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サイクリスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第11ステージ猛烈な風吹く山岳でアタックを決めたロペスが勝利 総合順位は大幅シャッフル

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージが8月30日、ロルカからオブセルヴァトリオ・アストロノミコ・デ・カラール・アルト(カラール天文台)までの187.5kmで争われ、フィニッシュ直前でアタックを決めたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)がステージ優勝。グランツール初勝利を挙げた。総合争いでは、ステージ2位とまとめたクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が首位をキープしたが、その他上位陣が大幅シャッフル。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が総合2位に浮上している。

終盤のアタックでブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ優勝を決めたミゲルアンヘル・ロペス Photo: Yuzuru SUNADA

気温15℃を切る寒さとの戦い

 中級山岳ステージながら、終盤に2カ所の1級山岳を上るハードな1日。それに追い打ちをかけるように、冷たい雨が降り続いた。ここまで、気温30℃を超える暑さの中でレースが続いてきたが、この天候で15度を切る中でレースがスタート。選手たちが通過する2つの山頂はともに7℃。寒さとの戦いにもなった。

逃げでレースを進めたロマン・バルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 レース開始からしばらくは出入りが激しく、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)やロマン・バルデ(フランス、アージェーデューゼール・ラモンディアル)といった実力者も果敢に飛び出したが、逃げを決めるまでには至らない。50km地点を前に、ようやく14人が先行を開始。繰り返しのアタックが実ったバルデや、第7ステージを制したマテイ・モホリッチ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)らが入った。

 メイン集団は逃げとの差を4分前後で推移させたが、フィニッシュまで60kmを切ったあたりから、オリカ・スコットが主導権を握るとそのままペースアップ。タイム差が一気に縮まり、射程圏内にとらえた。

1級山岳で逃げに合流したダルウィン・アタプマ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り40kmを迎えようかというタイミングで、オリカ・スコットはサイモン・イェーツ(イギリス)を発射。すでに総合で遅れていることもあり、他チームはこの動きを容認。メイン集団との差を嫌ってペースを上げた逃げグループは、バルデら4人に絞られていたが、サイモン・イェーツも労せず合流。さらに、メイン集団から飛び出したダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)も加わる。一時1分を割った集団とのタイム差は、残り30km地点に設定された1つ目の山頂で1分30秒となった。

 その後の下りでは、集団が落車リスクを回避すべくペースを落としたこともあり、逃げグループとの差は2分を超える。レースをリードする選手たちの間でもダウンヒルスキルに差が現れ、下り終える頃にはバルデ、サイモン・イェーツ、アタプマの3人に先頭は絞られた。

総合上位陣が勝負どころで次々脱落

 迎えるフィニッシュへの上りは、距離にして15.5km。上りはじめとフィニッシュ直前が勾配10%前後の急斜面となっており、その間の緩斜面と合わせた力の配分がポイントになる。

 逃げグループでは、上りに入って早々にサイモン・イェーツが遅れ、バルデとアタプマが先を急ぐ。

勝負どころで遅れを喫したエステバン・チャベス Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭2人とのタイム差が徐々に縮まりつつあったメイン集団に異変が起こったのは、残り約12kmとなったタイミング。アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)のペースアップを境に活性化すると、チャベスやロッシュのほか、総合7位でスタートしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム)、同9位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)らが遅れ始める。直前にパンクトラブルで下がっていたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)も後方から追い上げる形になった。

 コンタドールに続き、ニーバリがカウンターアタック。これに続いたメイン集団は大幅に人数が絞られた。残り8kmを切ったところでバルデとアタプマは吸収され、レースは振り出しへと戻った。

 山頂が近づくにつれ、風が強くなるコース周囲。これを利用して、ラスト2kmでアタックしたのはニーバリ。集団後方に位置していたフルームは、強風に煽られながらもロペスとともに約500m進んだ先でニーバリに合流。同様に追っていたコンタドールはペースを落とし、その差が開いていった。

 そして決定的な場面は、フィニッシュまで残り1.4km地点。ロペスが前へ出てスピードアップ。総合タイム差に開きがあることから、フルームとニーバリはロペスの先行を容認。後方から追いついたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)とともにフィニッシュへと向かった。

 逃げ切りを許されたロペスは、最後までペダリングを緩めることなくフィニッシュへ。「若手の登竜門」ツール・ド・ラヴニールの2014年覇者で、将来を嘱望されるクライマーがうれしいグランツール初勝利。この日精彩を欠いたチームリーダー、アルに代わって結果を残してみせた。

2位争いのフィニッシュ。クリストファー・フルーム(左)が制し、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(右)、ウィルコ・ケルデルマン(中央)と続いた Photo: Yuzuru SUNADA

 2位争いはフルームが制し、6秒のボーナスタイムを獲得。ニーバリが3位に続き、同じく4秒ボーナスを得た。ケルデルマンが4位、コンタドールが6位、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)が7位となった一方、アルがトップから1分32秒差の15位、チャベスが2分5秒差の17位、ロッシュに至っては4分17秒差の28位と大失速。

 これらの結果から、フルームのマイヨロホは変わらず、ニーバリが総合タイム差1分19秒差の2位に浮上。チャベスは順位こそ1つ下げただけだが、総合タイム差はスタート時の36秒から2分33秒に広がった。そのほか、ステージ10位で終えたデラクルスが総合4位、このステージで健闘したケルデルマンが5位、ザカリンが6位にジャンプアップしている。コンタドールやロペスも総合順位を上げたが、ロッシュが総合11位まで落としている。

 31日に行われる第12ステージは、モトリルからアンテケラ.ロス・ドルメネスまでの160.1km。後半に1級と2級の山岳がそれぞれ1つずつ控える中級山岳ステージとなっている。

第11ステージ結果
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 5時間5分9秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +14秒
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +14秒
4 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +14秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデューゼール・ラモンディアル) +31秒
6 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +31秒
7 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +31秒
8 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +31秒
9 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) +1分2秒
10 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分14秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 45時間18分1秒
2 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分19秒
3 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +2分33秒
4 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +2分36秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +2分37秒
6 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +2分38秒
7 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分57秒
8 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +3分1秒
9 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +3分55秒
10 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分11秒

ポイント賞(プントス)
1 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 78 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 75 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 53 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 38 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 21 pts
3 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 18 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 5 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) 21 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 26 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 135時間24分5秒
2 アスタナ プロチーム +1分49秒
3 チーム スカイ +7分40秒

敢闘賞
ロマン・バルデ(フランス、アージェーデューゼール・ラモンディアル)

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