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自転車と共にバスツアー サイクリストの要望に応えた旅を体験

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バスから自転車を下ろし、タイヤを取り付ける参加者たちバスから自転車を下ろし、タイヤを取り付ける参加者たち

 国際興業は、観光バスに自転車を積み込んで旅を楽しむ「サイクリングバスツアー」を4月にスタートさせた。サイクリングのために自転車を運ぶ手段は、列車に手荷物として持ち込む「輪行」が主流だが、観光バスなら発着地点や時刻を自由に設定でき、重荷を担ぐ負担が大幅に軽減される。サイクリストのわがままに応える贅沢なツーリングを、実際に体験してみた。

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 5月12日、まだ肌寒い朝の東京駅周辺に18人のサイクリストが集まった。しかし、目指すのは駅のホームでなく、バスが目印の路地裏。参加者のほとんどは、自転車に乗って来るなど、気合いが入っている。

 この日は群馬県下仁田町までバスで行き、42.4kmの山岳コースを自転車で走った後、食事と温泉を楽しみ、同県上野村から東京へバスで帰ってくる日程だ。

 タイトなサイクリングウェアに身を包んだ参加者たちは、手馴れた様子で自転車のタイヤを外し、バスへ積み込んでいく。山を走るコースのためか、この日は経験豊富なサイクリストが多いようだ。

 定刻通り午前7時に出発したバスには、ベテラン添乗員と、自転車走行時に最後尾を走るサイクルサポーターが同乗する。観光バスの中ではくつろいだり、仲間と盛り上がったりと、時間がゆったり流れていく。列車での輪行や、マイカーに自転車を積んで運転していく場合には、なかなか味わえない時間だ。

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 約3時間で、サイクリングのスタート地点となる下仁田町の「道の駅」に到着。参加者は黙々と自分の自転車を組み立てていく。すでに日は高く、汗ばむほどの好天だ。

 ふと見ると、隣に緊張した面持ちの女性の姿が。吉祥寺から夫婦で参加した杉浦直子さんは、この日初めて山岳走行に挑戦するという。脚に覚えのあるサイクリストたちに囲まれると、緊張しない方が難しいかも知れないが、一方でバスツアーならではのゆとりある時間設定や、サイクルサポーターの存在が安心感を与えてくれる。

上野村役場の車両が“サポートカー”としてサイクリストを先導した上野村役場の車両が“サポートカー”としてサイクリストを先導した

 午前9時50分、期待と緊張感が漂う中で続々とスタート。上野村役場の粋な計らいで、山道までの幹線道路は同村の先導車が安全を確保してくれる。参加者は自分に合ったペースで、さっそうと風を切って峠を目指した。

 この日のコースのポイントは、車がほとんど通らない旧道を走り、昔ながらの風情ある景色を堪能できること。ツアーの企画に携わった山口和幸さんは、「車にとっては狭い旧道も、自転車にはぴったり」とアピールする。山岳コースとはいえ、傾斜は最大5.4%とそれほど急ではなく、ビギナーにもチャレンジしやすい。

 先導車と別れ、山道を時速10km前後で上っていくと、空気が変わっていくのが分かる。ひんやりとした感覚が、汗をかいた身体に気持ちいい。杉の香り、うぐいすの声。針葉樹の林を吹き抜ける風の音と共に、桜のような花びらがどこからともなく舞ってくる。

 坂を上りきった峠では、参加者が最高の笑顔を見せてくれた。やはりこの達成感がたまらない。下り道は不規則なカーブや落石部分に注意が必要だが、車が少なく、スムーズに走行できた。

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ゴール後は、地元の名産「猪豚(いのぶた)」とビールで至福のひとときゴール後は、地元の名産「猪豚(いのぶた)」とビールで至福のひととき

 ゴールの「ヴィラせせらぎ」へ午後1時過ぎに到着すると、地元の名産「猪豚(いのぶた)」が振る舞われた。もちろんビールもOK。バスツアーだからこそ、帰りの運転を気にせずいろいろなグルメが楽しめる。

 ツアーを担当する国際興業トラベルサービス部の飯田次郎さんは、「初めは『自転車愛好者へ交通手段を提供しよう』と企画したが、それだけではサイクリストの期待に応えていると言えない。検討を重ねていくうちにサービスが充実し、今のスタイルになった」と話す。同社は、世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」に合わせて開催されるサイクリング大会「エタップ・デュ・ツール」に日本から参加するツアーを16年間実施してきたノウハウがあり、サイクリストの要望をよく知っている。

 今後は、自転車の積載方法をいかに効率化し、台数を増やすかが課題となる。現在は、車体下部の収納スペースが広い最新型バスを採用することで対応しているが、新しい収納システムの開発を自動車メーカーと共に進めているという。

 帰りのバスで、さっそく次のツアーのコースを検討していた飯田さん。「今後も、バスだからこそ行ける郊外のルートを開拓するなど、観光とサイクリングとバスツアーを融合させ、参加者が満足できる企画を考えていきたい」と語った。

 今回のツアー参加費は4980円(昼食・温泉はオプション)。現在募集中のツアーは、「南房総コース(千葉県)」「富士4湖めぐりコース(山梨県)」などで、4980~5980円となっている。一部コースでは新宿駅からも発着できる。

文・写真 柄沢亜希

国際興業「サイクリングバスツアー」公式HP

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