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ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第14ステージ今大会最初の超級山岳決戦はマイカが独走逃げ切り勝利 総合首位はフルームが堅守

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージは、エシハからシエラ・デ・ラ・パンデラへの175kmで争われ、序盤から逃げ続けたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が独走に持ち込んでステージ優勝を飾った。総合争いは、トップ10圏内選手の間で順位変動があったものの、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)はマイヨロホを堅守した。

ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が逃げ集団から終盤独走で超級山岳ステージを制覇 Photo: Yuzuru SUNADA

10人の逃げが形成される

 ブエルタ第2週最大の山場となる、超級山岳2連戦の始まりだ。第14ステージは、今大会最初の超級山岳となるラ・パンデラの山頂フィニッシュステージだ。登坂距離12km、平均勾配7.3%、最大勾配13%となっている。後半の上りは平均10%ほどの勾配が続き、残り1kmからわずかに下って、また上り返す地形となっている。

 この日の逃げは10人。スポンサー撤退に伴い、クラウドファンディングによる資金調達を開始したキャノンデール・ドラパックは2人の選手を送り込んだ。山岳賞ジャージを着用するダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア)もポイント加算を目指して、しっかり逃げに乗った。他には、ステージ優勝を狙うマイカとアシストのパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、元世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)、バルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)らが含まれている。

 中盤の3級山岳はヴィレッラが先頭通過を果たし、メイン集団とは最大7分程度の差を築いていった。メイン集団はチームスカイではなく、総合で逆転を狙うトレック・セガフレード、バーレーン・メリダ、アスタナが協力しながら引いていた。終盤の2級山岳に向け、徐々に逃げとのタイム差は減少していき、残り40kmを切ったあたりでカチューシャ・アルペシンが牽引を開始した。

山岳ポイントを巡る攻防

 先頭ではコンラッドがアタック。逃げ集団に揺さぶりをかけた。山岳ポイントを確保したいキャノンデール勢が、逃げ集団を率いて追走し、コンラッドを吸収した。コンラッドがカウンターアタックの動きを見せると、ヴィレッラ自らチェックして抑える。ペースの上がった逃げ集団はヴィレッラ、コンラッド、マイカ、コスタ、デクレルクの5人に絞り込まれていた。そのまま山頂へと辿りつき、2級山岳はヴィレッラが無事に先頭通過を果たす。

終盤苦しんだファビオ・アル。総合順位は一つ上げたもののタイム差は広がった Photo: Yuzuru SUNADA

 ダウンヒルを経て、超級山岳ラ・パンデラの手前の市街地には、コースプロフィールに明記されていない最大勾配20%を越えるような激坂区間が登場。ここでヴィレッラが脱落してしまった。

 一方、メイン集団はカチューシャが牽引を続けたまま2級山岳の上りに入った。かなりハイペースで上っていったため、集団は人数を大きく減らし、逃げとのタイム差も2分まで縮めてきた。カチューシャの牽引が終わると、チーム スカイが集団コントロールを開始。大きな動きはないまま、2級山岳の山頂を通過し、いよいよ超級山岳を迎えた。

マイカが独走に持ち込んで逃げ切る

 1分40秒のリードをもって、超級山岳ラ・パンデラへ突入した逃げの4人。逃げ集団を牽引していたコンラッドが力尽きると、残り10km地点でマイカがアタックを仕掛けた。コスタとデクレルクを置き去りにして、独走に持ち込んだ。メイン集団とのタイム差は1分30秒前後を保ちながら、山頂を目指す。

 メイン集団は、超級山岳の上りに入るとアスタナが牽引を開始。ペリョ・ビルバオ(スペイン)が先頭に立ってペースを上げると、集団は一気に人数を減らしていった。ところが総合7位のファビオ・アル(イタリア)が集団後方で苦しんでおり、総合10位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)のための動きだったのか、アスタナのペースアップはちぐはぐ感が否めなかった。ビルバオが仕事を終えると、再びスカイがコントロール。ワウト・プールス(オランダ)がペースメイクしながら、勝負の時に備えていた。

アタックで先行したミゲルアンヘル・ロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 残り5km付近で、ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール)のアタックを皮切りに、総合3位のエスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)、総合9位のアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが集団から飛び出した。

 有力選手の動きにもかかわらず、フルームは反応を見せなかった。マイヨロホグループは、引き続きプールスがペース走行で追走。ところが、ハイペースに総合3位のダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、総合8位のマイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)とファビオ・アルらが脱落してしまった。

 プールスが仕事を終えると、フルームは満を持してペースアップ。先行するニーバリとコンタドールたちに一気に追いついた。フルームの動きに追従できたのは、ロペス、チャベス、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)のみ。集団は7人まで絞り込まれた。

独走を続けるマイカ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り2km地点付近で、ロペスが猛烈なアタックを仕掛けると、わずかな下り区間も利用して、あっという間に数十m先行した。メイン集団は、牽制し合う状況になり、なかなかペースが上がらない。

 そのため、逃げ続けているマイカとのタイム差も縮まらなくなっていた。迫りくるロペスを振り切って、マイカは独走で山頂に到達。見事な逃げ切り勝利を飾った。

 マイカから27秒遅れで、ロペスがフィニッシュラインに飛び込んできた。その4秒後にニーバリ、フルーム、ザカリン、ケルデルマンと続き、フィニッシュ前の上りでコンタドールは6秒遅れてしまった。チャベス、アル、ウッズらはマイヨロホ集団から遅れてしまったこともあり、総合トップ10圏内の順位が大きくシャッフルされた。

ニーバリを先頭にゴールする3位グループ。フルームはタイム差なしに抑えたが、コンタドールは若干遅れた Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージ優勝のマイカは、今季からボーラ・ハンスグローエに移籍。総合エースとして出場したツール・ド・フランスでは落車の影響でリタイア。同じくエースとして出場した今大会では、序盤に胃腸のトラブルで大崩れしてしまい、総合上位が絶望的となっていた。ステージ優勝狙いに切り替えて、逃げに乗った第8ステージでは再三のアタックを仕掛けたもののジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・フロアーズ)に敗れ、ステージ優勝ならず。そして、この日は一撃のアタックでライバルを置き去りにして、念願のステージ優勝を飾ったのだ。山岳ポイントも18点加えて、山岳賞ランキングで2位に浮上している。

 フルームは前日の落車の影響も不安視されており、一時はライバルたちの先行を許したものの、最後まで落ち着いたレース運びを見せライバルたちとタイム差なしでフィニッシュすることができた。ステージ3位に入ったニーバリにはボーナスタイム分の4秒差を縮められたものの、盤石のレースだったといえよう。

 翌第15ステージは、クイーンステージ級の超難関山岳ステージとなっている。わずか129.4kmの区間に1級山岳が2つ、最後はシエラネバダ山脈の超級山岳アルト・オヤ・デ・ラ・モーラの山頂にフィニッシュする。ゴール地点の標高は、今大会最高の2510mだ。第14ステージ以上に激しい山岳バトルが繰り広げられることになるだろう。

第14ステージ結果
1 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 4時間42分10秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +27秒
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +31秒
4 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +31秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +31秒
6 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +31秒
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +37秒
8 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +46秒
9 エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +57秒
10 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分3秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 58時間30分47秒
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +55秒
3 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +2分17秒
4 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +2分25秒
5 エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +2分39秒
6 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分9秒
7 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +3分11秒
8 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +3分19秒
9 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +3分23秒
10 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分48秒

ポイント賞(プントス)
1 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 103 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 98 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 79 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 49 pts
2 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 28 pts
3 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター チーム) 27 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 7 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 17 pts
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 22 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 175時間4分49秒
2 チーム スカイ +9分19秒
3 モビスター チーム +17分31秒

敢闘賞
ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)

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