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工具はともだち<124>伝統工芸と融合した繊細で美しい工具「ネプロス 漆ラチェットハンドル」

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 9月に公表されたデータによると2017年8月の訪日外国人の数は、前年同月比20.9%増の247万8000人。2016年8月の204万9000人を42万人以上上回り、8月として過去最高となったそうです(日本政府観光局発表統計より)。累計でも1900万人に近づいていて、このままのペースで行けば、昨年の年間数約2400万人を大幅に上回る勢いです。外国から来られた方々の一番の楽しみは「日本の食事」だそうですが、「温泉」「自然景観、田園風景」「伝統的な景観、旧跡」「伝統文化の体験、鑑賞」など日本文化に触れることを目的に来られている外国の方もかなり多いようです。

 日本文化と言うとKTCでは2013年から日本の伝統工芸である漆工芸とのコラボを実現。美しさでは伝統工芸のようなネプロスのラチェットのグリップを漆(うるし)で装飾した「ネプロス 漆ラチェットハンドル」を販売しています。

KTCの漆ラチェット ©KTC

 ご存知の方も多いと思いますが、「漆」は英語で「JAPAN」と言われるように欧州の方を中心に日本の伝統工芸品としても人気があります。そして、漆工芸は日本各地にその産地があり、KTCの本社がある京都もその中の一つです。また、最近では漆の職人さんにも若い方が増えているとの事で、そうした地元の伝統工芸に取り組む職人さんを応援する意味も込めて、製品の発売に至りました。

漆器に蒔絵を施す工程 ©KTC

 漆の工程を簡単に説明すると、不純物を取り除きながら成分を分散させ、全体を均質な状態にする撹拌(ならし)や水分量を減らす工程である減水(くろめ)を行う「漆の精製」。加工された木材に漆の塗りと乾燥などを数回行い、強く美しくするための工程である「下地づくり」。砥石を使って水研ぎし、また漆を塗って乾燥させる工程を何回も繰り返して表面を滑らかにする「研ぎ」。さらにその上から顔料を混ぜた漆を何度も塗り重ねる「塗り」の工程を経てできた製品に「蒔絵」などの装飾を施すという、大変多くの工程と人の手を介して作られます。

KTCの漆ラチェット「瀧」 ©KTC

 その工程の多さは「塑性加工・機械加工・熱処理・表面処理」など数多くの工程を経て作られる工具も顔負けです。主な製品をご紹介すると、まずは高蒔絵技法により作られている「瀧」(たき)です。高蒔絵技法とは、漆などを使って盛り上げた所に金粉などを蒔いて装飾し、さらにその上から漆で塗り固める、これまた手間のかかった技法です。そして、この「瀧」には本物の金が使われているので、非常に高価なモノになります。

 次に、螺鈿細工が施された「源氏車」(げんじぐるま)こちらは貝の光沢層を板状に切り出したものを貼り合わせるもので、派手な見た目と違い繊細な技術が求められる技法です。

 その他にも5種類の製品があるのですが、筆者が一番おすすめするアイテムが「瑞雲」(ずいうん)。金平蒔絵によって描かれた雲紋様の上から茶褐色透明の透け漆を塗り、磨いて艶を出したものなのですが、透け漆は、初めは色が濃く、時間の経過とともに透明になるので、それに従って雲紋様が次第に浮き出てくる漆独特の技法を使っています。時間と共に変わり行く姿が楽しめる味わい深い逸品です。

KTCの漆ラチェット「源氏車」 ©KTC
KTCの漆ラチェット「瑞雲」 ©KTC
蒔絵の技法で作られた写し金蒔絵 ©KTC

 この他にも2016年3月には京都の四季をイメージし、漆の叩き塗りでグリップを仕上げた「春夏秋冬シリーズ」も発売しています。また、「漆塗りまでは…」という方には、漆ではありませんが、本物の蒔絵の技法を用いて作られた「うつし金蒔絵」も販売していますので、「雰囲気だけでも」という方には是非お勧めです。

KTCの漆ラチェット春夏秋冬シリーズ ©KTC

 継承問題などが多い伝統工芸ですが、色々な形で注目されることで、後世に伝えることができればと思います。また、今回ご紹介した漆ラチェットはKTCのものづくり技術館で見る事ができますので、是非本物が見たいと言う方はKTCのものづくり技術館にお越し下さい。(展示会等のため展示されていない時期がございますのでお気を付け下さい)

Cyclistロゴ入りエプロン付き「デジラチェ工具セット」販売中

Cyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShopCyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShop

 CyclistとKTCとのコラボレーションによる自転車メンテナンス向け「オリジナルデジラチェ工具セット」が好評です!

 デジタル式トルクレンチに、収納用ブローケースや、自転車整備に活躍する5つの付替え用ビットソケット、ソケットホルダー、さらにCyclistとKTCのロゴが入ったオリジナルショートエプロンが付属している、他では手に入らないセットとなっています。(価格は税込4万3869円)
(産経デジタル)

→「オリジナルデジラチェ工具セット」商品販売ページ(産経netShop)

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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