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サイクリスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第17ステージ最大勾配28%の超級山岳でデニフルが逃げ切り勝利 フルームは失速してリード縮まる

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージは、ビジャディエゴからロス・マチュコスへの180.5kmで争われ、プロコンチネンタルチーム所属のシュテファン・デニフル(オーストラリア、アクアブルースポーツ)が逃げ切って、チームとしても個人としてもグランツール初勝利となるステージ優勝を飾った。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は激坂に苦しみ、総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)から42秒失って、両者のタイム差が1分16秒に縮まった。

グランツール初勝利を飾ったシュテファン・デニフル Photo : Yuzuru SUNADA

濃霧の2級山岳はヴィレッラが先頭通過

 カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス県、ビジャディエゴから北上し、海岸線の間際で折り返して内陸部に向かってロス・マチュコスへフィニッシュする上級山岳ステージには、2級・1級・超級が1つずつ設置されていた。フィニッシュ地点の超級山岳ロス・マチュコスは登坂距離7.2km・平均勾配8.7%となっているが、最大勾配は28%に達し、勾配20%超えの区間が度々登場する難易度が非常に高い上りだ。

 レーススタート直後から激しいアタック合戦が繰り広げられるなか、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)、ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター チーム)、デニフルの3人がメイン集団からリードを奪った。マグナス・コルトニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)が単独で追いついてきて4人になると、メイン集団は逃げを容認し沈静化した。だが、山岳賞ジャージを着用するダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が、集団から飛び出してブリッジを試みる。30秒ほどの差をつめて、先頭に合流し6人になると、メイン集団に対して最大9分程度のタイム差を築いた。

激坂への対応に不安を残す結果となったクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 しかし、2級山岳の前にアスタナとボーラ・ハンスグローエがメイン集団の先頭でペースアップを図った。逃げとのタイム差を5分まで縮めて、2級山岳に到達。2級山岳の頂上はヴィレッラが先頭で通過し、山岳ポイントを5点加算するも、濃霧で視界不良なダウンヒルで遅れてしまった。

 メイン集団はダウンヒルでバーレーン・メリダが牽引開始。濃霧にもかかわらず、激しくペースアップした。2級山岳の麓に下りきる頃には、逃げとのタイム差は2分45秒まで減少。また、このダウンヒルでラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が遅れてしまったが、ボーラ・ハンスグローエはアシスト総動員して、続く1級山岳の上りまでに何とかマイカをメイン集団に復帰させた。

28%の激坂に苦しんだフルーム

 登坂距離10km・平均勾配6%の1級山岳アリサス峠のメイン集団ではオリカ・スコットが動いた。アダム・イェーツ(イギリス)がエステバン・チャベス(コロンビア)を引き連れて集団から飛び出した。この動きに追従する選手が現れ、一時は8人で集団から抜け出すことに成功したが、チームスカイが牽引するメイン集団を振り切ることはできず、オリカ・スコットの攻撃は不発に終わった。

 山頂付近に差し掛かると、再びオリカ・スコットが動く。この日が24歳の誕生日だったジャック・ヘイグ(オーストラリア)をアタックさせた。逃げに乗っていたコルトニールセンと合流してダウンヒルをこなしていく。メイン集団はリスク回避のためか、フルームが先頭でダウンヒルを走る場面も見られた。

 先頭の逃げ集団は4人となり、超級山岳ロス・マチュコスの上りに入っていった。35秒差でヘイグが続き、そして1分30秒差でメイン集団がやってきた。勾配20%超えの激坂が登場すると、一旦勾配が落ち着いて、しばらくするとまた激坂区間が登場する緩急の差が大きい上りで、逃げ集団は分裂。デニフルが独走に持ち込んだ。

 メイン集団では序盤の激坂区間を利用して、ロペスがアタックを仕掛けると、集団は崩壊。アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がロペスに追いつくと、2人でライバルたちからリードを築いていく。

沿道のファンの声援を受けながら、先頭を猛追するアルベルト・コンタドール Photo : Yuzuru SUNADA

 フルームは上がったペースについていけずに、ニーバリのいる集団から遅れを喫してしまった。とはいえチームスカイはアシスト4人を残しており、これまでのステージで見せたようにマイペース走行を貫いているようにも見えた。

 先導するバイクが転倒するほど厳しい激坂区間で、今度はコンタドールがアタック。今大会、山岳で際立った強さを発揮していたロペスを置き去りにした。逃げいていたデマルキやアラフィリップを抜き去り、1分先を走るデニフルとの差を縮めていく。残り2km地点で、デニフルとのタイム差は35秒まで縮まっていた。しかしコンタドールは飛ばした疲れが出始めたのか、デニフルとのタイム差をなかなか30秒以内に縮めることができない。

 そのデニフルは、軽やかなペダリングで快調に走っていた。自分のペースを乱すことなく、最後までスピードが衰えることはなかった。迫りくるコンタドールを振り切って、ゴールの山頂に到達。嬉しいグランツール初勝利となった。

最後までスピードが衰えなかったシュテファン・デニフル Photo : Yuzuru SUNADA

 デニフルが所属するアクアブルースポーツは、第12ステージ開始前に、チームバスが放火される事件が起きて、レース続行が危ぶまれる事態に追い込まれていた。観光バスを借りたり、ポルトガルのコンチネンタルチームからチームバスを借りながらレースを続行していた。そのような状況にもかかわらず、初出場のグランツールでステージ優勝を飾ったことはまさに快挙であり、サポートしてくれた人々への恩返しにもなったことだろう。

 コンタドールは28秒遅れでフィニッシュ。ステージ優勝は逃したものの、誰よりも速く超級山岳を走りきったのはコンタドールだった。全盛期を彷彿とさせる走りを見せてくれた。

ニーバリはザカリンと協調しながら、フルームから42秒のタイムを奪うことに成功 Photo : Yuzuru SUNADA

 フルームはアシストに守られながら、一定のペースで走っていたものの、前を行くニーバリ集団との差を縮めることができなかった。ニーバリはイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)と協調し、先行していたロペスも吸収して、後方のフルームとのタイム差を開いていった。ボーナスタイム4秒が獲得できるステージ3位はロペスに譲ったものの、ニーバリは先頭から1分4秒遅れのステージ4位でフィニッシュした。

 フルームはにミケル・ニエベ(スペイン)に守られながら、1分46秒遅れのステージ14位でフィニッシュした。激坂への対応に苦しみ、大きくタイムを失なった。今ステージ以上に長い激坂区間が登場する第20ステージのアングリルに向けて不安を残す結果となった。フルームとニーバリの総合タイム差は1分16秒となり、まだまだ勝負の行方はわからなくなった。

 翌第18ステージは、スアンセスからサント・トリビオ・デ・リエバーナへの169kmの中級山岳ステージだ。最後は3級山岳の山頂フィニッシュとなっていて、ラスト2kmは平均勾配10%越えの区間が待っている。逃げ切りが決まりやすいステージといえそうだが、総合争いからも目が離せないだろう。

第17ステージ結果
1 シュテファン・デニフル(オーストラリア、アクアブルースポーツ) 4時間48分52秒
2 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +28秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分4秒
4 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分4秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分4秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +1分4秒
7 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +1分13秒
8 ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター チーム) +1分17秒
9 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分19秒
10 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分42秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 67時間44分3秒
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分16秒
3 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +2分13秒
4 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +2分25秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +3分34秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分39秒
7 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +6分33秒
8 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +6分40秒
9 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +6分45秒
10 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +10分10秒

ポイント賞(プントス)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 137 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 118 pts
3 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 108 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 54 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 47 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 29 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 5 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 12 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 17 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 202時間52分23秒
2 チーム スカイ +9分46秒
3 モビスター チーム +35分43秒

敢闘賞
ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター チーム)

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