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ロードレース2013シーズン展望<3> グランツール編ウィギンスは“ダブルツール”狙いか コンタドールのマイヨ・ジョーヌ返り咲きは?

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【シーズン前半編】春のクラシック“本命”はシーズン序盤で分かる!

 2013シーズン展望の最終回は、と、グランツールと呼ばれる「ジロ・デ・イタリア」「ツール・ド・フランス」「ブエルタ・ア・エスパーニャ」に焦点を当て、総合優勝を狙う選手たちや、日本人選手の可能性を見ていきます。

◇      ◇

ジロはTTがカギ? パンターニトリビュートの第15ステージにも注目

 グランツール初戦となるジロ・デ・イタリアは、5月4~26日の日程。ナポリの周回コースで開幕し、ブレシアでのスプリントステージで閉幕する。

2012年のジロ・デ・イタリアで活躍したガーミン・シャープ2012年のジロ・デ・イタリアで活躍したガーミン・シャープ

 第2ステージはナポリ湾に浮かぶイスキア島で行う17.4kmのチームタイムトライアル。第3ステージから中級山岳ステージが始まり、マリア・ローザ候補の選手たちにとっては早くも気の抜けない日々となる。第5ステージからはイタリア半島をアドリア海に沿って北上。第8ステージでは55.5kmと長距離の個人タイムトライアルが待ち受ける。

 中盤のドロミテステージを経て、総合争いはバルドネッキアの頂上ゴールとなる第14ステージから本格化しそう。続く第15ステージはフランスへ入国し、マルコ・パンターニがジロ・ツールの“ダブルツール”を決定づけたガリビエ峠へ。パンターニのダブルツールはまさに15年前。あえてコード“15”にパンターニトリビュートステージを充てる、粋な計らいだ。

 マリア・ローザ争いは、第18ステージからの3日間で決する。山岳TTとなる第18ステージ、ガヴィア・ステルヴィオ・ヴァルマルテッロと標高2000m級の山岳を3つこなす第19ステージ、4つの山岳を越えて最後は標高2304mのトレチーメ・ディ・ラヴァレードの山頂ゴールとなる第20ステージで勝負が決まる。

 総距離3524.5km(平均167.8km)、平坦ステージ7、未舗装ステージ1、中級山岳ステージ4(うち頂上ゴール1)、上級山岳ステージ6(すべて頂上ゴール)、TTステージ3(個人TT、山岳TT、チームTT各1)の構成。中でも、タイムトライアルは合計92.3km。TTに強さを発揮するオールラウンダーに有利に働くか。
 

ツールはジロ閉幕から1カ月後に開幕 ブエルタのコースはまもなく発表に!

 ツール・ド・フランスは6月29日開幕。ジロ閉幕から1カ月程度という短いスパンとなる。なお、ツールのコースや特徴については昨年10月と11月にアップされた記事を参照されたい。
【ツール展望<上>】ラルプ・デュエズを1日2回、シャンゼリゼはナイトレース
【ツール展望<下>】本命は? 推しメンは? ツールはすでに始まっているのだ!
 多くのファンが昨シーズンの「ベストレース」と評したブエルタ・ア・エスパーニャは8月24日開幕。スペイン北西部のガリシア州ポンテベドラからレースはスタートする。こちらに関しては、1月12日に全ルートが発表になる予定だ。
 

主役たちはどのレースを選ぶのか?

 前述の通り、ブエルタのルートが発表になっていないことも関係しているとは思うが、それにしてもグランツールの総合を争うであろう選手たちがいつになく慎重な姿勢だ。例年であれば、もう少し各選手がどのレースにスポットを当てているか明確になっているものだが、今年は違った雰囲気。

ツール・ド・フランス2012、シャンゼリゼでイギリス国旗をかざすウィギンス(スカイ プロサイクリング)ツール・ド・フランス2012、シャンゼリゼでイギリス国旗をかざすウィギンス(スカイ プロサイクリング)

 昨年、主役の座を欲しいままにしたブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)の態度が、良くも悪くも定まらない。このあたりは彼ならではの持ち味か…。ジロ、ツールそれぞれのルートが発表されてしばらくはジロ専念を語っていたが、昨年末に「ダブルツールを狙うかも」と公言。これにはウィギンスと肩を並べる実力者クリス・フルーム(イギリス)も戸惑ったようだが、ウィギンス自身が一部メディアに「どちらか情勢の良い方が勝てればベスト」と話したこともあり、昨年とエース・アシストが入れ替わることもありそうだ。いずれにせよ、TTの距離が長いジロへのモチベーションが高く、それを終えての様子で判断することだろう。それまでは彼のユニークコメントに期待することとしよう(笑)。

2013年、アンディ・シュレクは復活なるか?2013年、アンディ・シュレクは復活なるか?
ブエルタ・ア・エスパーニャで得意のポーズをきめるアルベルト・コンタドール(チーム サクソ・ティンコフ)ブエルタ・ア・エスパーニャで得意のポーズをきめるアルベルト・コンタドール(チーム サクソ・ティンコフ)

 昨年のブエルタで華麗な復活を遂げたアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)。まもなく発表になる今年のブエルタのルートを待って意向を示す様子だが、やはりツール出場が有力だ。ローマン・クロイツィゲル(チェコ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア)らを補強し、山岳・TTTの戦いを万全なものとしている。フィジカル面の調整も、今年はレースを重ねながら時間をかけて行える点が昨年との大きな違いといえよう。

カデル・エヴァンスは2年ぶりのマイヨ・ジョーヌを狙ってくるだろうカデル・エヴァンスは2年ぶりのマイヨ・ジョーヌを狙ってくるだろう

 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)も出場レース選択が注目される1人。ジロ向きとの声もあるが、2年ぶりのマイヨ・ジョーヌを狙ってくることが有力視されている。昨年マイヨ・ブランを獲得したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)の存在も心強い。

 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ)はジロ狙いの公算。イタリア選手の多いチームとあって、最大限のサポートが得られるだろう。昨年のツールに続く、ウィギンスとのマッチアップにも期待がかかる。

 ジロの前回覇者、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)は2連覇を目指す。TTでの安定感が増し、オールラウンダーとして一段階上のレベルに到達したと言えるだろう。

 ダミアーノ・クネゴとミケーレ・スカルポーニ(ともにイタリア)のランプレ・メリダ、ロベルト・ヘーシンクとバウク・モレッマ(ともにオランダ)のブランコ プロサイクリングといった複数の総合エースを擁するチームはどのような判断を下すか。

 昨年は落車による怪我で1年を棒に振ったアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レイディオシャック)は、復活の年にすることができるか。

 スプリンターでは、移籍で新たなスタートを切るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)がツールで2年ぶりのマイヨ・ヴェール獲得を目指す。立ちはだかるのは前回マイヨ・ヴェールのペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らもスプリンターの頂点を目指す。ジョン・デゲンコルプとマルセル・キッテル(ともにドイツ、アルゴス・シマノ)の共闘にも注目。

カチューシャの降格でワイルドカード争いは混沌

 グランツールといえば、プロコンチネンタルチームのワイルドカード獲得も目玉の1つとされる。ここ数年は開催国のプロコンチームにお呼びがかかることが多かったが、今年はカチューシャがUCIプロライセンスを獲得できなかったことにより、状況が複雑化している。総合優勝を狙えるホアキン・ロドリゲス(スペイン)、デニス・メンショフ(ロシア)を擁する同チームは、何か大きな問題が起きない限りはいずれのグランツールにも出場は可能だろう。

 旧チーム時代からジロ常連のアンドローニ・ジョカットリ、ヴィーニ・ファンティーニ、ヴァルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックスといったイタリアチームは今年もジロ狙い。

 一方で、コフィディス、ユーロップカー、ソジャサンといったフランスチームは、ツールだけではなくジロやブエルタへの出場にも情熱を注ぐ。特に、今年はアンダルシアがプロコンチネンタルライセンスを獲得できず、スペイン勢はカハ・ルーラルのみ。フランスチームに限らず、さまざまなチームがブエルタ狙いに転じることも考えられる。

 ちなみに、ジロのワイルドカードは1月8日発表予定だったが、UCIプロライセンスを巡ってCASに提訴したカチューシャの動向を待って延期に。ツールのワイルドカードは、昨年同様4月上旬あたりと見られる。

6人の日本人選手は出場なるか?

 今シーズン、プロまたはプロコンで走る日本人選手は6人。

2012年のツール・ド・フランスでゴールを目指してトレインの先頭を引く新城幸也2012年のツール・ド・フランスでゴールを目指してトレインの先頭を引く新城幸也

 昨年、春に負った骨折を乗り越え、ツールで大活躍を遂げた新城幸也(ユーロップカー)は、ツールはもちろんのこと「ジロにも出場したい」と意気込む。ここ2年間ジロに出場してきた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は、「ツールでのステージ優勝が目標」と公言しており、今年はツール出場なるか。昨年、ツール出場の最終候補にまで残っていた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は、「2月までに調子を上げて、春に向けたアピールが大切」と、シーズン序盤の活躍で波に乗りたい考えだ。

ジャパンカップ(栃木県宇都宮市)クリテリウムで2位となった別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ジャパンカップ(栃木県宇都宮市)クリテリウムで2位となった別府史之(オリカ・グリーンエッジ)
ジャパンカップ(栃木県宇都宮市)で集団を引くチーム サクソ・ティンコフの宮澤崇史ジャパンカップ(栃木県宇都宮市)で集団を引くチーム サクソ・ティンコフの宮澤崇史

 今年新たに上位カテゴリーで走る3選手のうち、増田成幸(キャノンデール)は脚質的に見て山岳アシスト候補に入る余地は十分にある。イヴァン・バッソ(イタリア)を支える夢のようなシーンにを目撃できるかもしれない。ヴィーニ・ファンティーニ入りを果たした佐野淳哉は、グランツールはもとより春のクラシックシーズンで主力となれるか。チャンピオンシステム プロサイクリング初の日本人選手となる西薗良太は、将来を見据えたチームの底上げとヨーロッパでのアピールに力を注ぐことだろう。

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 2013シーズンの幕開けは間近。サイクルロードレースの歴史に新たなページが加えられるその一瞬一瞬を、みんなで目に焼き付けようではありませんか!

文 福光俊介

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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