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サイクリスト

大会は10年目の今回で終了に雨澤毅明がマトリックス勢を力でねじ伏せ快勝 Jプロツアー第19戦「輪島ロードレース」

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 日本最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアー第19戦「JBCF輪島ロードレース」が、10月8日、石川県輪島市門前町周辺の特設公道周回コースで開催され、最終周回に先頭集団から単独で抜け出した雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)が優勝を飾った。

ホームストレートに単独で現れた雨澤毅明が勝利を確信してガッツポーズを見せる Photo: Nobumichi KOMORI

美しい能登半島の過酷なレース

 2007年に発生した能登半島地震の復興レースとして、翌2008年から開催されている輪島ロードレース。能登半島の豊かで美しい風景とは裏腹に、ほぼ上りと下りしかない過酷なコースレイアウトが、これまでも数々の名勝負を生んできた。そんなレースも、節目の10回目の開催を迎える今年が最後の開催。誰が最後の勝者となるかに大きな注目が集まる中でスタートを迎えた。

輪島市門前会館の駐車場にはステージのほかに、飲食ブースや休憩スペースなども用意される Photo: Nobumichi KOMORI
飲食ブースでは地元特産品を使用した商品が販売される Photo: Nobumichi KOMORI
曹洞宗のかつての大本山、総持寺祖院を背にパレード走行する選手たちがスタートラインに向かう Photo: Nobumichi KOMORI

 12.6kmを7周回する88.6kmの戦い。門前町内をパレードした後にリアルスタートが切られたレースは、直後の上り区間で小山貴大(シマノレーシングチーム)がファーストアタックを仕掛けて幕が開けた。この動きに数人の選手が反応して追走するが、その後方から来る集団に吸収される。その後、レースはひとつの集団のまま進んでいき、1周目の残り1km地点を過ぎたところで岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が単独アタックを仕掛けて集団から先行する展開となり、レースは2周目へと入った。1周目を完了した時点で、メイン集団の人数はすでに30人ほどにまで絞り込まれており、今年もサバイバルレースを予感させる展開となった。

安原大貴(左)と岡篤志(右)の2人が集団から先行して上り区間を進む Photo: Nobumichi KOMORI

 2周目の上り区間に入ると、集団からは直前にチームを移籍した安原大貴(シエルヴォ奈良・ミヤタ-メリダ レーシングチーム)がチェックに飛び出し、程なくして逃げていた岡に合流して逃げは2人となる。しかし、この逃げはコースふたつ目の上り区間に入る直前で吸収され、再び集団はひとつになってふたつ目の上り区間へ。上り区間を越えて下り区間に入ると、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)と雨澤の2人が抜け出し、集団からリードを奪った状態で3周目へと入った。

3連勝中のマトリックスが今回も優位に

 3周目に入ってしばらくすると、先行していた2人の選手に田窪賢次(マトリックスパワータグ)が合流して先頭は一時3人となったが、その後、集団が吸収。しかし、この動きでペースが上がった影響で集団が割れ、先頭は12人にまでその人数を減らす展開となった。

レース序盤で人数が絞られた先頭集団が日本海を望むふたつ目の上り区間に差しかかる Photo: Nobumichi KOMORI

 4周目に入ったレースは、ひとつ目の上り区間で雨澤がアタックを仕掛けたことで先頭集団が分断。土井雪広(マトリックスパワータグ)、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、吉岡直哉(那須ブラーゼン)、米谷隆志(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)、ハビエル・サラダ・ペレス(スペイン、エルドラード東北)の5人が追走に出て雨澤を吸収する展開となる。その後、土井、トリビオが波状攻撃を仕掛けたことで吉岡が遅れたものの、残る3人はしっかりと食らいつき、先頭は5人となって5周目へと入った。

ルビーレッドジャージのトリビオ自らが攻撃を仕掛ける Photo: Nobumichi KOMORI

 5人となった先頭集団は大きな動きもなく5周目を終え、レースは残り2周となる6周目。この段階で追走は50秒後方に吉岡と田窪、さらにその1分後方に佐野、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、西村大輝(シマノレーシングチーム)の3人という状況になっており、先頭集団の逃げ切りが濃厚な状況となった。6周目に入ると、ひとつ目の上り区間でペレスと米谷が遅れ、先頭は一時3人となったが、その後ペレスが復帰。先頭は4人に。ベテランの土井と個人ランキング首位でルビーレッドジャージを着るトリビオの2人がいるマトリックスパワータグ有利の状態で、レースは最終周回を迎えることとなった。

4人の先頭集団が長い直線の下り区間を猛スピードでクリアする Photo: Nobumichi KOMORI
土井(左)が好アシストを見せてマトリックスパワータグが勝利に近づいたかに思われたが… Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周回に入ると、ひとつ目の上り区間で「トリビオ選手のアタックを警戒して、アタックさせないようにした」とレース後に語った雨澤がペースアップ。最初にペレス、続いて土井が遅れ、ついにはトリビオも遅れて雨澤が単独で抜け出すことに成功する。ひとつ目の上り区間を終える頃には、雨澤はトリビオに35秒のタイム差をつけて独走状態に。ひとつ目の下り区間を終え、ふたつ目の上り区間に向かう平坦区間に入るとその差は45秒にまで広がった。

成長の雨澤「自分からきついレースに」

 独走する雨澤に対して、後方ではトリビオに土井が合流。2人で追走の動きを見せるがその差は縮まることはなく、ふたつ目の上り区間では逆に1分30秒差にまでタイム差が開いた。さらに後ろの追走グループから単独で抜け出してきた佐野が合流し、マトリックスパワータグが3人で追走の動きを見せたが、雨澤を捕らえることはできない。3連勝中のマトリックスパワータグに真っ向から力勝負を挑んだ雨澤が、数的不利も力でねじ伏せ、今季同ツアー2勝目となる優勝を飾った。

遠く輪島に応援に駆けつけたファンに笑顔とピースで応える雨澤毅明 Photo: Nobumichi KOMORI
力勝負を制しての優勝に清水裕輔監督も喜びを爆発させる Photo: Nobumichi KOMORI

 優勝した雨澤は今季、23歳未満の日本代表のエースとして、6月にチェコで行われたネイションズカップで個人総合18位に入る健闘。日本代表に初となるネイションズポイントをもたらし、23歳未満のツール・ド・フランスと言われるツール・ド・ラヴニールの出場権獲得に大きく貢献した。その後も8月のツール・ド・ラヴニール、9月の世界選手権を戦ったことで大きく成長し、帰国後の初戦でその実力を証明する優勝となった。

左から2位の土井雪広、優勝した雨澤毅明、3位の佐野淳哉 Photo: Nobumichi KOMORI

 優勝した雨澤は「緩いレース展開にしたくなかったので、自分からきついレース展開に持ち込もうと思いました。序盤に何度もアタックを仕掛けたことで中盤以降に脚の残り具合に不安を覚える場面もありましたが、それによって周りの選手も脚を使っていたようで、最終周のペースアップが決まりました」とレースを振り返った。

今レースに特別に設定された山岳賞は左から3位トリビオ、1位雨澤毅明、3位ペレスが獲得 Photo: Nobumichi KOMORI
ピュアホワイトジャージを奪い返した雨澤毅明(左)とルビーレッドジャージを堅守するトリビオ(右) Photo: Nobumichi KOMORI

 なお、ツアーリーダーの証のルビーレッドジャージはトリビオが堅守したが、23歳未満のランキングトップの選手が着用するピュアホワイトジャージは、この日優勝し個人ランキング4位に浮上した雨澤が第13戦ぶりに着用している。

 次戦は10月14日に「おおいたいこいの道クリテリウム」が、大分県大分市で開催される。

Jプロツアー第19戦「輪島ロードレース」結果
1 雨澤毅明 (宇都宮ブリッツェン) 2時間37分02秒
2 土井雪広 (マトリックスパワータグ) +1分21秒
3 佐野淳哉 (マトリックスパワータグ) +1分22秒
4 ホセビセンテ・トリビオ (マトリックスパワータグ) +1分23秒
5 西村大輝 (シマノレーシングチーム) +1分32秒
6 飯野智行 (宇都宮ブリッツェン) +1分35秒

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