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世界での日本の位置が明確にコロンビアの独壇場で閉幕、日本U23は完全敗北 ツール・ド・ラヴニール第9ステージ

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 U23(19〜22歳)日本チームが出場した国別対抗のU23版ツール・ド・フランス「ツール・ド・ラヴニール」は8月27日に最終日を迎え、パヴェル・シバコフ(ロシア)が山岳ステージの山頂ゴールを制し、マイヨジョーヌのエガン・ベルナル(コロンビア)がリードを守りきって総合優勝を飾った。日本チームは総合20位以内を目指した雨澤毅明の総合39位が最高位となり、目標を果たすことができなかった。(U23ジャパンナショナルチーム)

マドレーヌ峠に向かう日本U23を含む集団 Photo: CyclismeJapon

日本は30kmでメイン集団から脱落

 超級のマドレーヌ峠を越え、最後は頂上ゴールとなる最終ステージ。マイヨジョーヌ着用のエガン・ベルナル(コロンビア)による総合優勝はほぼ決まったかに見えるが、総合2位のランブレヒト(ベルギー)、3位のエグ(デンマーク)とのタイム差はそれぞれ1分9秒と1分12秒。日本U23チームの焦点は、総合25位につける雨澤毅明の総合20位以内へのジャンプアップ。疲労の限界に達し始めた日本U23選手たちだが、最後の力を振り絞って目標達成を目指した。

選手のフレームに貼る距離情報を作成する浅田監督 Photo: CyclismeJapon
決戦前に精神統一をする雨澤(左)と岡 Photo: CyclismeJapon

 最後のステージ優勝を狙う選手らの動きがスタート直後から非常に活発。スタートから5km地点まで、下り気味の平坦路における平均時速は実に65km/hに上った。レースが大きく動いたのは約30km過ぎから始まるこの日最大の山場であるマドレーヌ峠(24.3km/6.2%)麓から。ニールソン・パウレス(アメリカ)を含む9人の逃げが発生し、それに釣られ集団のペースは超高速に。結果、メイン集団からは日本U23選手全員を含む60人ほどの選手が千切れることに。日本にとっての最終ステージは、先頭集団とのタイム差をできるだけ抑える走りを余儀なくされることになった。

マドレーヌ峠で限界に追い込まれる石上 Photo: CyclismeJapon
マドレーヌ峠で雨澤の遅れを最小限にすべく集団牽引をする日本U23 Photo: CyclismeJapon

 レース開始後1時間30分後。日本U23全員を含む後続集団から7分ほど前を進む先頭集団では、めまぐるしいアタック合戦が繰り広げられ、ロシアのシバコフやコロンビアの2選手を含む10人弱の集団がマドレーヌ峠を先頭通過。レースは、その逃げ集団とのタイム差をコロンビアがコントロールしながら進む展開になった。

コロンビアは6度目の総合優勝

 マドレーヌ峠頂上を先頭から10分以上の差で通過した日本U23を含む後続集団には、牽引力のある2016年U23世界チャンピオンのクリストファー・ハルフォルセン(ノルウェー)らも含まれていたが、20km弱続く峠の下りでテクニックの違いを見せつけられ、日本選手らは置いていかれた。結果として、自力での後続集団牽引を強いられる日本U23。

ステージ優勝を果たし面目躍如のシバコフ Photo: Tour de l'Avenir

 先頭では、期待されながらも総合優勝争いに加われなかったシバコフがゴールまで10km付近で単独アタック。面目躍如の逃げ切りステージ優勝を決め、山岳賞ジャージも獲得。マイヨジョーヌのベルナルも計画通りのタイム差で無事ゴールをし、見事な総合優勝を飾った。コロンビア人がツール・ド・ラヴニールで総合優勝するのはこれで6回目。

総合ポディウム Photo: Tour de l'Avenir
ゴール直後の選手たち Photo: CyclismeJapon

 日本U23は雨澤の総合成績へのダメージを最小限に抑えるべく後続集団を活性化させるも、結局先頭から26分33秒もの大差を付けられての大敗。最終ステージに限っては勝負に絡む光明も見いだせずに、チームの最大目標であった雨澤による総合20位の目標も達成できず、大きな宿題を突きつけられる結果に。しかしながら、2016年度大会では1人しかいなかった完走者が今回は4人に。今年は勝負には絡めなかったものの、レース展開に参加できる場面も時々見られ始めたため、この経験を翌年以降に繋げることが日本の進化にとって重要となる。

■第9ステージ結果
1 パヴェル・シバコフ(ロシア)3時間3分27秒
2 ニールソン・パウレス(アメリカ)+2分31秒
3 ディミトリ・ストラコフ(ロシア)+3分1秒
88 岡本隼(日本大学/愛三工業レーシング)+26分33秒
100 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+26分33秒
103 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)+26分33秒
104 石上優大(EQADS/Amical Velo Club Aix en Provence) +26分33秒

■個人総合
1 エガン・ベルナル(コロンビア)29時間56分33秒
2 ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)+1分9秒
3 ニクラス・エグ(デンマーク)+1分12秒
39 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)+40分33秒
77 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+1時間8分48秒
83 石上優大(EQADS/Amical Velo Club Aix en Provence) +1時間13分21秒
99 岡本隼(日本大学/愛三工業レーシング)+1時間22分33秒

■ポイント賞
クリストファー・ハルフォルセン(ノルウェー)

■山岳賞
パヴェル・シバコフ(ロシア)

■チーム総合
オーストラリア

■総合敢闘賞
パヴェル・シバコフ(ロシア)

第9ステージレース中撮影のビデオ

■マドレーヌ峠を越える日本U23を含む集団

■メインから遅れた集団のペースを上げる日本U23

選手・監督のコメント

■U23ジャパンナショナルチーム浅田顕監督

レース後に雨澤と佇む浅田監督 Photo: CyclismeJapon

 「日本チームは雨澤の総合成績アップを目標に臨んだが、第8ステージの疲労から体調を落としつつあった雨澤は序盤からのペースアップに苦しめられ、他のチームメンバーと共に完走目標の集団でゴールする結果となった。今日の結果で雨澤の個人総合成績は昨日の25位から39位と大きく後退し、目標成績を残すことが出来なかった。厳しい全9ステージを終えて、昨年からの向上はあるものの、U23世界最高峰のステージレースで残した成績が、同カテゴリーにて世界での日本の評価であり、日本レベルの現状そのものであることに正面から向き合い、引き続き強化活動を続けて行きたい」

■エガン・ベルナル (コロンビア):総合優勝&第7、8ステージ優勝。来季はチームスカイへ移籍

スタートの5分前までアップをするマイヨジョーヌのエガン・ベルナル Photo: CyclismeJapon

 「過去のツール・ド・ラヴニールの勝者を見てると偉大な選手ばかりで、この中に自分の名前が入るなんて信じられないくらい光栄だ。来季はチームスカイへ移籍することになったが、今からクリストファー・フルームの近くで走れることを楽しみにしているよ。恐らく一年目はジロ・デ・イタリアでの新人賞ジャージ獲得を目標に走ることになるよ」

■ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー):総合2位(+1分9秒差)

 「予想通りエガン・ベルナルは最強だったよ。ステージスタート時は、なんか脚が重くて心配していたんだ。正直なところ、総合2位を守ることさえも危ういと思っていたね。でも走るごとに調子が上がってきて、最後の上りではベルナルは2、3人のチームメイトを揃えていたので、アタックを仕掛けることはできなかったね。ベルナルは何度もスピードを上げ、集団を絞りにかかったんだ。自分としてはその揺さぶりに生き残ることができて満足。僕らの世代にとっての試金石的な大会で、ポディウムを獲得できたのは非常に満足だよ」

■雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン):第9ステージ103位/総合39位(+40分33秒)

 「このツール・ド・ラヴニールがU23世界最高峰レースだということを再認識、痛感しましたね。ここで活躍した選手がワールドツアーでそのまま活躍できるんだということが身に染みてわかった戦いでした。自分としては今の力を思う存分出し切ったんですが、思っていたよりは走れなかったというのが率直な感想。これが自分の実力なんだな、ということがわかった。また世界の壁に阻まれた感じです。完敗です。もうちょっとなんかできたんじゃないの?と自問もしています。悔しさで一杯です」

ゴール直後にうなだれる雨澤 Photo: CyclismeJapon

 「山岳3連戦の初日ではエガン・ベルナルからのタイム差も2分37秒。叩きのめされたほどではなく、戦えるぞ!と思った。しかしその後の山岳2ステージでは完膚無きまでにやられた。力も経験も体調管理も気持ちも全部の全部が足りていない。あまりにも世界との差があるということを痛感したので、もっとしっかり考えてやっていかないと行けない。コテンパンにやられたレース直後なのですぐに先のことは考えられないんですが、今後どうしていくか?は早急に考えなければいけませんね。シンプルにいえばUCIワールドツアーやプロコンチネンタルチームとの契約が取れないのであれば、選手を続けていくつもりはない。今年がU23の最終年だったので、プロ契約をわかりやすく獲得できるチャンスであったラヴニールにはもう出れない」

 「よって、今後プロコンチネンタルチーム以上に上がるにはUCIの1クラス以上での勝利を地道に集めていくしかないのは重々承知しています。それを目指すには日本のチームにいては終わりですね。絶対に海外のチームに行かないと始まらない。トレーニングや人生プランをどう構築していけばよいか?全てを見直していかなければならない時です。今回、明日からでもワールドツアーで活躍できそうな選手らと走ってみた感触では、今の自分の実力はプロコンチネンタルチームからギリギリ声が掛かるか掛からないかの境界線。もっともっともっと強くならないと何も始まらないです。ここで成績を出した選手が翌年UCIワールドツアーで戦える、っていう話に心から納得しました。悔しい。もう悔しさしかない」

■岡篤志(宇都宮ブリッツェン):第9ステージ100位/総合77位(+1時間8分48秒)

 「はじめの目標は前半6ステージで見せ場を作り、ステージで一桁台の結果を出すことでしたが、最高で16位。非常に悔いが残る結果でした。最後の山岳3ステージは雨澤選手が本当に頑張ってくれていて、自分の力不足でアシストが思う存分できない場面があったのが反省点です。U23は今年が最後で、ラヴニールで走ることはもうできませんが、今シーズンの残りレースに焦点を合わせてコンディションを整えて行きたい」

■石上優大(EQADS/Amical Velo Club Aix en Provence):第9ステージ104位/総合83位(+1時間13分21秒)

 「U23の1年目だった昨年に引き続き、今年も出して頂きましたが、まだまだ世界トップのU23選手との差は大きく、レースでできることが非常に少なかった。来年は雨澤さんもU23を卒業するので、これからは自分がU23の先頭に立って総合を狙えるリーダーにならないといけないを思っています」

■岡本隼(日本大学/愛三工業レーシング):第9ステージ88位/総合99位(+1時間22分33秒)

 「この先選手を続けていくにあたっては、もっと力がないと話にならないことを痛感した。ここに来なければいつまでも気が付かなかったかもしれません。あと単純に僕は国際レースの経験が少ないので、海外選手とやり合う集団内での位置取りや、ボトル運びのスムーズさ、峠の後の下りスキルなどで大きく遅れを取っていることがわかった。それこそチームメイトを不安がらせてしまうほどのレベルでもあったので、要改善です」

■山本大喜(鹿屋体育大学):第8ステージでリタイア

 「はじめの6ステージは逃げに乗ることを考えて走りました。ちょっとは逃げには乗れましたが、勝負を賭けた逃げには乗ることができなかった。後半の山岳3ステージも雨澤さんのアシストができればよかったんですが、もう自分のコンディション的には完走できるかどうか?の瀬戸際まで追い込まれていたので、力不足を痛感しました。来年はこのレースでエースになれるように力を付けていきたいです」

■小野寺玲(宇都宮ブリッツェン):第4ステージで落車リタイア

 「リタイアする形でU23最後のラヴニールを終えてしまったので、心残りしかない。やはり技術が足りなかったのが落車の根本的な原因だと思うし、出場した昨年からの強化が足りなかったのだなと思う。途中でレースを去ってしまい、チームのみんなに協力できずに申し訳なかったですが、僕には次のラヴニールはもうないので、新たな目標に向かって前向きに頑張りたいと思います」

U23ジャパンナショナルチーム帯同スタッフ総括コメント

■チーフマッサー 穴田悠吾

穴田悠吾チーフマッサー Photo: CyclismeJapon

 「U23レースの世界最高峰だけあって、各国チームともに非常に経験豊富で優秀なマッサー、補給部隊をそろえて来ていますね。2016年の出場の際には準備と人数の不足もあり、レース中の補給スタッフのやりくりが非常に困った。例えばレース中には正式に決められた補給地点以外にも、自国選手の体調や補給頻度の希望によって、各国独自の補給地点を設けるんですが、昨年の日本はそれがままならなかった。しかし今年は昨年の経験を踏まえ、補給地点へのスタッフ配置プランニングがより緻密に行えるようになりました。レースの交通規制をうまく掻い潜り、補給スタッフをレース中にクルマで移動させ、炎天下の山岳ステージのような補給が何度も必要な場面では、多いときは1人で3カ所も補給に立たせることができた。これは昨年の経験がなければ間違いなくできないこと。よって補給に関しては強豪国に劣らない体制で戦えました」

 「選手はみな“戦士”なので、精神的に強い男達かと思われますが、ラヴニールのようなU23世界最高峰国際大会では、精神的な緊張感を解してあげる時間が非常に重要。マッサーとしては身体をほぐしてあげるのは当然として、心を和げてあげることも重要視しています。特にU23世代の選手はメンタルの調子も日によってもバラつきがあるし、さらに海外を舞台に戦っている。よって私は彼らの頼れる兄貴であり、ときには父親のような精神的な支柱となるように心掛けています。選手が望むならば、私が得意な?色恋話にだってじゃんじゃん乗りますよ(笑)実際、その手の話が選手のリラックスに繋がることが多いんです。あと日本のロードレース選手というのは、キャリアプランがまだまだ確立されていないため、今後どのような人生プランを立てて良いのかが明確でない選手が多い。学生さんもいるU23の選手は特にそうなので、プロになるにはどうしたら良いのか?将来自転車を引退したらどうするのか?などなど、マッサーとは異なる『大人のおじさん』視点でアドバイスをしてあげることも多いですね」

 「あと冗談のように見えて真面目な大事な話です。男子選手活躍の原動力は“モテたい”欲求が根底に有ると思うんですね。カッコよくなりたい、素敵な女性を惹き付けたい、強い俺を見てくれ!という様な男子の根底的な部分。その本能を若い子にはもっと開放して欲しい。周りの空気を読むおとなしい選手が多いので、特に国際大会では『野獣』のような欧州選手に完全に勢いで負けている。レース中のみでもいいので、もっと本能を開放して戦いに臨んで欲しい。国際大会は野獣による最高にモテる男になるための殺し合いなんです」

■メカニック 市川貴大

市川貴大メカニック Photo: CyclismeJapon

 「ラヴニールの会場で他国チームを見て思ったことは、単純にこのレースの重要さを皆が十分理解していることですね。日本チームもようやくそれを心から理解して挑めたのが今年のツール・ド・ラヴニールだと思いました。機材に関してはチームによってグレードのばらつきがあるし、ナショナルチームということで選手の本所属チームによっては同じ国の中でも違う機材なのがこのレースならでは。セカンドグレードのコンポを装着している選手も多くいた。パワーメーターの使用率は年々上がり、ようやく半分弱が装着している段階になったと思います。しかしレース用とトレーニング用で違うバイクの可能性もあるので実際の装着率はまだ分かりませんが、もう世界レベルではパワーメーター装着率がそろそろ過半数を超えるのではないかと思います。あとこのレースに限らず、欧州の国際レベルのレースで感じるのは、レースの過激さ故に機材の破損が“非常に”多い。よって修理が必要になること前提で海外でも入手が容易なパーツを準備して行くことが必須だと思います」

■チームドクター 内田彰子

内田彰子チームドクター Photo: CyclismeJapon

 「海外レースでの医療体制・技術レベルは、レースが行われる国や地域、さらに世界選手権、五輪、UCIレース、アマチュアレースなど、レースのレベルによって全く異なるため、大会主催側が用意した医療施設のことを全て信用すると、怪我を負った自国の財産である選手を守れないこともある。例えば、米国においてはどのような言語の患者にも対応できるように、オンラインのリアルタイム通訳を用意してくれる様な例もあれば、救急搬送だというのに、待合室で数時間も待たされる例もある。しかし現時点での日本はそれらの違いを瞬時に見極め、対応できるレース帯同経験が豊富なドクターが絶対的に不足しているように感じました。この独特な競技に特化した技術と経験を持つドクターを、次世代を見据えて発掘・育成していくことが日本の急務だと本レースを通じて感じましたね」

■チーフメカニック 高橋優平

高橋優平チーフメカ Photo: CyclismeJapon

 「日本の機材が他国に比べて遅れているということは全くなく、むしろ恵まれている方だと思いますね。ラヴニールのレース展開を見ていても分かる通り、勝負は多少の機材グレードの違いでは決まっていません。機材が確実に日本より劣っているベラルーシが勝利を収めたのが良い例ですね。例えば今回の雨澤も山岳3ステージは敢えてクリンチャーホイールをチョイスしました。長い下りで安定したブレーキング性能を得ることが理由です。レース=チューブラーとは限りません。ヨーロッパのレース環境はとにかく過酷で、路面状況の悪さ、落車の頻度、バイク各部への負担が日本のそれとは比べ物にならない。特にタイヤに関しては日本の路面を想定したデリケートなものを選ぶと、トラブル発生の確率が大幅に高まってしまいます。よって欧州と日本のレースではコンフィグレーションを変えて臨むべきです。例えば多少の重量を犠牲にして厚いチューブを選ぶことや、ホイールや機材に必要以上の軽量化を望まないなど。この点は特に今回のラヴニールで強烈に感じたことです」

ラヴニール総合優勝からの移籍は「ご褒美」

■アンドローニ・ジョカットリ代表 ジャンニ・サヴィオ(イタリア)

 チーム監督&代表業を30年以上務め、イタリアの名将として多くの有名選手を輩出してきたジャンニ・サヴィオ監督。酸いも甘いも全てを味わい、自転車ロードレース界の表も裏も知り尽くす大御所である。サヴィオ氏は今回ステージで2勝し、文句無しの総合優勝を果たしたエガン・ベルナル(コロンビア)が所属するプロコンチネンタルチーム「アンドローニ・ジョカトーリ」のチーム代表を、1996年から現在に至るまで務めている。そんなサヴィオ監督には「今回総合優勝したエガン・ベルナルが、今日のポディウムでチーム スカイへの移籍を発表しましたが、サヴィオさんは寂しくないんですか?」と聞いてみました。

ジャンニ・サヴィオ Photo: CyclismeJapon

 「そうだ、エガン・ベルナルはチームスカイに移籍することが決まったよ。ラヴニールでの好成績が決定的な材料になったね。最終的な契約書調印は9月初めぐらいに交わすことになるが、移籍は間違いない。正式調印がなされたらチームから正式リリースを出すだろう。うちのチームの戦力が落ちるからといって、優秀な選手のキャリアを邪魔したくない。それに『ツール・ド・ラヴニール』で勝ったんだから、それに見合うチームへの移籍はご褒美としては当然。結果、文句なしの世界最高峰ビッグチームへの移籍が決定し、喜ばしいことこの上ない。まだ若い選手なので、チームスカイにはエガンの肉体的な成長をしっかりと待ちながら、焦らずに大事に扱って欲しいとお願いしたよ。エガンの輝かしい未来を祝福したい」

■クイックステップフロアーズのスカウト担当 ホセアン・フェルナンデス・マチン

 世界最高峰のU23レースだけあって、レース会場には毎年多くのチームスカウト担当やUCI選手代理人が集い、有望な選手の“品定め”をする。その代表格であるUCIワールドチーム「クイックステップフロアーズ」のスカウト担当、ホセアン・フェルナンデス・マチンに「このツール・ド・ラヴニール会場では具体的に何をしているの?」「日本人選手のことはどう見ていますか?」と聞いてみた。

ホセアン・フェルナンデス・マチン Photo: CyclismeJapon

 「大好きな自転車レース会場で、自転車選手のボトルをもらいに来たんだよ。あとサインもね(笑)まぁサインと言ってもチームとの契約書のサインの方かな。ラヴニールに来るのは、やはりここに現時点で世界最高のU23選手が集まるからだよ。単純な理由だ。シーズン的にも調子が上がっていない選手はまずいないし、チームにとっても来季の選手補充に向けてちょうどいい時期なんだ。選手たちはここで活躍すればプロチームに上がれると思っているし、我々もU23世界最高峰の選手たちが我々にアピールするために人生で最高の走りをしてくれると期待している。選手にとっても、いい選手が欲しいチームにとっても非常に有用なレースだ」

 「正直なところ、日本人選手のことはよく知らないんだ。でもUCIワールドチームで走るには当然ながら実力と結果が必要。今のところそれに見合う日本人選手がいるかは良くわからない。でも仮に私が実力と結果が伴った日本人選手を見定めるとしたら、言語やコミュニケーション能力を注意して見るね。欧州の人間から見ると、日本人とはどうやってコミュニケーションしていいのかわからない部分があるんだ。その選手が欧州のチームに入ったらうまくやれるのか?監督や選手とコミュニケーションできるのか?我々からそういう不安を取り除いてくれると、日本人選手による海外チーム移籍へのチャンスが増えてくると思うよ」

■第5ステージで優勝したアルヴァロ・ホセ・ホデグ・チャグィ(コロンビア)

 8月1日からクイックステップフロアーズに研修生として入団し、今回のラヴニールでは第5ステージでスプリントを制し優勝。今後プロとして頭角を現すであろうコロンビアのホープにはこんなことを聞いてみた「なぜ“山のコロンビア”なのに、フェルナンド・ガビリアや君みたいなスプリンターが輩出されてくるの?」

アルヴァロ・ホセ・ホデグ・チャグィ(コロンビア) Photo: CyclismeJapon

 「コロンビアというと高地ばかりのイメージが強いかと思うけど、僕が生まれたのはモンテリアという海岸沿いの街。とはいえ住んでいるのは標高1400mぐらいのメデジンなので、多少は高地順応しているかな。でも標高2600mの首都ボゴタの人に比べると高地順応度は低いと思う。ちなみに高地で強化される心肺機能はスプリンターにとっても当然有利なんだよ。だからコロンビアからスプリンターが輩出されるのもそんなに珍しいことではないと思う。そもそも自転車が盛んな国だから、クライマーだけじゃなく、いわゆるパンチャーやスプリンタータイプの選手も多くいるよ」

 「クイックステップフロアーズに研修生として入ったと言っても、まだチームには合流していないんだ。あとね、あくまでも2017年末までは“研修生”なんだ。だから2018年の“正式契約”が決まったわけじゃない。つまり12月末までに“やっぱり君は使えない”ってチームに言われたら来年はクイックステップフロアーズには入れないってことだ。研修生の半分ぐらいは正式契約までたどり着けない世界なので覚悟はしているけど、今回のラヴニールステージ優勝に加え、年末までにさらにアピールできるような結果を残して正式契約を勝ち取りたいね」

 「日本人選手に対して言えることは…正直なところ、日本チームのことはよく知らないんだけど…僕らと同じく欧州への適応は大変だろうね。コロンビア人は一般的に“海外では”シャイだし、英語を話す人も少ないので、欧州では苦労してるほうかな。でもキンタナやウランが活躍している影響で、欧州での成功を夢見て英語を学んでいる選手も多くいるよ」

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