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イル・ロンバルディア2017ニーバリがイル・ロンバルディアを2年ぶり制覇 下りで攻めてプロ50勝目を達成

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 イタリアで10月7日、「落ち葉のクラシック」ことイル・ロンバルディアが行われ、ベルガモからコモまでの247kmで争われたレースを、終盤独走に持ち込んだヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が逃げ切って2年ぶりに優勝し、プロ通算50勝目となる記念すべき勝利を地元のビッグレースで飾った。UCIワールドツアーに初めて参戦した小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は途中リタイアだった。

右手で5、左手で0を表現し、プロ通算50勝目をアピールするヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo : Yuzuru SUNADA

2年前とほぼ同じコースレイアウト

 5大モニュメントの一つとして第111回目となるイル・ロンバルディアは、昨年のフィニッシュ地点であるベルガモをスタートし、昨年のスタート地点であるコモへとフィニッシュする真逆のコースレイアウトとなっており、コース後半に難所が立て続けに登場する。最初の関門は残り64km地点に登場するマドンナ・デル・ギザッロ教会の上りだ。イル・ロンバルディアの名物ともいえる難所であり、最大勾配14%となっている。

 ギザッロ教会を越えると、すぐに現れるのがソルマーノの壁だ。登坂距離1.92kmながら最大勾配27%・平均勾配15.8%の非常に強烈な激坂である。長くコーナーの多いダウンヒルを下りきると、今度は登坂距離4.2km・最大勾配14%・平均勾配9.7%のチヴィリオが現れ、残り5km地点には登坂距離3.3km・最大勾配10%・平均勾配7.2%のサンフェルモ・デッラ・バッターリアの上りが最後の勝負どころだ。

 2年前のイル・ロンバルディアとほぼ同じようなコースレイアウトになっており、勝者のニーバリはチヴィリオの下りで独走に持ち込んで、逃げ切っていた。

コモ湖を背景に、ギザッロ教会に向かって登るメイン集団 Photo : Yuzuru SUNADA

 この日の逃げは、マティアス・ルトゥルニエ(フランス、コフィディス)を含む6人。集団に最大12分程度の差を開いていた。主にバーレーン・メリダが牽引するメイン集団は、終盤の勝負どころに備えて逃げとのタイム差をコントロール。ギザッロ教会の上りに差し掛かる頃には1分程度まで縮めていた。

先頭を走る、シェレル(左)、ルトゥルニエ(中央)、デプルス(右) Photo : Yuzuru SUNADA

 メイン集団がギザッロ教会の上りに入ると、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)、ミカエル・シェレル(フランス、アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)、ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップ・フロアーズ)が飛び出した。逃げ集団から遅れた選手たちを吸収しながら、シェレルとデプルスの2人が抜け出していき、先頭で粘っていたルトゥルニエを捉えて3人で逃げグループを形成。ギザッロ教会の鐘が鳴り響く山頂に到達した。3人はメイン集団に対して1分30秒ほどのリードを築き、ソルマーノの壁に向かっていった。

有力選手は牽制し合ったまま終盤へ

 ソルマーノの壁は、道幅が非常に狭い上に、路上には1mおきに登坂距離がペイントされている。体感だけでなく、視覚的にも激坂であることを訴えているのだ。上りに入ってすぐに、シェレルがデプルスとルトゥルニエを置き去りにして独走に持ち込むと、最大27%の激坂を快調に駆け上がって、単独で山頂へとたどり着いた。デプルスが2番手で通過していく。

 メイン集団では、ニーバリら有力選手が集団前方に位置していたものの、大きな動きはなかった。集団先頭が3番手で山頂を通過して、長いダウンヒルに突入した。

 つづら折りのテクニカルなダウンヒルを、シェレルはかっ飛ばす。途中オーバースピード気味で、ガードレールにぶつかりかかるシーンも見られたが、メイン集団に対して1分近いリードを稼ぎ出す好走を見せた。

ソルマーノの山頂で補給を受け取るフィリップ・ジルベールは、この後アタックを仕掛ける Photo : Yuzuru SUNADA

 ところが単独で追走するデプルスが、コーナーを曲がり切れずにガードレールに激突。自転車ごと乗り上げてしまい、崖下にコースアウトする落車事故が発生した。幸い大きな怪我はなかったものの、念のために病院に搬送されることとなり、リタイアとなった。

 デプルスが落車したとの知らせを受けたであろう、チームメイトのフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップ・フロアーズ)が集団からアタックを仕掛けた。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング チーム)とペーリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム)も合流し、ダウンヒルを下りきる頃には、先頭のシェレルを捉えて4人の逃げグループを形成した。

 メイン集団はエフデジが積極的に牽引し、逃げの4人とのタイム差を詰めていった。

ニーバリは得意の下りでリード拡大

 上り口から9%を越える斜度のチヴィリオに入ると、シェレルが脱落。3人となったジルベールたちが逃げ続けるも、後方からエフデジが牽引する集団が猛スピードでやってきて、あえなく吸収された。

 そして、いよいよエース級の選手たちによる駆け引きが始まった。手始めにアレクシー・ヴィエルモーズ(ベルギー、アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が揺さぶりをかけるも、ライバルたちはしっかり反応していた。

 集団が落ち着くと、ジャンニ・モズコン(イタリア、チーム スカイ)がキレの良いアタックを見せ、サム・オーメン(オランダ、チーム・サンウェブ)が食らいついた。さらに、2人を追ってティボー・ピノ(フランス、エフデジ)、ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング チーム)も飛び出し、遅れてニーバリ、キンタナ、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)、イーガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニ・シデルメック・ボッタキオ)らも追いかけていった。

 一方で、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・フロアーズ)は、集団の真ん中付近で上りに苦しんでいる様子が見られた。

 先頭が再び1つの集団となると、ピノがアタック。ニーバリらが対応し、一度は吸収されるものの、カウンターでピノが再度アタック。今度こそ独走に持ち込んだ。

アタックを仕掛けるティボー・ピノ Photo : Yuzuru SUNADA

 これを追って、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)が飛び出した。さらに、一瞬の隙を突いてニーバリもアタック。ニーバリの勝ちパターンに持ち込ませてはいけないとわかっているライバルたちだが反応できず、勢いが段違いのニーバリはポッツォヴィーヴォを抜き去り、一気に先頭のピノに追いついた。

チヴィリオの上りで激しく争う、ニーバリとピノ Photo : Yuzuru SUNADA

 ニーバリとピノが先頭で山頂を通過し、狭い下り坂へと入っていく。ダウンヒルを得意とするニーバリと、ダウンヒルを苦手とするピノの差は明らかで、徐々に両者の差が広がっていった。下りながらニーバリは心拍数が180を超えており、かなり高負荷な攻撃を続けていることがうかがえた。

 チヴィリオを下りきるころには、ピノとの差は10秒程度まで広がっており、追走するメイン集団との差は45秒程度となっていた。

ニーバリは2年ぶりのモニュメント優勝

 平坦路でもニーバリのスピードは落ちることなく、ピノとの差を20秒まで開いて最後の上りであるサンフェルモ・デッラ・バッターリアに差し掛かった。

独走で最後の上りをこなすヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo : Yuzuru SUNADA

 もはやニーバリの逃げ切りは決定的となり、ピノやメイン集団を走る選手たちは表彰台を巡る駆け引きが始まっていた。そのなかで、チヴィリオの上りで苦しんでいたアラフィリップが、得意の緩斜面でキレ味鋭いアタックを見せて集団から抜け出した。2番手を走行するピノを抜き去り、ダウンヒルで一気に後続を突き放して独走に持ち込んだ。

 フィニッシュ地点のコモに最初にやってきたのはニーバリだ。最後の直線路で、観客を煽りながら自身通算50勝目を表すポーズをしながらフィニッシュ。勝ち方も2年前と全く同じだった。ニーバリのコンディションが非常に良かったため、ライバルたちはわかっていても対応できなかったのだろう。ジロとブエルタでステージ1勝ずつあげていたものの、総合優勝を果たせなかったニーバリが、シーズンの最後に2年ぶりのビッグタイトルを獲得した。

 ダウンヒルで築いたリードを守り抜き、アラフィリップが2位でフィニッシュ。パリ〜ニースでは個人TTステージで優勝、ポイント賞と新人賞も同時に獲得、ミラノ〜サンレモで3位、ブエルタでステージ1勝をあげるなど、あらゆる局面で好成績を残した2017年シーズンは、最後にイル・ロンバルディアで2位表彰台に滑り込んだ。3位以下は集団スプリントとなり、モズコンが3位に入った。

表彰を受ける3人。左からアラフィリップ、ニーバリ、モズコン Photo : Yuzuru SUNADA

イル・ロンバルディア結果
1 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 6時間15分29秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・フロアーズ) +28秒
3 ジャンニ・モズコン(イタリア、チーム スカイ) +38秒
4 アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)
5 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)
7 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム)
8 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +40秒
9 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +42秒
10 セルゲイ・シェルネツキ(ロシア、アスタナ プロチーム) +47秒
DNF 小林海(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

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