スマートフォン版はこちら

サイクリスト

魅力発信へ1000キロルートを試走四国一周をサイクリング文化の“種”に ジャイアント前CEOトニー・ロー氏インタビュー

  • 一覧

 “サイクリングアイランド”として自転車での地域振興を目指す四国に、今年3月、「四国一周1000キロルート」が設定された。この四国一周を体験するため、バイクブランド「ジャイアント」のトニー・ロー前CEOが7月に来日した。台湾一周「環島」(ホァンダオ)の定着に尽力したトニー氏はCyclistのインタビューに応じ、四国一周を通じて「サイクリング文化の“種”を日本に広めていきたい」とサイクリング文化発展への展望を語った。

ゴールを迎えたトニー・ロー氏(右)に中村時広愛媛県知事が走行証を贈呈 ©GIANT
道後温泉でゴールを迎えた追風騎士の一行 ©GIANT

 トニー氏は家族や友人らと来日し、7月4日から10日までの日程で四国一周1000キロルートを体験した。愛媛県の松山市をスタートして時計回りに四国を巡るコースで、ゴールは愛媛の道後温泉。今回のサイクリングツアーはジャイアント・ジャパンのサポートのもと行われ、「追風騎士」と命名された一行は、四国一周の魅力的な景勝地やその土地ゆかりのグルメなどを堪能しながらサイクリングを楽しんだ。

四万十川の沈下橋を走る追風騎士の一行 ©GIANT
鳴門市から淡路島にかかる大鳴門橋 ©GIANT
香川で昼食に出されたさぬきうどんと大きな鶏から揚げが空腹を一気に解消 Photo: Naoi HIRASAWA

 四国では愛媛県の「しまなみ海道」が“サイクリストの聖地”として国内外から人気を集めるが、四国一周1000キロルートはより広域での取り組みになる。ジャイアントと協力してサイクリング振興に努めてきた愛媛県の中村時広知事をはじめ、今回のツアーでは香川県の浜田恵造知事、高知県の尾﨑正直知事らもサイクリングに参加。四国一周が、今まで以上に広がりのある取り組みであることをアピールした。

(左から)トニー・ロー氏と尾崎正直高知県知事 ©GIANT
ゴールの道後温泉に到着した(左から)トニー・ロー氏、中村時広知事 ©GIANT

 四国一周1000キロルートの設定は、トニー氏や中村知事らが描いてきた「しまなみ海道をサイクリストの聖地に」「愛媛をサイクリングパラダイス」「四国全体をサイクリングアイランドに」という構想の最終段階。「ようやく夢を実現できる」と話すトニー氏に、四国一周にかける想いを聞いた。

◇         ◇

しまなみができたなら、四国もできる

――松山でのオープニングセレモニーで、10年後には10万人のサイクリストに四国一周を走ってもらいたいとおっしゃっていました。それを実現するにはどんなことが必要でしょうか?

Cyclistのインタビューに答えるトニー・ロー氏 Photo: Naoi HIRASAWA

 「6年前に中村知事としまなみ海道について話していた時、10年後は年間10万人のサイクリストがしまなみに訪れるようにしたい、という目標を掲げました。夢のように思っていたその目標は、現時点で達成しました。そのために努力をしてきたのです。しまなみができたなら、四国もできます。しまなみを走った人が1万人、2万人と四国一周を走るようになったら、そのぶん人が増えていきますよね」

 「私はよく日本に来ますが、メインは東京、大阪、京都、北海道。もし、しまなみがなければ四国や愛媛のことをよく知らず、訪れることもなかったでしょう。ですが、調べみると日本文化には四国発祥のものも多い。四国の歴史、文化、景色など素晴らしいものがたくさんありますが、それを知らない人が多いのです。例えば四国八十八カ所は特殊な文化で、四国に来ないと体験できない。そのような、特徴のあるところを知ってもらいたいです」

道後温泉へ続くブルーライン沿いを走る中村時広知事(先頭)ら ©GIANT
総本山善通寺でのお勤め Photo: Naoi HIRASAWA

 「四国は本当に素晴らしいところですから、台湾のジャイアント旅行社でツアーを作って発信したい。今回、私が実際に四国一周を体感して、改善点を見つけてさらによくしていきたいと思っています」

――愛媛で育ったサイクリング文化がどんどん広がっていますね。

 「しまなみ海道では、中村知事、広島県の湯崎(英彦)知事が自転車に乗って、サイクリングを体感していました。自らがサイクリストとして走ってみて、どうしたら走りやすいかと考えて、行政から指示を出してもらった結果、しまなみはサイクリストにやさしく、走りやすい場所になりました」

浜田恵造香川県知事(左)、トニー・ロー氏を先頭に善通寺を出発 ©GIANT

 「香川県の浜田知事は、ほとんどサイクリングをしたことがなかったそうですが、今回一緒に走ることを通して香川も一歩進んだと思います。浜田知事は自転車を『若者のスポーツ』と思っていたようですが、私と同じくらいの年齢なので走れます。年齢は関係なく、一歩踏み出せばスタートになる。このように各県が自転車に取り組んでいけば、さらにいい自転車環境が出来上がると思います」

 「台湾一周をする人は、10年前は年間2000人でした。それがいまは毎年10万人になりました。今回の四国一周では私が家族や友人を連れてきて、自転車に乗っているように、一つの文化の育成を進めるときは、先に自分からプッシュしなければいけません。四国一周はいい環境づくりをしているので、日本だけではなく世界に素晴らしさを発信していきたいと思います」

台湾一周成功の秘訣は“成人式”

――今後どのように四国一周を発展させていきますか?

年間10万人が挑戦するという台湾一周「フォルモサ900」 Photo: Kenta SAWANO

 「台湾一周が成功した理由の一つには、“成人式”という面があります。台湾人は、大人になったらまず自分の国を自分の足で周らないと『自分は台湾人だ』とは言えません。自分の目で見て、体感することで、はじめてこんな国だと伝えられるようになるし、人生の一部になります。」

 「そこで台湾の若者の“成人式”として、大学生や中高生に向けて台湾一周を発信しました。卒業式に合わせてただプレゼントをもらうのではなく、人生の大事な思い出づくりとして、自転車で走る。それが広く認められるようになりました」

険しい坂を自らの脚で上っていく ©GIANT
四国一周サイクリングルートには渡し舟なども組み込まれ、さまざまな魅力を満喫できる ©GIANT

 「四国も同じだと考えています。四国の方々には、自分が生まれた島で、自分の脚で新しい発見をして、体験してもらいたい。さらに日本全国のみなさんにも『日本人として、自分の生まれた島を走る』という考えをもってもらえたらと思います。そのスタートとして、四国の距離がちょうどいい。九州や北海道はちょっと大きいけれど、四国はちょうど1000km。がんばったら走りきれる四国から、発信していきたいです」

自分が生まれた国を走り、見て、感じることも四国一周サイクリングの魅力 ©GIANT

 「私がプッシュしたいのは、台湾一周を走った人を四国一周に連れてきて、四国一周した人を台湾に連れていくこと。その2つを両方体験してもらえるように、手を取り合って力をいれていきたいと考えています」

 「私が『自転車新文化基金会』の会長を務めていて思うのは、日本のみなさんは自転車に乗れますがママチャリが多い。それは先進国としてはちょっと意外なことで、ヨーロッパなどではスポーツバイクが主流です。日本には素晴らしいサイクリング環境があるのに、なぜサイクリング文化が育ってこなかったのか、自転車新文化基金会の会長として新しい考えをもって、スタートしようと思っています」

トニー・ロー氏は一家で参加 ©GIANT
海水浴場ではしゃぐ参加者たち ©GIANT
いつも隊列の前方で先陣をきっていくトニー・ロー氏 ©GIANT

 「四国一周を通してサイクリング文化を日本全国の人々に体感してもらい、地元にもって帰ってもらえればと思います。そうやって“文化の種”をいろいろなところに埋めていって、“文化の木”を大きくしていきたい」

 「四国は経済や人口においては日本有数の地域ではないけど、サイクリング文化を育てるのに適した場所です。四国をサイクリング文化の起源として、そのムードを全国に広げたいと思っています」

現在募集中のイベント情報

関連記事

この記事のタグ

インタビュー ジャイアント 四国一周サイクリング

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

イベント情報:御神火ライド

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載