スマートフォン版はこちら

サイクリスト

title banner

豊岡英子と田中苑子の欧州シクロクロス遠征記<1>ベルギーに到着、世界のトップに挑む女子2人“シクロクロス珍道中”の始まり!!

  • 一覧

 全日本シクロクロス選手権から10日後の12月19日、豊岡英子選手(パナソニックレディース所属、通称“姫”)と私(フォトグラファー田中苑子、通称“チュー”)は、シクロクロスの本場ベルギー遠征&取材へと旅立ちました。

フォトグラファーの私(左)と、豊岡英子選手(右)、2人で力を合わせて1ヶ月半ほどの遠征に挑みますフォトグラファーの私(左)と、豊岡英子選手(右)、2人で力を合わせて1ヶ月半ほどの遠征に挑みます

 今季のシクロクロス世界選手権は史上初、ヨーロッパを飛び出してアメリカのケンタッキー州で開催されます。私たちはまずベルギーを拠点に、ヨーロッパでのレースを1月中旬まで7レースほどこなし、シーズン最大の目標である世界選手権へと向かう予定です。

 豊岡選手の遠征スケジュールは……

12月23日 UCIワールドカップ#5・ナミュール(ベルギー)
12月26日 UCIワールドカップ#6・ゾルダー(ベルギー)
12月28日 Bポストバンクトロフィー・ルンハウト(C1、ベルギー)
12月30日 スーパープレステージ・ディーヘム(C1、ベルギー)
1月1日 Bポストバンクトロフィー・バール(C1、ベルギー)
1月14日 シクロクロス・オーテヘム(C2、ベルギー)
1月20日 UCIワールドカップ#7・ホーガハイデ(オランダ)
2月3日 世界選手権(アメリカ)

私たちが滞在する家。築50年、内装はきれいにリフォームされていて、とても快適で居心地のいい家です私たちが滞在する家。築50年、内装はきれいにリフォームされていて、とても快適で居心地のいい家です

 これまでは男子選手や日本人メカニックも一緒に遠征していましたが、今回は私たち、女子2人だけの遠征。ツアー旅行のように、申し込むだけでレース会場に連れて行ってくれるのではありません。現地のスタッフはいるものの、基本的にレースの準備、移動、後片付け、そして日々の生活を自分たちでやるのです。雪が積もれば、クルマにチェーンを巻いて、スタックしても、自分たちで対応しないといけません。

 周りの人たちは私たちの遠征をどれほど心配していることでしょうか…? でも、だからといって立ち止まるわけにはいかないんです。だって、私たちが目指しているのはいつだって「世界」のトップシーン。そう、私たちにとって、厳しい冬のヨーロッパでの大きなチャレンジが始まったのです。

サポートスタッフのランジットが自宅のガレージを貸してくれています。ここで作業したり、インドアトレーニングをしたりしますサポートスタッフのランジットが自宅のガレージを貸してくれています。ここで作業したり、インドアトレーニングをしたりします
ガレージで日本から持ってきた自転車を組み立てる。困っても助けてくれる日本人メカニックはいませんガレージで日本から持ってきた自転車を組み立てる。困っても助けてくれる日本人メカニックはいません

 私たちが拠点とする街、ズウェベヘム(Zwevegem)はフランス国境に近いベルギー西部、フランドル地方の小さな街。首都のブリュッセルからクルマで1時間半ほどに位置します。春になると、クラシックレースの王様と呼ばれるロンド・ファン・フラーンデレンが、この街の近くで開催されます。自転車競技への理解が深く、外国から来た私たちのような選手一行にも、非常によくしてくれる印象です。例えばこれまでの遠征では、近くのスポーツカフェのオーナーが、レースになるとクルマを貸してくれたりしました。

まとまった買い出しは国境を越えて、フランスの大型スーパーへまとまった買い出しは国境を越えて、フランスの大型スーパーへ
野菜や果物は量り売り。旬の野菜が安く買えます。ときには見たことのない野菜も……野菜や果物は量り売り。旬の野菜が安く買えます。ときには見たことのない野菜も……
野菜やパスタ、水、洗剤など大量に購入。日常的な買い物は、街の小さなスーパーを使います野菜やパスタ、水、洗剤など大量に購入。日常的な買い物は、街の小さなスーパーを使います
ラディッシュ、なんだけど、日本で見るラディッシュよりも細長いラディッシュ、なんだけど、日本で見るラディッシュよりも細長い
ランチに作ったオムレツ。トマトやキノコなど具たくさんで美味ランチに作ったオムレツ。トマトやキノコなど具たくさんで美味

 私たちは19日にパリのシャルル・ド・ゴール空港に入り、レンタカーをピックアップ。そして陸路でこの街へとやってきました。夜遅くに着いたので、次の日、食料の買い出しに出かけ、自転車の梱包を解きました。天候は雨が多いものの、幸い気温は高く(例年なら氷点下で路面が凍ってしまっています)、外でのトレーニングが可能。豊岡選手はさっそく運河沿いの道やローラーでのトレーニングを始めました。

ガレージでローラー台を使ったトレーニングに打ち込む豊岡英子選手(パナソニックレディース)ガレージでローラー台を使ったトレーニングに打ち込む豊岡英子選手(パナソニックレディース)
丸鶏の煮込み料理。6ユーロ(約700円)ほどで丸鶏が1羽買え、何度も煮返したり味を変えることで丸2日くらい食べられます丸鶏の煮込み料理。6ユーロ(約700円)ほどで丸鶏が1羽買え、何度も煮返したり味を変えることで丸2日くらい食べられます

 チュー「姫、今回の意気込みは?」

 「全日本チャンピオンになれなくて、大きなタイトルを失ったことで、走ることがより面白くなった。こっちにきて、何も怖いものはない。スタートが後ろでも、怖いと思わなくなった。あとは、去年までは男の子も一緒に遠征していたんだけれど、今回は来れなくってオンナ2人だけの遠征…。頼れる人はいないし、すべて自分たちでなんとかしないといけないっつー…」

 チュー「そうそう、今までは困ったときに日本人メカニックがいたし、ホテルの予約やレースに行く段取りも男の子たち主導でやってたもんね」

 「うん、でもこの状況だからこそ、今回の遠征では、去年までと違う何かをつかめそうな気がするんだよね。あとは、白の全日本チャンピオンジャージよりも、いつものピンクのジャージの方がかわいいし、いいな!」

 チュー「…うん、そうだよね、たしかにあのジャージはかわいいと思う(笑)。でも、やるからには、この時間や経験を一切無駄にしたくはない。男の子たちがいなくても、同じことをしたいし、それ以上のこともしたいよ!」

 「ほんまにそれ! やるしかない」

丸鶏を使ったトマト煮込み。安くて鮮度のいい食材が豊富なので、料理は毎回楽しみです丸鶏を使ったトマト煮込み。安くて鮮度のいい食材が豊富なので、料理は毎回楽しみです

 チュー「この街、ズウェベヘムにもずいぶんと慣れたよね?」

 「今回で冬は4回目だもん。夏にも来てるし。街の中に知っている人が増えてきて、今回はお呼ばれしている食事会もたくさんあるし。やっぱり、この街、好きやな」

 チュー「“戻ってきた!”って感覚があるよね。地球の反対側の小さな街なのに、ここに来ると少しホッとする。あとは、辻浦(圭一)さんを中心に、この4年間ここで続けてきたことを、自分たちが来られなくなったときに、次の世代にバトンタッチできるように、その橋渡しになりたいっていうのも少しある。そもそもここに来られたのだって、今まで頑張って走ってきた日本人選手のおかげだし」

ワールドカップに向けてトラックに機材を積み込みます。レースに合わせて、サポートスタッフのランジットが会社からトラックを借りてきてくれますワールドカップに向けてトラックに機材を積み込みます。レースに合わせて、サポートスタッフのランジットが会社からトラックを借りてきてくれます

 「せやせや! なにが起こるかわからないけど、なにがあっても頑張ろーな」

◇      ◇

 まずは無事に拠点に到着し、レースに出る準備を整えることができたので、第一関門はクリア。1月1日まで、レースが立て込むので、しっかりとコンディションを整えて、初戦に臨みます。次回は、欧州初戦となるワールドカップ2連戦の様子をお伝えしたいと思います!

<2>好成績で終えたワールドカップ2連戦! 激動のレースウィークに突入

豊岡英子(とよおか あやこ)
1980年、大阪生まれ。トライアスロンを経て自転車競技の選手に。シクロクロスでは2005年~11年まで全日本選手権で7連覇を達成し、2012年は2位。ヒョウ柄のウエアとバイク、キラキラのヘルメットなど華やかなビジュアルが彼女のトレードマーク。

中川裕之田中苑子(たなか そのこ)
1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。

(写真・文 田中苑子)

現在募集中のイベント情報

関連記事

この記事のタグ

シクロクロス 田中苑子 豊岡英子と田中苑子の欧州シクロクロス遠征記

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

イベント情報:千葉競輪パワースポーツ講座

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載