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栗村修の“輪”生相談<106>20代男性「ロードレースで速くなれる、自転車以外のスポーツは何かありますか?」

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 栗村さん、こんにちは。ロングライドがメインの自転車歴2年、大学2年の者です。レースにも1度だけ出ており、今年も出る予定です。昨年はトレーニングもせず、ただ出てみた、という感じだったのですが、今年は優勝を目指したいと思っております。ちなみに、レースは20km×2周でアップダウンが多いコースで、昨年は集団スプリントで負けてしまいました。

 目標を達成するため、「ロードバイクは順応」という栗村さんの言葉の通り、多くの時間ロードバイクに乗って練習できれば良いのですが膝の前が痛み、多くは乗れなさそうです。

 そこでお聞きしたいのですが、自転車以外のスポーツでロードレースで速く、強くなるものは何があるのでしょうか。歩く、走るなどは膝が痛くならないので、実施しています。

(20代男性)

 まず確認なのですが、僕が言う「順応」というのは、必ずしも「たくさん自転車に乗って自転車に慣れてね」ということを意味するわけではないんです。僕は順応ということを、もうちょっと細かく考えています。

 時間を指標にするならば、長時間、たとえば5時間自転車に乗ることを繰り返すと、体は5時間乗ることに順応します。一方で、1時間の短時間高強度の練習を繰り返すと、体は1時間の短時間高強度のレースに順応するでしょう。これが順応です。

 質問者さんが目指している40kmのレースは、まあ2時間くらいで終わると思います。ということは、必要なのは長時間の練習とは限らないんですよ。いきなり話の腰を折るようで恐縮なのですが、このご質問にも関わる大切なことなのでお伝えしますね。実際のレースにできるだけ近いシチュエーションを繰り返すのが、順応には効果的です。

 さて、ご質問に戻ります。自転車以外の自転車に効果的なスポーツ、ただし膝にいいもの、ということですね。

 トレーニングって、大きく2つに分けわけられると思うんです。心肺機能や筋力アップなどフィジカルの力を鍛えるものと、体の使い方を上手にするもの、です。LSDでフィジカルの基礎を作るとか、インターバル走でFTPを上げるとかが前者です。

 トレーニングというとこちらを思い浮かべる人が多いと思うんですが、後者も大事です。たとえばペダリングスキルがそうですね。フィジカルの力が全く同じ選手が二人いたとするならば、ペダリングスキルが上手い選手のほうが、速く無駄なく自転車を進められるわけじゃないですか。こういう、テクニックのトレーニングです。

 膝への負担が少ない自転車以外のフィジカルトレーニングならば、正しい筋トレと水泳などを組み合わせるのがいいかもしれませんね。でも、これだけでは、自転車を前に進ませる力が身に付きませんから、他のトレーニングも取り入れたいところです。

 そこで僕は、ウエイトトレーニング(フリーウエイト)+低負荷での3本ローラーでのトレーニングをお勧めします。え?と思われるかもしれませんが、これは重要です。ただしいきなり自転車が速くなるわけではありませんが…。

 ウエイトトレーニングって、筋肥大による筋力アップを狙うフィジカルトレーニングだと思われがちですが(もちろんその側面は大きいのですが)、実はテクニックのトレーニングでもあるんです。

 ウエイトトレーニングは、ある特定の筋肉に負荷をかけるものです。つまり、特定の筋肉を狙って使う感覚に順応できる。これは大事です。なぜなら、ハムストリングなり殿筋なり、狙った筋肉をきちんと使うことは、自転車を進める上でも欠かせないテクニックだからです。

 さらには、ウエイトトレーニングにより体の左右バランスが改善すると、ケガや故障が良くなる場合もあります。筋力の不足やアンバランスによる故障は多いですからね。お薦めは、支えのない「フリーウェイト」ですが、何をやる場合もしっかりしたトレーナーはつけるようにしてください。

 そして、膝に痛みが出ない軽い負荷での3本ローラー(理想的には固定ギヤのついたピストバイクを使用)をプラスすることで、ウエイトトレーニングで刺激の入った筋肉を、ペダルをまわすための筋肉に変換することができるのです。

 ポイントは、「フリーウエイト(バランスのとれたカラダづくり)」、「3本ローラー(自転車を効率的に前へ進ませるための基本の習得)」、「固定ギヤ(キレイなペダリングの習得)」となります。

 一つ注意するならば、ウエイトトレーニング+3本ローラーをやったからといって、いきなり速くなることはないということです。最終的には、やはり外で自転車に乗る必要があります。ウエイトトレーニング+3本ローラーで筋肉の使い方を学ぶことは、いわば順応のための準備です。遠回りのようですが、意外と近道かもしれませんよ。

(編集 佐藤喬)

前夜祭で「『生』“輪”生相談」も
栗村さんが「伊豆大島 御神火ライド」にゲスト参加!

 9月10日(日)に伊豆大島で開催される、『Cyclist』初のロングライドイベント「伊豆大島 御神火ライド2017」に、栗村修さんがゲスト参加します。ライド前日の9日(土)は前夜祭も開かれ、栗村さんに直接質問できる「『生』“輪”生相談 in 伊豆大島」も行われる予定。またライド当日は栗村さんも、参加者の皆さんと共にコースを走ります。現在エントリー受付中です!

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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