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さいたまクリテで「グッチャリ」トークショー「目指せ!グッド・サイクリスト」 自転車活用推進法施行で高まる期待とエネルギー

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 11月4日にさいたま新都心で行われた「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」で、自転車のマナー向上と安全意識の啓発活動に取り組む団体「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」(通称・グッチャリ)が「目指せ!グッド・サイクリスト」と題したトークショーを開催しました。グッチャリが同大会においてステージイベントを開催するのはこれが3回目ですが、自転車活用推進法の施行でますます注目が集まる自転車をめぐる交通問題に多くの人が関心を寄せ、会場は満席になったそうです。その様子を同プロジェクト理事・坂田良平さんのレポートでお届けします。

満席となった「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」のトークショー Photo: Ryohei SAKATA
コースレイアウトが変わり、サイクルフェスタ会場にスタート/ゴール地点が併設された。ステージ裏側には、トッププロたちを一目見ようと多くのファンが集った Photo: Ryohei SAKATA

 グッチャリ・トークショー「目指せ!グッド・サイクリスト」が行われたのは、さいたまクリテリムと同時開催される「2017サイクルフェスタ」の会場内に設けられたメインステージ。今年はクリテリウムのコースが変更され、サイクルフェスタ会場にスタート・ゴール地点を設置、またサイクルフェスタ会場を取り囲むようにレースコースがレイアウトされた。そのためか、サイクルフェスタ会場は例年をはるかに上回る人出で賑わっていた。レース開始の約3時間前、大勢の観覧者が集まるなか、トークショーは始まった。

トークショーは、皆の寄せ書きの詰まった「あらかわろう」フラッグとともに行われた Photo: Takayuki KUROKI

 トークショーに登壇したのはグッチャリのリーダー・片山右京さん、安田大サーカス・団長安田さん、そして自転車を活用したまちづくり計画を推進する「さいたまはーと推進協議会」の委員を「グッチャリ」の代表理事・韓祐志とともに務める自動車教習所「ファインモータースクール」の千葉義則さんと自転車安全利用コンサルタントの「Wa-Life Labo」(わらいふラボ)代表の北方真起さんの4人。そして司会進行は、自転車好きの女性タレントグループ「ちゃりん娘」の松本奈々さんと韓が務めた。

クルマ・自転車・人 まずは相互理解を

 「自転車は危険で、スポンサーをする価値がない」

「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」のリーダー片山右京さん Photo: Takayuki KUROKI

 サイクルチーム「Team UKYO」の監督を務める片山さんは、チームのスポンサー開拓のために訪問した企業でいわれたこんな一言を紹介した。残念ながら、自転車全般に対して危険視する見方があることは否めない。だからこそ、片山さん率いるグッチャリは、荒川サイクリングロードを中心に、サイクリスト以外の方、例えばランナーやインラインスケーター、ウインドサーファー、荒川の清掃活動を行う方々などと相互理解を深めるために意見交換ができる場を何度も設け、イベントを実施してきた。

“自転車芸人”としておなじみの安田大サーカスの団長安田さん。お笑いは控えめで、マジメに自転車と社会の関わりについて語っていただいた Photo: Takayuki KUROKI

 一方、自転車芸人としてさまざまなイベントで活躍する団長安田さんは、「トラックって、なんであんなに自転車のそばギリギリを走るんでしょうね!? すごく怖いんですけど…」と自身の経験に基づく話を切り出した。公道を走ったことのあるサイクリストなら、一度は経験したことがあるエピソードだろう。

 これに対して、片山右京さんはお付き合いのある運送会社の団体の方から聞いたという話を披露した。

グッド・チャリズム宣言プロジェクト代表理事である韓祐志 Photo: Takayuki KUROKI

 「とくに狭い坂道などで荷物を満載に積んだ状態だと、対向車が来ているのが分かってもアクセルを緩められない状況がある。一度アクセルを緩めてしまうと再加速が難しく、結果後続車に迷惑をかけるためである。そのため、自転車のそばギリギリを走り抜けざるを得ないケースもあるそうだ」

 お互いを知らないがために誤解が生じてしまうことは、自転車に限らず日常生活でも起こりうること。しかし事情を知ることで、互いに譲り合ったり、少なくとも相手の動きを気にすることができるようになるのではないか、という問いかけが会場に広まった。

インフラ整備だけでなくルール・マナーの徹底も

 また、ステージでは、今年5月に明治神宮外苑絵画館前広場で行われた「サイクルドリームフェスタ2017」で撮影した動画を放映した。これは、昨年12月に公布された自転車活用推進法に合わせ、同イベントに来訪した方々に自転車のことで困っていることをインタビューしたものだが、自転車の走行ルール がはっきりしない、自転車道が少ない、車道を走るときクルマとの距離が狭くて怖い─といった意見が寄せられていた。

自転車のことで「困っていること」をたずねたインタビュー動画を会場のスクリーンで紹介 Photo: Takayuki KUROKI
スポーツバイクユーザー以外に“ママチャリ”ユーザー声も Photo: Takayuki KUROKI

 次にステージで放映されたのは、自転車に乗っている人が行いがちな危険シーンの画像。逆走する自転車、ルール無用で横断歩道でもないところを平然と横切る自転車、一時停止を無視する自転車や二人乗りする自転車など、画像が変わるたびに、会場からは同意とも非難とも言えぬため息が漏れた。

自転車のことで「国や自治体にしてほしいこと」についてもたずねた Photo: Takayuki KUROKI

 とくに子供を乗せたお母さん層での危険運転が目立っているといわれていることについて北方さんは言及し、「子供2人を乗せて走っているお母さんには、2つの命を預かっているんだという自覚を持って欲しい。逆走やスマホを見ながらの運転など、もってのほかです」と訴えた。

 一方、千葉義則さんは「私どもは自動車教習所の立場から、自転車も含めた安全教育を行っている。教習所以外でも、例えば幼稚園から大学まで安全教育を実施している。しかし、30~50代の方々に向けた安全講習会はない」と、交通安全教育の課題を指摘した。自転車が交通手段として、クルマなどと並ぶ道路上の一員として平等な地位を獲得するには、超えるべき課題はまだまだ多いと感じずにいられない。

確実に高まっているサイクリストの熱量

 最後に、ステージでは「自転車で自分がやってみたいこと」を語るサイクリストのインタビューが放映された。東京オリンピックのボランティア、静岡の実家まで自走、三浦半島を自転車半島に、皆で楽しく自転車が乗れる環境を作りたい、自転車で日本一周ができる自転車道を作って日本一周したい─など、自転車というツールが広げる夢や可能性がいくつも挙げられた。

自転車活用推進法について説明を行う、ファインモータースクール千葉義則さん Photo: Takayuki KUROKI

 片山右京さんは「『自動車が偉い』という不均衡を変えて、自転車を、地面をもっと平等に使えるようなインフラを実現したい」と語る一方、団長安田さんも「荒川沿いなら歩行者やランナー、サイクリストの通行レーンが分かれていて、途中にカフェが整備されているようなサイクリングロードが実現できるのではないか」と、自転車をめぐる環境整備に期待を込めて案を示した。

自身も子育てを行い、電動アシスト自転車に乗るというママの目線からお話をしてくださった、「Wa - Life Labo」(わらいふラボ)代表の北方真起さん Photo: Takayuki KUROKI

 千葉さんは、自動車教習所の立場から「自転車に乗る方もルールやマナーを守っていただき、埼玉県交通事故死亡者ゼロを目指して頑張っていきたいので、皆さんもご協力をお願いしたい」と呼びかけ、一方で北方さんは、「今、小学生、中学生、高校生といった子供が、自転車事故の加害者になってしまうというニュースをよく目にするようになった。子供たちに指導することも必要だが、親たち、大人たちが自転車の安全ルールをしっかり守り、背中で示すようにしていきたい」と語った。

 今年も、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムには多くのファンが訪れたが、サイクルロードレースへのリスペクト、世界のトッププロたちをひと目見たいという熱心な姿に、ファン1人1人が醸す熱量は年々盛り上がりを見せているように感じる。

荒川を愛するサイクリストたちの気持ちが詰まった『あらかわろう』フラッグがステージ前に掲げられた Photo: Ryohei SAKATA

 そんなイベントにおいて、レースとは直接関係のないグッチャリ・トークショーに耳を傾けてくれる多くの方々を見ていると、自転車のマナーとルールの向上に対する期待、道路上における自転車の地位向上に対する期待も強く感じるのだ。我々、「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」も、その一助となるべく今後もさまざまな活動を積極的に継続していきたいと、想いを強くした一日となった。

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さいたまクリテリウム by ツールドフランス セーフティーライド

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