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サイクリスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第20ステージコンタドールが超級山岳アングリルを制して有終の美 フルームはダブルツール達成確定

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージは、コルベラ・デ・アストゥリアスからアルト・デ・ラングリルへの117.5kmで争われ、今大会限りで引退を決めているアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がステージ優勝を飾った。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)はステージ3位となり、初のブエルタ総合優勝を確定させ、2008年にジロ・デ・イタリアとブエルタを制したコンタドール以来のダブルツールを達成した。

山岳最終決戦の第20ステージを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が得意の「バキューン」ポーズでゴール Photo: Yuzuru SUNADA

18人の強力逃げ集団をトレックが猛追

 3週間の長きにわたる戦いも、世界屈指の難関山岳である”魔の山”アングリルで最終局面を迎える。アングリルは登坂距離12.5km・平均勾配9.8%・最大勾配23.5%となっていて、ラスト7kmの区間は平均勾配が13%を越えるほどの激坂が延々と続く、決戦の地にふさわしい超難関ステージだ。

 大雨が降るなか、スタート直後から激しいアタック合戦が繰り広げられた。カテゴリーはないものの12.7km地点から始まるダウンヒルを経て、18人の逃げが決まった。

総合優勝を確実にしたフルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 トップから14分54秒差の総合15位につけるニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム)、アダム&サイモン・イェーツ兄弟(イギリス、オリカ・スコット)、ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール)、ステージ2勝をあげているトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ)らが含まれる非常に強力なメンバーが揃っていた。

 そのため、コンタドールでステージ優勝を狙いたいトレック・セガフレードが積極的に集団コントロールを担い、逃げ集団とのタイム差を1分程度にコントロールしていた。

 先頭の逃げ集団では迫りくる集団を振り切ろうと動きが活性化。1級山岳コベルトリア峠では7人が脱落し、11人で山頂を通過。ウェットな路面のダウンヒルを経て、続くコルダル峠を越える頃には8人まで減っていた。

 メイン集団は、コベルトリア峠の山頂は先頭から1分25秒遅れ、コルダル峠ではヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)が必死の集団牽引を見せ、タイム差を45秒まで縮めていた。
 

最後の山岳は“魔の山”アングリル。森林限界を超えて山肌が露わになる Photo: Yuzuru SUNADA

 コルダル峠からのダウンヒルは、スリッピーでテクニカルなコーナーが続いたこともあり、落車が相次いだ。逃げ集団のソレルは滑って落車したものの、すぐに再スタートを切って逃げ集団に復帰。この下りを利用して、マルチンスキーが独走に持ち込んでいた。

 メイン集団では、ダウンヒルを得意としているはずのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がコースアウトしかけたり、総合11位につけていたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が激しく落車してリタイアに追い込まれていた。

 そのような状況にも関わらず、パンタノとコンタドールのコンビがダウンヒルでアタックを仕掛けた。メイン集団から一気に飛び出すと、逃げていたマスを吸収しながら、アングリルの麓に到達した。

コンタドールの劇的な独走勝利

 先頭はマルチンスキーが独走。バルデ、ソレル、サイモン・イェーツが追いかけ、1分後方にコンタドール、パンタノ、マスと続いていた。メイン集団はさらに40秒ほど後方にいた。

 メイン集団は、チーム・サンウェブが集団牽引を開始した。エースのウィルコ・ケルデルマン(オランダ)の表彰台を守るために、コンタドールを追いかける。

 残り11km地点付近で、パンタノが限界を迎えて離脱すると、チームは違えどスペイン人のマスが代わってコンタドールの前に出て引き始めた。マスは、2013年から2015年まで、コンタドールが運営しているスペインのアマチュアチームで走っていた選手だ。表立っての他のチームの選手を助ける行為はルール違反ではあるが、時としてこのようなチームの垣根を越えたアシストが見られる。

 さらに、逃げ集団から遅れてきたサイモン・イェーツ、ソレルもコンタドールのために引くシーンが見られた。残り8.3km地点で、ついに先頭のマルチンスキーを捉え、メイン集団とのタイム差も50秒まで広がっていた。途中、コンタドールが沿道の観客に接触するシーンも見られたが、コンタドールの勢いは止まらない。残り5.5km地点で、コンタドールはついに独走に持ち込んだ。

 チームスカイがコントロールするメイン集団も、傾斜が厳しくなるにつれ人数を大きく減らし、フルーム、ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ)、ニーバリ、フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ケルデルマン、ザカリン、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)の7人となっていた。

苦しい表情で先頭を走るコンタドール Photo: Yuzuru SUNADA

 ペリツォッティが先頭で牽引を始めるものの、コンタドールとの差は縮まらず、1分20秒程度まで広がった。このままフィニッシュすれば、コンタドールは逆転で総合3位となる状況だった。同じく表彰台を狙っている総合4位のザカリンと、守りたい総合3位のケルデルマンがペースアップを図ると、コンタドールとのタイム差が徐々に縮まり始めた。

 残り2km地点付近で、満を持してフルームがアタック。アシストのプールスのみがついていくことができ、ザカリン、ケルデルマン、ニーバリは遅れてしまう。

 先頭を走るコンタドールは、最も勾配が厳しい終盤の区間に突入。苦悶の表情を浮かべ、得意のダンシングを多用するも、フルームとのタイム差が急速に縮まってきた。残り1kmでフルームとの差は30秒、ザカリンとの差は40秒差となっていた。

 コンタドールは厳しい上り区間を越えて、勾配が緩む平坦区間に辿り着くと、ステージ優勝に向けてラストスパート。最後は観客の声援に応えるように、お馴染みの「バキューン」ポーズを見せながら、ステージ優勝を飾った。アングリルでのステージ優勝は、総合優勝を果たした2008年以来2度目となった。

 今大会、最後まで攻撃的な走りを見せ続けたコンタドール。「ラストバトル」となった第20ステージで、現役生活の集大成ともいえる見事な勝利で有終の美を飾ってみせた。

チームメイトのプールスに引かれて先頭を追うマイヨロホのフルーム。総合首位を守った Photo: Yuzuru SUNADA

 17秒遅れて、プールスとフルームがフィニッシュ。総合優勝とダブルツール達成を確定させた。ツールとブエルタのダブルツールの達成は、1978年のベルナール・イノー以来3人目の快挙だが、7月にツール、8〜9月にブエルタという現在のスケジュールになってからの達成は史上初のことだ。

ステージ4位のザカリンが総合3位に浮上 Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージ4位以降は、ザカリンが粘って35秒遅れでフィニッシュ。ニーバリが51秒遅れ、ケルデルマンは1分11秒遅れた。ニーバリは総合2位を死守し、ザカリンは逆転で総合3位に滑り込んだ。

 また山岳賞は、この日来シーズン以降のチーム存続が決定したキャノンデール・ドラパックのダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア)に確定した。

 3週間にわたる激しい総合争いは、コンタドールのステージ優勝とフルームのダブルツール達成で幕を閉じた。翌第21ステージは、いよいよ最終目的地であるマドリードへと到達する。お馴染みの市街地周回コースにて、集団スプリント勝負が繰り広げられるだろう。

第20ステージ結果
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 3時間31分33秒
2 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +17秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +17秒
4 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +35秒
5 フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +51秒
6 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +51秒
7 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +51秒
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分11秒
9 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +1分25秒
10 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +1分36秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 79時間23分37秒
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2分15秒
3 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +2分51秒
4 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +3分11秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +3分15秒
6 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +6分45秒
7 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +8分16秒
8 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +8分59秒
9 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +11分4秒
10 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +15分36秒

ポイント賞(プントス)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 153 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 128 pts
3 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 127 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 67 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 47 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 35 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 5 pts
2 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 17 pts
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 17 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 237時間56分27秒
2 モビスター チーム +6分32秒
3 チーム スカイ +8分23秒

敢闘賞
エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)

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