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イギリスU23王者が優勝小野寺玲が落車後に集団復帰も無念のリタイア ツール・ド・ラヴニール第4ステージ

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 U23(19~22歳)日本チームが出場している国別対抗のU23版ツール・ド・フランス「ツール・ド・ラヴニール」第4ステージが8月21日に開かれ、イギリスU23王者のクリストファー・ロウレスが優勝。日本は小野寺玲が序盤に落車し、一度は集団に復帰したが途中でリタイア。終盤はチームプレーでの位置取りが機能した日本だったが、スプリントを狙った岡篤志が落車に巻き込まれるなど、上位に絡むことはできなかった。(U23ジャパンナショナルチーム)

ロワールアトランティック地方に入り、ワイン畑が広がり始めた Photo: Le Tour de L'Avenir

日本が集団をコントロールする場面も

チームプレゼンテーションに登場したU23日本チーム Photo: CyclismeJapon

 フランスの自転車首都ブルターニュ地方に別れを告げ、ワイン畑が広がり始めるロワール・アトランティック地方の中心都市ソミュールへと移動する166.6kmのステージ。天気に恵まれなかった前日までとは打って変わって、各選手がボトルを6本ほど消費する真夏日となった。勝負はアルプスに向けてますます厳しさを増している。

バイクを準備する市川貴大メカ Photo: CyclismeJapon
スタート前の石上優大(左)と岡篤志(右) Photo: CyclismeJapon

 レース序盤は時速45km以上のハイスピードで展開。激しいアタック合戦のなか、約27km地点で小野寺が落車し頭を強打するも、執念の再スタートを切った。その間、先頭ではアタックが複数かかり、イギリスU23王者のクリストファー・ロウレスを含む7人のエスケープが形成。その差はみるみるうちに4分30秒に広がった。

ロワールアトランティック地方の教会 Photo: CyclismeJapon
小野寺玲の落車地点にメディカルカーが到着 Photo: CyclismeJapon

 約60km地点から、スプリントを狙うノルウェーとオランダが逃げを捕まえるべく集団の牽引を開始。そんななか、炎天下&集団の高速化に耐えきれず、落車から70km以上走行した小野寺が集団からちぎれ無念のリタイアとなった。

浅田監督が小野寺玲にリタイアの説得をする Photo: CyclismeJapon
リタイアが確定し呆然とする小野寺玲を慰める内田彰子ドクター Photo: CyclismeJapon

 その後もメイン集団のノルウェーやオランダら、スプリントを狙うチームの牽引が続き徐々にタイム差は縮んでいった。残り15km地点までに7人いた逃げは減り続け、ゴールまで残す所10kmで全て吸収され、レースは振り出しに戻った。

 終盤は日本も岡本隼や岡篤志のスプリント狙いで集団をコントロールする場面があったが、最終周回コース内の短くも勾配のきつい上りで、ほとんどのチームの組織プレイが崩壊。スプリントの行方は混沌とした状態になった。

 残り3km。この日100km以上逃げ続けた7人の1人であるイギリスU23王者のロウレスが、逃げの疲れも何のその、短くきつい上りの前で単独アタック。スプリンターのロウレスが上りアタックを仕掛けたことで誰もが逃げ切りは無理だと踏むも、大方の予想を裏切りそのまま粘って単独でゴールまで飛び込み、圧倒的な力を見せつけた。

イギリスU23王者のロウレスが圧巻の単独逃げ切り優勝 Photo: Le Tour de L'Avenir

 ここまでのステージでは、U23個人TT欧州王者、世界U23王者、オランダU23王者、イギリスU23王者が格の違いを見せつける勝利を飾っている。

■第4ステージ結果
1 クリストファー・ロウレス(イギリス) 3時間43分27秒
2 イメリオ・チーマ(コロンビア) +2秒
3 クリストファー・ハルフォルセン(ノルウェー) +2秒
66 山本大喜(鹿屋体育大学) +2秒
87 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +2秒
100 岡本隼(日本大学/愛三工業レーシング) +2秒
107 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +55秒
125 石上優大(EQADS/Amical Velo Club Aix en Provence) +3分35秒
落車棄権 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

■個人総合
1 キャスパー・アスグリーン(デンマーク)12時間48分56秒
2 クリストファー・ロウレス(イギリス) +2秒
3 クリストファー・ハルフォルセン(ノルウェー) +4秒
50 岡本隼(日本大学/愛三工業レーシング) +4秒
89 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +4秒
102 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +57秒
116 石上優大(EQADS/Amical Velo Club Aix en Provence) +3分37秒
134 山本大喜(鹿屋体育大学)+16分40秒

■レース動画『落車の小野寺がメイン集団を追う』
(U23ジャパンナショナルチーム撮影)

監督・選手のコメント

■U23ジャパンナショナルチーム浅田顕監督

 「風の影響が強いコースレイアウトだが、今日はほぼ無風でレースが進行。しかし各国の積極的な攻撃で前半はハイペースでレースが進んだ。その序盤、小野寺が中央分離帯に乗り上げて落車。負傷しながらも再スタートし集団復帰を果たしたが、100kmを過ぎたあたりで負傷の痛みが改善せず、大事をとって棄権させた」

 「チームとしては前半の逃げに乗れなかったものの、ゴール前で集団が一つにまとまってからの連携はうまく取れ、ラスト1kmまでは小野寺から引き継いだ岡をチーム一丸となって良い位置に残した。しかしゴール前の最終コーナーで発生した落車に巻き込まれ上位入賞を逃す悔しい結果となった。今日のチームの動きを明日、明後日に繋げて行きたい。小野寺は精密検査の結果大きな問題がなく、一日も早く回復し次の目標に準備を進める」

■クリストファー・ロウレス(2017年イギリスU23王者):第4ステージ1位

山岳賞を獲得したマシュー・テガート Photo: Le Tour de L'Avenir

 「ボクはどちらかと言うと(特に上りが強いわけではない)伝統的なスプリンターなんだけど、ゴールまで3km地点の上りでアタックしてみたんだ。集団は強力に追ってきたので逃げ切りは無理かと思ったけど、もう選択肢はないと思って全力で踏んだ。そしたら逃げ切れてしまったんだ! 本当に信じられない」

■山本大喜 第4ステージ66位(総合+16分40秒)

 「レース終盤では調子が良くて13人ぐらいのアタックにも参加しましたが、メイン集団が逃してくれずに吸収されてしまいました。ゴール前10km程度では日本チームの連携がうまく噛み合って、集団先頭までチームで上がりレースをコントロールする場面も。しかしゴールの街の周回コース(小さなきつい坂を含む周回を2周)での強烈な上りで集団全体が崩壊。そこからはほぼ単騎での戦いになってしまった。でもチームワークが最終局面でうまく噛み合ったのは自信に繋がりましたね」

■雨澤毅明:第4ステージ87位(総合+4秒)

 「コースレイアウトのマップを見ていただけでは気が付かなかったんですが、ゴール3km手前にあんな強烈な坂があるなんてびっくりしました。集団が破裂していましたね…。とはいえ、総合成績を狙う僕的には、今日も無事にタイムを失わずにゴールできてホッとしています」

■岡本隼:第4ステージ100位(総合+4秒)

 「ゴールスプリント一本に賭けて今日は動きました。ゴールの街ソミュールに入ってからの周回コースでは、チームメイトに位置取りをしてもらい、チームとしては今大会で一番うまく展開ができた日でした。しかしゴール5km程度手前での激しい位置取り合戦でチームメイトと離れてしまった。それでも集団の50番手ぐらいには留まれたので、スプリントを狙って動きましたが、ゴール3km手前の強烈な坂で千切れてしまった。今日はノルウェーとデンマークが集団を引っ張っていたものの、そんなにペースは速くなかったので、その分ゴールの街での周回が凄まじいスピードに。最後に強烈な戦いが展開されるので、そこで他国に対等に立ち向かえるように一層の努力をします」

■岡篤志:第4ステージ107位(総合+57秒)

 「ラスト500mでスプリントに絡める位置にいたんですが、最終コーナーの外側にいたら内側の選手が膨らんできて、それをギリギリかわせたかと思いきや、後ろから別の選手に突っ込まれて路肩に落ち落車。今回こそはスプリントに絡めるかと思いきや、本当に残念でした。また明日以降頑張ります」

■石上優大:第4ステージ125位(総合+3分37秒)

 「最初の40kmぐらい高速展開が続いたところで、脚がだるくなり、丁度そのあたりで逃げが決まった。全般的に身体がきつく感じる日だった。結果論になりますが、序盤のアタック合戦で温存し、最終の周回コースで展開できるようにしたほうがクレバーなペース配分だったと思う」

「選手の適性を生かし成績を出す」

オランダU23ナショナルチーム監督 ペーター・ザイデルフェルド

U23オランダ監督、ペーター・ザイデルフェルド Photo: CyclismeJapon

 1982年のオンループ・ヘット・ニュースブラッドで優勝、ツール・ド・フランスやブエルタにも出場しているすごい人にも関わらず、非常に謙虚で丁寧。その穏やかで温厚な人柄でオランダU23の選手たちをきめ細かに指導する老紳士。そんなペーターに「あなたが日本選手を指導することになったら、どんなことを選手に言いますか?」と聞いてみた。

 「まずは、その選手に適していないことはやらせないね。例えばうちの選手たちの大半は山が苦手なんだ。彼らの体躯を見れば分かるだろう?だからその選手個々の適性を徹底的に伸ばすように指導するし、レースでもそれを生かすように指示を出す。ウチのチームにとって、今回のツール・ド・ラヴニールは平坦が終わる第6ステージで終了だよ。山岳のある第7~9ステージはアルプスでバカンスだね(笑)だからもし私が日本選手を指導する場合は、例えばあの選手(岡本隼を指差す)なんかは確実にスプリンターだろ?彼には第6ステージが終わったらアルプスでハイキングに行くように指示を出すよ(笑)」

 「まぁそれは冗談として、ヨーロッパではごく少数の相当な才能がある選手以外は、総合系の選手みたいに何もかもが得意なんてことは有り得ないんだ。日本には競輪選手がたくさんいるだろう? テオ・ボスが日本にも行っているはずだ。スプリントと位置取りが得意な競輪選手をロードレースに転向させるのが一番手っ取り早いと思う。日本にとって、その選手リソースを使わない手はないと思うよ。詰まるところ、世界のトップレベルに上がりたいのならば、自分の適性を探し、それを武器に成績を出す。適性を生かさずに特性のない中途半端な選手になると、レベルの高い集団については行けるけど、勝てない選手になってしまう」

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