水を使ってバイクを洗車してくれたりしているので、彼らの笑顔が私たちにとっても何よりの喜びとなりました。

ゾルダーでのワールドカップ前日、サーキットのレース会場にてゾルダーでのワールドカップ前日、サーキットのレース会場にて
ナミュールでのワールドカップ前日。これが最後の晩餐になるかも……と言いながら食べた夕食ナミュールでのワールドカップ前日。これが最後の晩餐になるかも……と言いながら食べた夕食

 チュー「ワールドカップ2戦終わったね!」

 「うん、すでに山場を越えた!!!」

 チュー「何よりも姫がいま生きていて良かったよ」

 「本当にナミュールでは死ぬかと思ったから! 今までヨーロッパで走ってきたけど、あそこまでの急勾配とドロドロが凄まじいコースは初めてで、死ぬかと思った。だから前日にちゅー子さんに遺書を託したくらいだし。本当に生きて帰れるとは思わなかったから……」

 チュー「前日は、もし死んだら、どうやって日本に運ばれるのか真剣に考えていたしね。夕食のときもこれが最後の晩餐になる、とか言って!笑」

 「そうそう、次の日死んじゃうのに、今日シャワーを浴びる必要があるん?とか言って。笑」

 チュー「でもレースが終わってみたら、29位といい結果だったよね」

 「うん、自分でもビックリした。でもレース中はしんどすぎて死ぬと思ったし。周りで前転している子もたくさんいたし」

 チュー「そのあとのゾルダーでも24位。すごくいい結果だった!」

 「ゾルダーもすごくテクニカルなコースだったから、良くて完走だろうなーと思っていたけれど、スタートがまさかと言えるほどうまくいって、最後までいい位置で走れたかな!」

ワールドカップ、ゾルダー大会で自己最高位の24位でレースを終えた豊岡英子(パナソニックレディース)ワールドカップ、ゾルダー大会で自己最高位の24位でレースを終えた豊岡英子(パナソニックレディース)

 チュー「なにが変わってきているんだろう? いままでとは違う安定感があるよね」

 「いままでは余裕がなかった。ずっとアワアワしてて、呼吸が上がって、そのまま落ち着かずゴールまでっていうパターンだったけれど、今年はよく周りを見ることができていると思う」

 チュー「経験値が上がったってことかな?」

 「そう言っていいかもしれない。経験もあるし、全日本で負けたことで肝が据わった感じがする。どうでもいいと思っているわけではないけれど、気持ちに変化がある。特別な練習をしたわけではないから、この結果はどちらかというと気持ちの変化だと思うんだよね」

 チュー「すごくいい滑り出しで良かった!」

 「あとはワールドカップよりも小さなレースになるから、さらに気楽かな。スケジュールは立て込むけれど、これからのレースはすごく楽しみ!」

 チュー「走ったことのないレースも走れるしね。元旦までレースだけど、それが終わったらバーゲンが始まるし!」

 「それはそれで血が騒ぐ!(笑) そのためには、頑張って賞金を稼ぐしかない!」

ナミュールでのワールドカップ後、コインランドリーで汚れたジャージを洗うナミュールでのワールドカップ後、コインランドリーで汚れたジャージを洗う

 この先、ワールドカップは1月20日のホーガハイデ大会までありませんが、これから、28日、Bポストバンクトロフィー・ルンハウト(C1、ベルギー)、30日、スーパープレステージ・ディーヘム(C1、ベルギー)、1月1日、Bポストバンクトロフィー・バール(C1、ベルギー)と世界チャンピオンも出走する大きなレースが続きます。これらレースはBMXコースが取り入れられていたり、夜に開催されたりと、魅せるレースとしての盛り上がる要素がたくさん取り入れられています。

 そして本場のベルギーではシーズンのハイライトとなる、サーキットの熱気が最高潮に達する1週間を迎えます。ホーリー(聖なる)ウィークとも呼ばれるとのこと。好成績に終わった最初のワールドカップ2連戦ですが、これに甘んじることなく、年末年始に続く個性豊かなレースに向けてしっかりとコンディションを整え、楽しみながら挑みたいと思います!

豊岡英子(とよおか あやこ)
1980年、大阪生まれ。トライアスロンを経て自転車競技の選手に。シクロクロスでは2005年~11年まで全日本選手権で7連覇を達成し、2012年は2位。ヒョウ柄のウエアとバイク、キラキラのヘルメットなど華やかなビジュアルが彼女のトレードマーク。

中川裕之田中苑子(たなか そのこ)
1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。

(写真・文 田中苑子)

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