スマートフォン版はこちら

サイクリスト

title banner

バーレーン・メリダは260万円チーム スカイは9300万円 獲得賞金・ポイントで振り返るツール・ド・フランス2017

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
  • 一覧

 2017年のツール・ド・フランスは、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)の総合3連覇によって幕を閉じた。フルームとチーム スカイにとっては、狙い通りの結果を達成して、大成功のツールとなったことだろう。一方で、今大会では有力選手のリタイアも目立ち、思惑通りにレースを進めることができなかったチームもあった。そこで、出場したチームの獲得賞金額、獲得ワールドツアーポイント(以下、WTポイント)を元に、今大会を振り返っていこうと思う。

※なお、1ユーロ=130円と換算した。

総合優勝したクリストファー・フルームと、愛息のケランちゃん Photo : Yuzuru SUNADA

個人総合優勝は6500万円

 まずは、獲得賞金について見ていきたい。

 最も賞金額が大きいのは個人総合優勝で、額は50万ユーロ(6500万円)となっている。総合2位は20万ユーロ(2600万円)、総合3位は10万ユーロ(1300万円)と偏りが大きい。総合160位の選手まで1000ユーロ(13万円)の賞金が付与されるため、完走することは重要だ。また、マイヨジョーヌを1日着用するごとに500ユーロ(6万5000円)の賞金を獲得できる。

特別ジャージは着るだけで賞金がもらえる(写真は第1ステージでマイヨジョーヌを獲得したゲラント・トーマス) Photo : Yuzuru SUNADA

 総合優勝の次に大きなウェイトを占めるタイトルは、チーム総合成績だ。1位には5万ユーロ(650万円)が与えられ、5位まで賞金の対象となっている。

 ステージ優勝者は1万1000ユーロ(143万円)獲得できて、20位まで賞金が付与される。

 マイヨヴェールとマイヨアポワの受賞者は2万5000ユーロ(325万円)を獲得し、マイヨブランは2万ユーロ(260万円)となっている。ポイント賞と山岳賞はランキング8位まで、ヤングライダー賞は4位まで賞金を獲得でき、着用日数毎にも賞金が与えられる。

マイヨアポワを獲得したワレン・バルギル(左)と、マイヨヴェールを獲得したマイケル・マシューズ(右) Photo : Yuzuru SUNADA

 そして、見逃せないのが中間スプリントポイントと山岳ポイント通過者が獲得できる賞金だ。中間スプリント1位通過者は1500ユーロ(19万5000円)を獲得でき、3位通過者も500ユーロ(6万5000円)獲得できる。山岳ポイントはカテゴリーによって額が異なり、超級山岳1位通過者は800ユーロ(10万4000円)、4級山岳でも200ユーロ(2万6000円)得られる。

 毎ステージ表彰されていた敢闘賞(タイムトライアル、最終ステージ除く)の賞金は2000ユーロ(26万円)、ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)が獲得したスーパー敢闘賞はマイヨブランと同額の2万ユーロ(260万円)となっている。

 では、今大会で獲得賞金が多かったチームのランキングは以下のとおりだ。

獲得賞金額ランキング

1 チーム スカイ 71万6590(約9300万)
2 キャノンデール・ドラパック 24万3250(約3160万)
3 チーム サンウェブ 17万7790(約2310万)
4 アージェーデュゼール ラモンディアール 17万3040(約2250万)
5 クイックステップフロアーズ 11万5440(約1500万)
6 ロット・ソウダル 8万7590(約1140万)
7 アスタナ プロチーム 8万1080(約1050万)
8 ロットNL・ユンボ 7万7250(約1000万)
9 トレック・セガフレード 6万9580(約900万)
10 オリカ・スコット 6万6900(約870万)
11 UAE・チームエミレーツ 6万3910(約830万)
12 ディメンションデータ 5万9710(約780万)
13 BMCレーシングチーム 5万9120(約770万)
14 ボーラ・ハンスグローエ 5万5290(約720万)
15 ディレクトエネルジー 4万3720(約570万)
16 ワンティ・グループゴベール 3万9360(約510万)
17 カチューシャ・アルペシン 3万3880(約440万)
18 エフデジ 3万2720(約430万)
19 フォルトゥネオ・オスカロ 2万8150(約370万)
20 モビスター チーム 2万4090(約310万)
21 バーレーン・メリダ 1万9960(約260万)
22 コフィディス 1万9230(約250万)
※賞金額の単位はユーロ、()内は円

 最も稼いだチーム スカイは、およそ9300万円獲得した一方で、最下位のコフィディスは250万円だった。獲得賞金額の平均は約10万4000ユーロ(1352万円)となっており、平均額以上稼げたチームは5チームのみだった。

 ステージ1勝&総合優勝&チーム総合1位のチーム スカイ、ステージ1勝&総合2位のキャノンデール、ステージ4勝&マイヨヴェール&マイヨアポワ獲得のサンウェブ、ステージ1勝&総合3位&チーム総合2位のアージェードゥゼール、ステージ5勝&総合6位のクイックステップは順当といえる結果だろう。

9300万円を稼ぎ出したチームスカイのメンバーたち(写真はチーム総合表彰時のもの) Photo : Yuzuru SUNADA

 注目は6位のロット・ソウダルだ。ステージ優勝は0回だったが、大会中1000km以上逃げに乗ったトーマス・デヘント(ベルギー)がポイント賞6位・山岳賞3位に入ったように、中間スプリントやカテゴリー山岳を積極的に狙ってコツコツ稼いだことが大きく影響している。

逃げまくったトーマス・デヘントはチーム獲得賞金の大半を稼ぎ出した Photo : Yuzuru SUNADA

 マイヨブランを獲得したサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)は一人で3万6000ユーロ(468万円)以上獲得したものの、他に上積みできる要素が少なかったため、チームとしては10位という結果になった。

 UCIプロコンチネンタルチームも健闘を見せた。ステージ1勝をあげたディレクトエネルジー、ツール初出場ながら全員が完走したワンティ、連日のように逃げに選手を送り込んだフォルトゥネオは、チーム名を露出する機会も多かった上に、一部のワールドチームよりも多くの賞金を稼ぐことができた。エースのナセル・ブアニ(フランス)が不発に終わったコフィディスは、残念ながら最下位に沈んでしまった。

2490ポイントと20ポイント

 WTポイントは、ワールドツアーカテゴリーのレースで獲得できるポイントのことで、最終的にはワールドチームのライセンス発行に関わる重要な指標となる。UCIは、現行の18チームからワールドチームを削減する方針でいるため、貪欲に他のチームより多くのポイント獲得を狙うことが大事だ。

WTポイントがぎりぎり付与される総合60位でフィニッシュしたヨナタン・カストロビエホ Photo : Yuzuru SUNADA

 ツールで獲得できるWTポイントは、他の様々なレースに比べて最も配分が高くなっている。総合優勝者は1000ポイント、総合2位は800ポイント、総合3位は675ポイント、というような段階で、総合60位の10ポイントまで付与される。ステージ優勝は120ポイント、ステージ2位は50ポイントで、ステージ5位の5ポイントまで与えられる。

 また、マイヨヴェールとマイヨアポワの獲得者は120ポイント取得でき、ランキング3位までポイントが付与される。しかし、残念ながらマイヨブランにはポイントがつかない。マイヨジョーヌ(総合1位)は、1日着用するごとに25ポイントが付与される。

 総合成績にかなり比重が置かれたシステムとなっている。ステージ3勝(360ポイント)しても、総合6位(400ポイント)に届かないのだ。スプリンターチームの獲得ポイント数が伸びにくい傾向となっている。

 では、今大会で獲得したWTポイントの多かったチームのランキングは以下のとおりだ。なお、WTポイントの対象はワールドチームのみとなっているため、プロコンチネンタルチームは除いている。

獲得WTポイントランキング

1 チーム スカイ 2490
2 クイックステップフロアーズ 1110
3 アージェーデュゼール ラモンディアール 1105
4 チーム サンウェブ 1095
5 キャノンデール・ドラパック 1085
6 アスタナ プロチーム 695
7 トレック・セガフレード 550
8 ロットNL・ユンボ 460
9 UAE・チームエミレーツ 445
10 オリカ・スコット 435
11 ディメンションデータ 390
12 BMCレーシングチーム 370
13 ロット・ソウダル 335
13 ボーラ・ハンスグローエ 335
15 モビスター チーム 260
16 エフデジ 245
17 カチューシャ・アルペシン 145
18 バーレーン・メリダ 20

 賞金ランキングと同様に上位5チームは順当な結果となっている。

 厳しいのは、ランキング下位のチームだ。BMCレーシングは、リッチー・ポート(オーストラリア)のリタイアによって計画の全てが狂ってしまった。モビスターもアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)のリタイアに始まり、ナイロ・キンタナ(コロンビア)の不調が大きく響いた。初日にエースのヨン・イサギレ(スペイン)を失ったバーレーン・メリダに至ってはヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)が総合45位に入ったことによる20ポイントの獲得のみとなっている。

 ペテル・サガン(スロバキア)が失格、ラファル・マイカ(ポーランド)がリタイアしたボーラ・ハンスグローエもステージ2勝をあげたにもかかわらず、13位となっている。総合60位以内に入った選手は総合15位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)のみだったことが影響した。

本来ならばペテル・サガンで勝利を量産する予定だった Photo : Yuzuru SUNADA
ラファル・マイカは総合トップ10は十分に狙えた Photo : Yuzuru SUNADA

 エフデジはアルノー・デマール(フランス)でステージ1勝をあげたものの、以降リタイア者が続出し完走わずか3人だったためポイントを稼げず。カチューシャ・アルペシンはエースのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)がステージ優勝できず、他に総合系選手もいなかったのでポイントは伸び悩んだ。

2017年は明暗がくっきり

 レースを観戦していて、活躍している印象と実際の賞金獲得額や獲得WTポイント数は、概ね比例しているように思えた。

 とはいえ、フランス人としてフランスチャンピオンジャージを着用して勝利したデマールの功績が色褪せることはないし、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)の独走逃げ切り勝利のインパクトは大きかった。

ステージ優勝をあげたアルノー・デマールは第9ステージで体調不良が原因でタイムアウトとなる Photo : Yuzuru SUNADA
エースのカヴェンディッシュを失った後も、果敢に攻めたボアッソンハーゲンは執念のステージ優勝を果たす Photo : Yuzuru SUNADA

 賞金を得ること、WTポイントを獲得することがツールの出場目的だとは思わない。何をもって成功とするか線引きは難しいところではあるが、少なくとも有力選手のリタイアによる影響は大きく、うまくいったチームとそうでないチームの差が如実に現れた大会だったといえるだろう。

※記事掲載当初、敢闘賞には賞金は設定されておらず、スーパー敢闘賞は5000ユーロ(65万円)と表記していましたが誤りでした。訂正してお詫びいたします。

現在募集中のイベント情報

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2017 ツール2017・レース情報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

イベント情報:御神火ライド

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載