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栗村修の“輪”生相談<110>50代男性「レース前日や当日のアップのしかたを教えてください」

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 栗村さん、毎回読み応えのある返答で繰り返し拝読しております。

 自転車歴5年、レース歴3年(ツールド沖縄50km、各種クリテリウム、2時間程度のエンデューロ)です。3本ローラーでのLSD、もがき、レースをイメージしての50〜70kmのゾ-ン3から5での走行など練習に励んでおります。

 そこでご質問します。練習の成果が最大限に出るように、レースの時のアップの仕方、量がわかりません。アップ不足でクリテリウムで千切れたり、または、前日に走り込みすぎてしまったようで気持ちで走れるのに脚が回らないなどの経験があります。各種レース別での、前日まで、そして当日のアップの仕方をお教えいただけますでしょうか? 心拍などやその他、アップの際に目安となる指標がありますでしょうか?

(50代男性)

 ありそうでなかったご質問です。僕も選手、監督として長いことレースの現場にいましたが、アップに関しては選手間のばらつきが大きすぎて、「法則」は見つけられませんでしたね。

 そもそもですが、アップとは、いわば体の暖機運転です。暖機運転ですから、目的は故障の防止とパフォーマンスアップの二つですね。今回はパフォーマンスアップが狙いですが、故障防止の上でも大事です。

 しかし上でもお伝えしたように、適したアップについては個人差が大きい。ですから、ご自分の体の特性を知ってください…ということになってしまうのですが、それではあんまりなので、特性について考えてみます。

 おおざっぱには、アップをあまり必要としないクイックスターターと、そうじゃないスロースターターに分かれそうです。僕はクイックスターターでしたね。レース前にあまりアップをしなくても、いきなりアタックできちゃうんです。アップは、正直、謎でしたね。アップすればするほど疲れるんです。そんなの損だと思ってました。

ツール・ド・フランスの山岳王など活躍したクラウディオ・キャプーチ(イタリア)。ジャパンカップでもかつて1993〜1995年に3連勝を飾っている Photo: Yuzuru SUNADA

 が、アップ不足のクリテリウムで苦しんだという質問者さんはスロースターターのようです。いきなり高強度になるクリテリウムは特に、スロースターターにとっては鬼門ですね。しっかりアップしたほうがいいタイプです(レース前のウォーミングアップでは、ある程度時間をかけて徐々に負荷を上げていき、一度レースに近い強度までもっていくのが良いと思います)。

 レース前日の走り込みも、アップと同様に、個人差の世界の話です。ただ、アップの必要・不要とはまた別なんですね。アップを必要とする質問者さんですが、前日の走り込みで疲れてしまったとご質問にあります。つまり、前日はあまり走りすぎないほうがいいタイプなんです。

 昔、クラウディオ・キャプーチという名選手がいましたが、彼は逆に、レース前日に走り込めば走り込むほどレースでの成績が良くなるタイプでした。だからステージレースの休養日が大嫌いで、休養日も150kmくらい走っていたといわれていました。

 一方、トニー・ロミンゲルというスイスの名選手は、休息日は自転車に乗らずにゆっくりと休むのが定番だと、なにかの記事で目にした記憶があります。

 ともかく、まずは自分に適した「法則」を見つけるのが重要です。だから色々試して、ご自身を知るしかありません。アップもレース前日のトレーニングも、①やらない(故障防止という観点でのウォーミングアップは必要)②軽くやる(低・中強度、短時間、ギアも軽めなど)③がっつりやる(トータル1時間くらいかけて徐々に負荷レベルを上げていき、最後はレースと同じ強度で走る。もしくはインターバルを取り入れるなど)の3つくらいに分けて、それをいろいろと組み合わせて試してみてください。

 そして、パターン別にレースでの結果を記録して、最もパフォーマンスの良い「法則」を見つけ出してみてはいかがでしょうか。正解が見えてくるはずです。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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