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サイクリスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第8ステージアラフィリップがグランツール初勝利 激坂で攻勢に出たフルームがリード拡大

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージは、エリンからソレット・デ・カティへの199.5kmで争われ、逃げ切った3人によるスプリント勝負を制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が自身初のグランツール勝利を飾った。マイヨロホを着るクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は、終盤の激坂区間でアタックを仕掛け、総合2位以下とのリードを拡大した。

グランツール初勝利を飾ったジュリアン・アラフィリップ Photo : Yuzuru SUNADA

21人の逃げが決まる

 カスティーリャ・ラ・マンチャ州の東南端の街エリンを出発し、ムルシア州を経由しながら、バレンシア州のソレット・デ・カティへとフィニッシュする第8ステージは、内陸部を進んでいく。3級山岳が2つ、そして今ステージの山場となるラスト3km地点にそびえ立つ1級山岳ソレット・デ・カティは登坂距離5km・平均勾配9%・最大勾配18%となっているが、序盤の緩斜面を除くと常時勾配が10%を超える非常に強力な上りとなっている。1級山岳を越えると、フィニッシュ地点まで3kmと短いながらも急勾配のダウンヒルが待つコースレイアウトになっている。

 逃げ切りが狙えるコースであるため、この日も21人と大人数の逃げが決まった。最も総合成績が良いのは、3分2秒遅れの総合22位のネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム)で、4分遅れの総合27位のヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)も逃げに乗った。ボーラ・ハンスグローエはエースのラファル・マイカ(ポーランド)と、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ)、クリストフ・フィングステン(ドイツ)の3人を逃げに送り込んだ。

スペインの広大な丘陵地帯を駆け抜けるプロトン一行 Photo : Yuzuru SUNADA

 マイヨロホを抱えるチームスカイは、タイム差を4分程度に抑えながらも、逃げ切りは容認する姿勢で集団をコントロールしていた。

マイカの猛攻をアラフィリップが凌ぐ

 1級山岳ソレット・デ・カティに向けて、ボーラ・ハンスグローエが逃げ集団のペースアップを図り、主導権を握った。フィングステンとブッフマンが、逃げ集団に度々揺さぶりをかけるものの、決定的な動きには繋がらなかった。1級山岳に入り、勾配が厳しくなる山頂まで残り3.5km地点からブッフマンが強烈な引きを開始する。凄まじいペースアップに、逃げ集団は崩壊。ブッフマンのペースについていけたのは、エースのマイカとアラフィリップだけだった。

 牽引を終えたブッフマンが離脱し、マイカとアラフィリップの一騎討ちになるかと思われたが、ペース走行でセルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)とポランツェが、2人に追いついた。その瞬間を狙って、マイカがカウンターアタックを仕掛ける。追いついたばかりのパウェルスとポランツェを置き去りにしたものの、アラフィリップはマイカに食らいついた。

波状攻撃を仕掛けるラファル・マイカと、守勢に回るジュリアン・アラフィリップ Photo : Yuzuru SUNADA

 マイカがペースを緩めると、ポランツェが再度追いつく。再びマイカはカウンターアタックでポランツェを振り切ったが、またもやアラフィリップはマイカの背後にピタリと張り付いていた。スプリント力の高いアラフィリップをゴール地点まで連れていっては、マイカに勝ち目がない。対してアラフィリップは、マイカの攻撃を耐えきることができれば、ステージ優勝の可能性はぐっと高まる。

 山頂まで残り1km地点で、ポランツェが2人に追いつくと、マイカはブッフマンの牽引から数えて4度目の攻撃に出た。ポランツェが遅れるものの、アラフィリップは耐えた。さらに山頂目前でもアタックを仕掛けたが、それでもアラフィリップを振り切ることはできなかった。

 マイカの5連撃を凌いだアラフィリップは、マイカと共にダウンヒルへと突入。少し傾斜が緩んだフィニッシュ間際の区間で、マイカとアラフィリップが牽制しあった隙に、ポランツェが先頭の2人に追いついた。そのままポランツェが先行したものの、アラフィリップがしっかりとチェック。3人で固まったまま、残り300mを切ったところで、アラフィリップがスプリント開始。抜群の加速力を見せ、アラフィリップ自身初となるグランツールでのステージ優勝を飾った。クイックステップフロアーズとしても大会3勝目となった。

クイックステップとしても大会3勝目を飾り、今年のグランツールで通算13勝をあげる活躍が目立つ Photo : Yuzuru SUNADA

 アラフィリップは、スプリント力・登坂力・独走力・ダウンヒル、すべてにおいて高い能力と技術を持つ真のオールラウンダーだ。今年のパリ〜ニースでは、ポイント賞と新人賞を獲得、さらに個人TTステージで勝利を収めた。しかし、4月のレース中に落車した影響で膝に怪我を負ってしまい、目標としていたアルデンヌクラシックやツール・ド・フランスの欠場を余儀なくされた。再起を期して臨んだブエルタでは、ブランクを全く感じさせない、アラフィリップらしい勝ち方を見せ、完全復活を遂げたといえよう。

激坂区間でフルームがアタック

 一方でメイン集団の総合勢は、1級山岳の傾斜が厳しくなる激坂区間に突入すると、総合11位のサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)がアタックを仕掛けた。サイモンの動きをきっかけに集団は崩壊。激しいアタック合戦の最中、フルームはメイン集団後方に沈んでいたように見えた。すかさず、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が先頭に立ち、更なるペースアップを図った。

第6ステージに続いて、積極的な動きを見せたアルベルト・コンタドール Photo : Yuzuru SUNADA

 チームスカイのアシスト陣が、フルームを引き上げたものの、総合10位のマイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)とコンタドールが集団から抜け出していた。ところが苦しそうに見えたフルームは、ペース走行でコンタドールたちとの距離を詰め、追いついたのだ。フルームは、あくまで自分のペース走行を貫いていただけだった。不調どころか、コンタドールに追いつくや否や、フルーム自らアタックを仕掛けた。

 このペースアップは強烈で、総合2位のエスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)、コンタドール、ウッズのみが反応できた。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はギリギリ留まるも、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)や他の総合上位勢は完全に千切られた。

 さらにフルームはダンシングも多用しながら、アタックを継続。ニーバリ、チャベス、ウッズは遅れてしまい、コンタドールただ1人のみがフルームの動きに対応できていた。2人で山頂を通過し、ダウンヒルへ入る。

 後続を寄せ付けないまま、フルームとコンタドールは同タイムでフィニッシュした。ニーバリ、チャベス、ザカリンらは、フルームから17秒遅れでフィニッシュ。フルームはコンタドール以外の総合勢から更にタイム差を獲得し、リードが拡大する結果となった。コンタドールは総合24位から17位へとジャンプアップに成功した。

マイヨロホを守り、リードを拡大したクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 翌第9ステージはオリウエラからクンブレ・デル・ソルへの174kmの”平坦”ステージにカテゴリーされたコースで争われる。ところが、フィニッシュ地点には登坂距離4km・平均勾配9.1%・最大勾配21%の1級山岳がそびえ立つ、実質的には山岳ステージとなっている。再び総合勢による山岳バトルが繰り広げられることだろう。

第8ステージ結果
1 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 4時間37分55秒
2 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +2秒
3 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +2秒
4 セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) +26秒
5 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム) +28秒
6 ミシェル・クレデル(オランダ、アクアブルースポーツ) +32秒
7 マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル) +32秒
8 バルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル) +34秒
9 アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ・アルペシン) +37秒
10 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +1分4秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 32時間26分13秒
2 エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +28秒
3 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム) +41秒
4 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +53秒
5 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +58秒
6 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分6秒
7 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分8秒
8 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1分18秒
9 マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) +1分41秒
10 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分57秒

ポイント賞(プントス)
1 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 49 pts
2 パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 44 pts
3 マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 43 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 38 pts
2 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 17 pts
3 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 12 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 17 pts
2 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 32 pts
3 エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) 40 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 96時間40分18秒
2 UAE・チームエミレーツ +35秒
3 アスタナ プロチーム +7分12秒

敢闘賞
プシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド、UAE・チームエミレーツ)

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