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“小柄代表”青木陽子さんによるインプレッション小柄な人は650Bホイールに注目! 「キャニオン」の女性用ロード「WMNシリーズ」の可能性

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 ドイツのバイクブランド「CANYON」(キャニオン)から650ホイールの女性用ロードバイクが出た、ということを聞いたのは今年の春。身長154cmと小柄女性サイクリストの代表を自認するワタクシが見逃すはずはございません。ありがたいことにこの夏にたっぷり(走行距離800km)テストする機会をいただいたので、そのインプレッションをレポートしたいと思います。(取材・青木陽子)

キャニオン アルティメット WMN CF SLX Disc 8.0 Di2(2017年)。650Bホイールを履く3XSサイズ カラーはステルス Photo: Yoko Aoki]

小柄な女性には700Cホイールは大きすぎる

 身長154cmというのは、一般的な700Cホイールのロードバイクでは「なんとか普通に乗れる」身長のぎりぎり下端だと思います。

700Cホイールだと気になるつま先と前輪の干渉も、650Bのアルティメットではまったくなし Photo: Yoko Aoki

 それでもステムを非常に短いものにしないとならない、シートポストがフレームからあまり出ないのでバイクパッキング系サドルバッグが極小のものしかつけられない、つま先と前輪のオーバーラップが大きい(停止時にハンドルを大きく切るとペダルに乗せているつま先とホイールがぶつかってしまう)…などなどいつも辛い思いをしているわけです。

 そして何よりカッコ悪い。プロ選手のようにサドルとハンドルバーの落差をつけてエアロなライディングポジションをとりたくてもつけられないわけです。

 要は、700Cホイールは小柄な人には大きすぎるわけです。一回り小さい650Cホイールのロードバイクは従来からごく少数作られているのですが、スペック的には初心者用や子ども用を想定しているものが大半で、ちょっと残念。

 いよいよ次はフレームをオーダーするしかないのかなぁ…と思っていたところのキャニオンのニュースだったわけです!

Di2と油圧ブレーキは手の小さい人の救世主

 今回拝借したのは、3種類あるロードの女性用WMNの最上級モデル「Ultimate(アルティメット) WMN CF SLX Disc」の8.0 Di2。サイズは最小の3XS(XXXS)。女性プロチーム「CANYON//SRAM RACING」(キャニオン・スラム レーシング)の選手も乗っているカリカリのレースモデルです。

身長154cmの筆者でこのくらいのバランス。ステムはあと4cm近く低くできそう。フロントの三角形は小さいが、ショートボトルなら2本問題なく収まる Photo: Yoko Aoki

 ロンドンのキャニオンで対面したアルティメットは、マットブラックで超クール! ステム一体型のエアロバーは戦闘的なルックス。やばいマジかっこいい…はやる気持ちを抑え、持参したペダルをつけ、サドルハイトを調整し、ロンドンの街に漕ぎ出します。

 「アルテグラDi2」は初めてでしたが非常に好感触でした。ブラケットはシマノとしては比較的細身で小さい手にも問題なく、電動なのでもちろんシュッシュッと小気味よくシフト。手が小さい人は指も短く握力も弱めなので、前の人についていくのがギリギリのライドでフロントディレイラーの操作が遅れてそれで千切れる…ということも多々あり、切実なのです。電動は、とくに小柄な女性には投資の価値大だと思います。

指先だけの軽い力でリニアにしっかりと引けるシマノのDi2油圧ディスクブレーキ。制動力はライドタイプや乗り手の体重などに合わせて調整可能とのこと。スルーアクセル式 Photo: Yoko Aoki

 Di2のディスクブレーキは引く力にリニアに反応し、しっかりと制動しつつ奥行きがある印象。じつは自宅に戻る途中、渋滞している車道に併設されているサイクリングレーンを走っていて、不注意に勢いよく右折してきた対向車にあわや突っ込まれそうになる場面があったのですが、我ながらコントロールがとれた急制動ができて、冷や汗をかきつつニヤリとしたのでした。

ホイール小径化の恩恵はハンドリングに

ホイールはDT SWISSのハイグレードなPR1400DB Dicut、チューブレス/クリンチャー、19mm幅。タイヤはシュワルベのやはりハイグレードなチューブレスPro One、25mm幅 Photo: Yoko Aoki

 さて特徴であるホイールサイズですが、キャニオンのWMNの場合は650Bという規格のホイールを採用しています。700Cホイールと並べると、5cmくらい背が低い。けれど昔からある小さなロードバイクやツーリングバイクは650Cで、650Bはそれより少し径が大きくなっています。なぜ650Cにしなかったのか?という質問に対して、WMNプロダクトマネージャーのカトリン・ノイマンさんは「650Cはさすがに小さすぎると判断した」とのこと。

 650Bは27.5インチとも呼ばれMTBで普及してきているため、太めのブロックタイヤを中心にたくさんのタイヤが出回っていますが、ロード用スリックはいまのところ今回キャニオンからの依頼で作ったというシュワルベのチューブレス1種類のみで、もうすぐコンチネンタルからも出るとのこと。ここは今後の充実に期待するところです。

キャニオンのステム一体型エアロバー、H31エルゴコクピットCF。空力がよさそうでカッコいい。3XSについてくる幅は38cm。アルテグラDi2のブラケットは、シマノの中ではスリムなほう。レバーにはリーチ調整機能もあり Photo: Yoko Aoki

 とはいえホイール小径化の効果は大きいようです。ハンドリングが顕著に違うのです。まずはコーナリングがしやすい。700Cほど意識して倒さなくても倒れるような感じ。また、超低速で操りやすい。狭い路地でのUターンが普段苦手なのですが、アルティメットではくるっと回れたのです。走行中に路面に落ちているボルトを避けるような機敏なハンドリングもしやすいように感じました。このあたりは、ホイールの小径化でヘッドチューブアングルを大きくでき、小さいサイズの700Cロードバイクでは犠牲になっていることが多いトレール長を大幅に小さくできていることなどが関係しているようです。

 このコーナリングのしやすさとディスクブレーキの安心感で、下りではよりリラックスして速くなったように思ったのは気のせいではないはず。

新車をお探しの身長166cm未満のみなさ〜ん!

駆動コンポーネントはシマノ アルテグラDi2 11速。650Bホイールの3XSと2XSは短いタイヤ周長に合わせてチェーンリングが52/36とセミコンパクトになっている。クランクは3XSは165cm Photo: Yoko Aoki

 ホイールが少し小さいということは、ホイールが1回転して進む距離が短いということでもあります。この差を解消するため、650Bがつく3XSと2XSのフレームには、歯数52/36とセミコンパクトのチェーンリングがついています(カセットは11-32)。念のため自分で計算してみましたが、50/34の700Cホイール(23mmタイヤ)車で、トップ50×11/ロー34×29とほぼ同じになっていました。

 毎年行っている南仏ラングドックでの旅行に今回このアルティメットを飛行機輪行で連れて行ったのですが、ディスクブレーキにスペーサーを挟む程度でとくに不便もなく、ライドをたっぷり堪能できました。

飛行機輪行でシーコンのハードケースにホイールを収めたところ。ケースの丸い凹みは700Cホイールが空気をすべて抜いてぴったりと収まる大きさ。650Bホイールのサイズ感がわかりやすい Photo: Yoko Aoki

 プロも乗る本格レース仕様ということで硬さが気になるかと思いきや、個人的には硬くて乗り心地が悪いというような印象はまったく受けず。カーボンの一体型エアロバー、シートポストもいい仕事をしているのかもしれません。

 …といいところだらけでアルティメットにいまわたしはベタ惚れなわけですが、気になることがないわけでもないのです。それは、この650Bホイールのモデルが今後も続いていくかどうか、あわよくば他のメーカーもキャニオンに追随して650Bモデルを作るようになってくれるかどうかです。

700Cホイールのバイク(左)と650Bホイールのアルティメット(右)、同じ筆者が乗っているところ。700Cはやはりキツキツな印象。筆者のフィッティングで、サドルレールとリアホイールの最短距離は、700C車は16cm、アルティメットは21cmだった。※比較しやすいよう左の写真は反転して向きを揃えています Photo: Yoko Aoki

 それは一重にこの新しいWMNシリーズの3XS、2XSモデルがたくさん売れるかどうかにかかっているでしょう。新車をお探しの身長166cm未満のみなさん、自転車のフィット感に悩んでいる小柄女性のみなさんに呼びかけたい気持ちでいっぱいです。キャニオンの新しいシクロクロス車INFLITE(インフライト)も650B設定が登場したので、かなり期待はしているのですが!

■CANYON Ultimate WMN CF SLX Disc 8.0 Di2
サイズ:3XS (27.5)、2XS (27.5)、XS、S、M
カラー:ステルス
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
変速機:シマノ・アルテグラDi2(F)&(R)
ギヤ:シマノ・アルテグラ 52×36T、11-32T(11s)
ホイール: DT SWISS PR 1400 DB DICUT
重量:7.4kg(サイズSカタログ値)
税抜価格:445,500円

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。ブログ「yokoaoki.com」を更新中。

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