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ロードレース2013シーズン展望<2> シーズン前半編春のクラシック“本命”はシーズン序盤で分かる! 1月からレース結果をしっかりと追うべし

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【チーム・選手編】ビッグネームの移籍&UCIプロチームの入れ替わりで勢力の激変なるか!?

 前回の「チーム・選手編」に引き続き、今回は春のクラシックをメインに、シーズン前半戦をチェックしていきます。これを読めば、きっと春までの大まかな流れを押さえていただけます!

◇      ◇

3~4月がシーズン最初のピークに

 3~4月のステージレース、クラシックレースでシーズンの盛り上がりが一度ピークに達する。既にご存じの方も多いかと思うが、UCIワールドツアーのレーススケジュールを改めてチェック。

街中を抜ける集団。2012年ティレーノ~アドリアティコ街中を抜ける集団。2012年ティレーノ~アドリアティコ
2012年パリ~ニース。雪解けの水の色に春を感じる2012年パリ~ニース。雪解けの水の色に春を感じる

■3月
・3~10日 パリ~ニース(フランス)
・6~12日 ティレーノ~アドリアティコ(イタリア)
・17日 ミラノ~サンレモ(イタリア)
・18~24日 ヴォルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(スペイン)
・22日 E3ハレルベケ(ベルギー)
・24日 ヘント~ウェヴェルヘム(ベルギー)
・31日 ロンド・ファン・フラーンデレン(ベルギー)
■4月
・1~6日 ヴェルタ・シクリスタ・アル・パイス・ヴァスコ(スペイン)
・7日 パリ~ルーベ(フランス)
・14日 アムステル・ゴールドレース(オランダ)
・17日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)
・21日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)
・23~28日 ツール・ド・ロマンディ(スイス)

 パリ~ニース、またはティレーノ~アドリアティコを経てミラノ~サンレモ、そして“北のクラシック”と呼ばれる3月下旬~4月上旬のベルギー・フランスレース、“アルデンヌ・クラシック”と呼ばれる4月中~下旬のオランダ・ベルギーレースといった流れだ。

ミラノ~サンレモ=“ラ・プリマヴェーラ”はスプリンター、パンチャーどちらが有利?

 “スプリンターズクラシック”などと呼ばれるミラノ~サンレモは、本当にスプリンターに有利なのか、はたまたパンチャーやアタッカー、ルーラー向きのコースなのかは、意見が分かれるのが常。

 298kmの長丁場であることや、終盤に控えるチプレッサ(平均勾配4.1%、最大勾配9%)、ポッジオ(平均勾配3.7%、最大8%)といった要素が複雑に絡み合うことで予期せぬ展開を生み出す。

2012年ミラノ~サンレモ2012年ミラノ~サンレモ

 昨年(サイモン・ゲランスが優勝)と一昨年(マシュー・ゴスが優勝)は、10人以下の小集団スプリントが行なわれ、2010年(オスカル・フレイレが優勝)、2009年(マーク・カヴェンディッシュが優勝)は30人前後の中集団スプリントが見ものだった。昨年に関しては、逃げた3人による勝負となっている。

 スプリンターで勝負をかけるチームにとっては、チプレッサやポッジオでライバルたちのアタックを潰すだけの力が無ければ、逃げ切りを許してしまうことになる。特にダウンヒル巧者を逃がしてしまうと、ポッジオ頂上からのテクニカルな下りで大きな差を付けられる可能性が高い。
 
 出場チームが確定していないため、あくまでも出場を想定して有力選手を挙げると、スプリンターでは前々回覇者のマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ-メリダ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、サクソ・ティンコフ移籍のダニエレ・ベンナーティ(イタリア)、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、アルゴス・シマノ)といったところか。

 2009年に劇的な勝利を収めたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)は、おそらくトム・ボーネン(ベルギー)との2枚看板で勝利を狙うことだろう。

 また、前回覇者のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャックニッサン)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ-メリダ)あたりはポッジオで仕掛けるであろう選手たち。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は昨年、オールラウンダーでも十分に勝負ができることを示した。

昨年のジャパンカップ(栃木県宇都宮市)で得意のウィリーを披露するペテル・サガン昨年のジャパンカップ(栃木県宇都宮市)で得意のウィリーを披露するペテル・サガン

 とはいえ、年々激しさを増し消耗戦と化すレース。ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)やエドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング)といった“万能型”の選手たちが最も勝利に近いのではないかと、筆者は感じていたり…。

“北の地獄”を制するのは誰か? ボーネン、カンチェッラーラが軸

 前記レーススケジュールでいくと、E3ハレルベケ、ヘント~ウェヴェルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ~ルーベがいわゆる“北のクラシック”と呼ばれる。

石畳のレースとして有名なパリ~ルーベ(フランス)。選手が砂埃をたてて観客の前を通過する石畳のレースとして有名なパリ~ルーベ(フランス)。選手が砂埃をたてて観客の前を通過する

 これらはベルギーやフランス北部特有のパヴェ(石畳)をルートに加えたレースであり、ロードレースの中でも特殊なものとされる。したがって、他のレースで好調だった選手がここで必ずしも勝てるとは限らない。

 では、どこで石畳の適性や強さを測るべきか。2月最後の土曜・日曜恒例のベルギーレース、オムループ・ヘット・ニュースブラッド(2月23日開催)とクールネ~ブリュッセル~クールネ(2月24日開催)、この2レースをまず押さえてほしい。

 それぞれUCIヨーロッパツアー1.HCクラス、1.1クラスのため、UCIプロチームすべてが出場するわけではないが、ボーネンやフアン・アントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM プロサイクリングチーム)ら有力どころはこぞって出場する。実際、昨年のオムループ・ヘット・ニュースブラッドでセプ・ファンマルケ(ベルギー、ブランコ プロサイクリング、当時ガーミン・シャープ)がボーネンやフレチャらを撃破し、その後のクラシックシーズンで勢いに乗った。

 また、E3ハレルベケ直前に行われるUCIヨーロッパツアー1.HCクラスのドワーズ・ドアー・フラーンデレン(ベルギー、3月20日開催)も、各選手の最終調整レースとしておなじみ。昨年はニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ)が制している。

 選手を見ていくと、やはりボーネンとカンチェッラーラが中心か。昨年のロンド・ファン・フラーンデレンで落車し鎖骨骨折を負ったカンチェッラーラはリベンジの年になるだろう。毎レース、ボーネンと熾烈な争いを繰り広げたポッツァートが続く。そして、フレチャは新チームでエースを務める。スペイン選手初のパリ~ルーベ制覇なるか。

 この時期のレースの中でも、E3ハレルベケやヘント~ウェヴェルヘムはピュアスプリンターにもチャンスのあるコースレイアウトだけに、新チャンピオンの誕生もあり得る。

ジルベールは「アルカンシエルの呪い」を打ち破ることができるか

 4月中旬から下旬にかけて行われるアルデンヌ・クラシック3連戦。昨年、この時期のクラシックを不本意な形で終えたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は今年、世界選手権のチャンピオンジャージ「アルカンシェル」をまとって臨む。

 圧巻の3連勝を遂げた一昨年の再現を狙ううえで不安なのが、「世界選チャンピオンジャージをまとう者は不調をきたす」というジンクス“アルカンシエルの呪い”の存在。運だけでは測ることのできない摩訶不思議な呪縛を、ジルベールは打ち破ることができるか。

2012年ロード世界選手権を優勝したフィリップ・ジルベール(中央)と2位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(左)、3位のアレハンドロ・バルベルデ2012年ロード世界選手権を優勝したフィリップ・ジルベール(中央)と2位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(左)、3位のアレハンドロ・バルベルデ

 ライバルは多数。中でも昨年のアムステル・ゴールドレースを制したエンリコ・ガスパロット(イタリア)、同じくリエージュ~バストーニュ~リエージュを制したマキシム・イグリンスキー(カザフスタン)、リエージュ2位のニバリのアスタナ勢は強力。

 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、激坂「ユイの壁」が待つフレーシュ・ワロンヌを得意とする。サガンやアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レイディオシャック・ニッサン)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)も優勝候補だ。さらには、昨年は出場停止期間中だったアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)が加わると、レースはより混沌としたものになるだろう。 

有力選手の動向は1月からチェックを

 1月から2月にかけては、各チーム・選手ともに足ならしの時期。トレーニングキャンプを終えて、春に向けてのアピール合戦が熱を帯びる。

 開幕戦のツアー・ダウンアンダー(オーストラリア)は1月20日にクリテリウム、22~27日にステージレースが行われる。ここで何度も勝利を収めているグライペルのほか、ボアッソン・ハーゲン、ジルベール、A・シュレクらが参戦。サクソ・ティンコフからは宮澤崇史が出場。

 1月21~27日のツール・ド・サンルイス(アルゼンチン)では、ボーネンがシーズンイン。ボーネンはその後、ツアー・オブ・カタール(2月3~8日)、ツアー・オブ・オマーン(2月11~16日)と出場。カタールでは、カヴェンディッシュと揃い踏みを果たす。

 2月21日~3月2日のツール・ド・ランカウイ(マレーシア)では、新城幸也が初戦を迎える。その他にも、今後続々とシーズンインの情報が入ってくるはずだ。

 次回はグランツールの出場予想を兼ねた展望を。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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