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山口和幸の「ツールに乾杯! 2017」<4>自然豊かなシャンベリーでの激戦 地元期待のバルデが奮闘も勝利はならず

by 山口和幸 / Kazuyuki YAMAGUCHI
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 今年のツール・ド・フランス第9ステージのゴール地点、フランスのサボワ地方にあるシャンベリーは、1989年に世界選手権ロードを開催した都市だ。このときのレースは、その直前の7月にツール・ド・フランスで2度目の総合優勝を達成した米国のグレッグ・レモンが、1983年に続いて優勝している。

1989年のツール・ド・フランスといえば、グレッグ・レモン(後)とローラン・フィニョン(前)が歴史に残る激闘を繰り広げた年だ。フィニョンが首位で最終日を迎えたが、シャンゼリゼにゴールする個人タイムトライアルでレモンが大逆転を果たし、フィニョンとわずか8秒差で総合優勝を飾った Photo: Yuzuru SUNADA

初登場は今中大介が初出場した1996年

 ツール・ド・フランス3勝、世界選手権2勝のレモンが自らの名を冠して1989年にプロデュースしたアメリカンロードバイクがあった。モデル名はラルプデュエズやチューリッヒなどとレモンが勝利した町の名前が付けられていて、もちろんシャンベリーもあった。特徴はハンドメイド。各素材の特質を熟知しているという歴史的な重みと、最新素材を投入する斬新さを持ち合わせていた。フレームの設計コンセプトはレモン自身が実戦で積み上げてきたノウハウを余すことなく注ぎ込んだものだった。

美しい自然に囲まれたサボワ地方にシャンベリーはある © Haas

 ツール・ド・フランス取材時はアルプスを北側からアプローチした際の玄関口となるシャンベリーに宿泊することが多く、慣れ親しんだ町なのだが、ツール・ド・フランス自体の訪問はこれで3回目というから意外である。

 初登場は1996年第7ステージのスタート地点。フランス期待のステファーヌ・ウーロがマイヨジョーヌを着てシャンベリーをスタートしたが、マイヨジョーヌを着用したまま涙のリタイア。ウーロはゴールのガップに到着していない。この日のゴールで首位に立ったのは、次世代の若きエースと期待されたロシアのエフゲニー・ベルツィンだった。

 結局この年はデンマークのビャルネ・リースが優勝し、日本人プロとしてツール・ド・フランスに初出場を果たした今中大介もこのステージは完走を果たしている。

スキーリゾートでもあるシャンベリー(地元観光局提供)

今中出場の14年後、新城幸也が活躍

 2010年の第10ステージもシャンベリーはスタート地点だった。ガップにゴールしたこの日はアルプス最後の山岳区間で、ポルトガルのセルジョ・パウリーニョ(レディオシャック)とベラルーシのバシル・キリエンカ(ケスデパーニュ)のゴール勝負となり、パウリーニョがわずかな差で先着して初優勝した。

 総合成績ではルクセンブルクのアンディ・シュレク(サクソバンク)が首位を守り、2位アルベルト・コンタドール(アスタナ)との41秒差をキープした。コンタドールはピレネーの第15ステージでシュレクを逆転するのだが、後日ドーピング違反で総合優勝をはく奪され、シュレクが繰り上がり優勝者となっている。

第8ステージのゴールはジュラ山系にあるスキー場、スタシオンデルス ©STATION-DES-ROUSSES
山岳ステージの沿道に日の丸がはためいていた Photo: ASO

 この2010年はBBox・ブイグテレコムに所属していた新城幸也が存在感を見せつけた大会でもあった。シャンベリーをスタートした第10ステージもスタート3km過ぎから複数回のアタックを試みたが、メイン集団が逃げを容認せず、集団に戻らざるをえなかった。この年の新城は他選手から「逃がしたら手ごわい存在」とマークされていた。ジロ・デ・イタリアでもあわや単独で逃げきりかというアタックをしていて、それだけに区間優勝をねらう他選手にとって、新城は一緒に逃げたくない存在でもあった。この日新城のアタックが成功しなかったのはそんなライバルの思惑があったからだ。

フランスの期待がかかるバルデ

山岳を総合有力勢の集団でこなすロマン・バルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 アマチュア時代にこのシャンベリーの自転車クラブで走っていたのが、現代的な容貌で人気があるロマン・バルデだ。所属するアージェーデュゼール ラモンディアールもここを本拠地としている。若いころからフランス期待の選手として総合成績の上位進出を期待された。30年以上も総合優勝から遠ざかっているフランスは強い選手の出現を待ち焦がれていて、バルデにかかる期待は高い。

 今年の第9ステージは先行するフランスのワレン・バルギルを単独で追い、それを追い抜いてゴールのシャンベリーを目指したが、総合優勝を争うクリストファー・フルームやファビオ・アルら5選手の追撃にあって吸収された。

 「とても悔しい」とゴール後に落胆の表情を浮かべていたのが印象的だった。

上りにはバルデやバルギルを応援するペイントも Photo: ASO
2017ツール・ド・フランス第9ステージのゴール勝負 Photo: ASO
オーストラリアからやって来たファンはリッチー・ポートを応援できたのだろうか Photo: ASO
山口和幸山口和幸(やまぐち・かずゆき)

ツール・ド・フランスをはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い続け、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、ナンバー、ターザン、YAHOO!などで執筆。国内で行われる自転車の国際大会では広報を担当。著書に「ツール・ド・フランス」(講談社現代新書)、「もっと知りたいツール・ド・フランス」(八重洲出版)など。

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