スマートフォン版はこちら

サイクリスト

経験豊富なスペイン人ライダーが快勝ツール・ド・北海道はマルコス・ガルシアが総合優勝 函館山頂上決戦で圧巻の登坂

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 ツール・ド・北海道(UCIアジアツアー2.2)は9月10日、最終の第3ステージが行われ、今大会のハイライトとなる函館山のヒルクライムをマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)が制覇。前日を終えて僅差だった個人総合争いでもトップに立ち、王者の証であるグリーンジャージを獲得。第31回大会の覇者となった。

函館山頂上フィニッシュを制覇。第3ステージの勝利と同時にツール・ド・北海道2017の個人総合優勝を決めたマルコス・ガルシア Photo: Syunsuke FUKUMITSU

大学の名誉を賭けた山岳賞争い

 北海道南部を舞台に3日間で争われた今大会は、いよいよ最終日。そして、最後を飾るにふさわしいステージが整えられた。

3賞ジャージが最前列に並んだスタートライン。グリーンジャージの岡本隼(中央)が沿道の声援に応える Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 レース距離は77kmのショートステージながら、クライマックスは大会史上初めてとなる函館山頂上をめがけてのヒルクライム。登坂距離4.2km、平均勾配6.4%の上りは今大会のハイライトとなること必至だ。第2ステージまでを終えた段階で、グリーンジャージの岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を筆頭に、総合タイム差14秒の中に個人総合優勝候補が多数ひしめく大混戦。函館山頂上での順位が、そのまま総合成績に反映されることが予想された。

鹿屋体育大学が山岳ポイント獲得に向けて猛然とペースアップ。冨尾大地(右から2人目)が1位通過し、山岳賞を確定させた Photo: Tour de Hokkaido

 緊張感の中スタートを切ったプロトン。早々からアタック合戦となり、数人が先行する場面があったものの集団の容認は得られない。そのまま26.6km地点に設けられた山岳ポイントに到達し、前日まで同点で競っていた草場啓吾(日本大学)と冨尾大地(鹿屋体育大学)の争いに。これを冨尾が先着、逆転での山岳賞を確定させた。

 その後も集団の主導権争いが続き、レースはハイペースで進行。50km地点を過ぎたところで入部正太朗(シマノレーシングチーム)と中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー)が飛び出すが、集団はリーダーチームの愛三工業レーシングチームがコントロールをはじめ、先頭2人とのタイム差は15秒ほどで進む。

 残り10kmを切って逃げをキャッチ。メイン集団はいよいよ最終決戦の舞台である函館山へと急ぐ。ブリヂストンアンカーサイクリングチームや宇都宮ブリッツェンが集団前方を固めた。

ガルシアが実力通りの登坂力を発揮

 函館山の登山道に入ると、あっという間に集団は20人程度に絞られる。ここでペーシングを始めたのはNIPPO・ヴィーニファンティーニ。さらにキナンサイクリングチームが続く。キナンは山本元喜が中腹でアタック。さらに集団は活性化された。

残り2km地点でマルコス・ガルシアがアタック。優勝争いの人数が絞られていく Photo: Tour de Hokkaido

 残り2kmになったところで今度はガルシアがアタック。独走に持ち込むまでには至らないが、優勝争いのメンバーを絞り込むには十分な攻撃となる。一方、5人全員をそろえて数的優位を作るNIPPO・ヴィーニファンティーニ。上りに強いメンバーをそろえて今大会に臨んでおり、最後に誰を送り込むのかに注目が集まった。

 いよいよラスト1km。NIPPO・ヴィーニファンティーニ勢に加え、ガルシアとトマ・ルバ(フランス)のキナン勢、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)らの争いに。フィニッシュまでの数百メートルの急斜面で加速したのはガルシア。後方から西薗が迫るが、ガルシアには届かない。今大会のハイライトとなる山頂フィニッシュはガルシアが制した。

マルコス・ガルシア(左から2人目)の個人総合優勝を喜ぶキナンサイクリングチームの5選手。チームメートの働きにガルシアが勝利で応えた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 前日までの総合上位陣がいずれも優勝争いから遅れたこともあり、ステージ上位がそのまま総合成績に反映。ガルシアのツール・ド・北海道初優勝が決まった。

 ガルシアはキナンサイクリングチーム所属2年目のクライマー。かつてはカハルラル・セグロスRGAなど自国のプロコンチネンタルチームで主力を務めた実績を持つ。2012年のブエルタ・ア・エスパーニャではステージ4位となるなど、通算3度グランツールに出場している。現在はUCIアジアツアー屈指のクライマーで、今大会も実力通りの結果を示した。一方で、意外にもこれがプロキャリア初のステージレース総合優勝とあって、「チームのみんなの働きがあって最高の成績を残すことができた」と喜びを表現した。

個人総合上位3選手の表彰。左から2位西薗良太、優勝マルコス・ガルシア、3位ホセ・ヴィセンテ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 その他各賞は、岡本がポイント賞を、冨尾が山岳賞、チーム総合ではNIPPO・ヴィーニファンティーニがそれぞれ獲得。岡本はグリーンジャージこそ失ったものの、このステージでも15位でフィニッシュし1ポイントを獲得。この走りがポイント賞の決め手となった。

ポイント賞の岡本隼 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
山岳賞の冨尾大地 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
チーム総合1位のNIPPO・ヴィーニファンティーニ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
特別賞のチーム総合アンダー26部門は鹿屋体育大学が獲得 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今シーズンのUCI公認国内ステージレースは、これをもって終了。年内の国内UCIレースは、ジャパンカップサイクルロードレース(10月22日)とツール・ド・おきなわ(11月12日)となった。いずれも国内コンチネンタルチームと海外の強力チームとがしのぎを削るレースとなるはず。日本国内のサイクルロードレースシーズンは、秋のビッグレースへ向けてますます加熱していく。

第3ステージ結果
1 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 1時間43分47秒
2 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +2秒
3 ホセ・ヴィセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ) +6秒
4 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +6秒
5 ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +6秒
6 サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チームUKYO) +9秒
7 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +11秒
8 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チームUKYO) +13秒
9 ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム) +18秒
10 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +25秒

個人総合時間賞
1 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 9時間44分28秒
2 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +6秒
3 ホセ・ヴィセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ) +12秒
4 ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +16秒
5 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +16秒
6 サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チームUKYO) +19秒
7 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チームUKYO) +23秒
8 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +25秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +26秒
10 ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム) +28秒

ポイント賞
1 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) 42 pts
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 42 pts
3 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 37 pts

山岳賞
1 冨尾大地(鹿屋体育大学) 13 pts
2 草場啓吾(日本大学) 12 pts
3 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 7 pts

チーム総合
1 NIPPO・ヴィーニファンティーニ 29時間14分36秒
2 キナンサイクリングチーム +1分17秒
3 チームUKYO +1分33秒

関連記事

この記事のタグ

UCIアジアツアー ツール・ド・北海道2017

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載