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ツール・ド・フランス2017 第9ステージ大荒れのクイーンステージをウランが制す 優勝候補のポートは落車リタイア

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・フランス第9ステージが7月9日、ナンテュアからシャンベリーまでの181.5kmで争われ、小集団によるスプリント勝負をリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が制した。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)はステージ3位に入り、マイヨジョーヌは堅守。一方で、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)を含む4人が落車リタイア、フランスチャンピオンのアルノー・デマール(フランス、エフデジ)を含む7人がタイムアウトによりリタイアとなる、大荒れのステージとなった。新城幸也(バーレーン・メリダ)は27分10秒遅れのステージ97位でフィニッシュした。

ゴールスプリントでは、ウランとバルギルの差はほんのわずかだった Photo : Yuzuru SUNADA

雨のクイーンステージで落車が続発

 今大会のクイーンステージと言われてる第9ステージには、3つの超級山岳が登場する。67.5km地点のラ・ビッシュ峠はツール初登場。91km地点のグラン・コロンビエは最大斜度22%の激坂を含み、155.5km地点のモン・デュ・シャは前哨戦のクリテリウム・デュ・ドーフィネでも登場した山だ。モン・デュ・シャからのテクニカルなダウンヒルにも注目が集まっていた。

 スタート直後から始まる2級山岳はティボー・ピノ(フランス、エフデジ)が先頭通過。この動きに乗じて、40人ほどの逃げ集団が形成されつつ、続く3級山岳もピノが先頭通過を果たした。

 雨も降り出してきたなか、3級山岳を越えた直後に、集団内で落車が発生。前日のステージ2位だったロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)が脊椎の一部を骨折しリタイア、マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)は右肩の脱臼と肩甲骨を骨折しリタイアとなった。

 ダウンヒルを越えた後の3級山岳はトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)が先頭で通過。逃げ集団とメイン集団のタイム差は3分30秒程度まで開いて、最初の超級山岳ラ・ビッシュ峠の上りへと入った。

 逃げ集団は、チーム サンウェブのローレンス・テンダム(オランダ)が先頭固定で牽引。逃げに乗っているチームメイトのワレン・バルギル(フランス)の山岳ポイント獲得と、マイケル・マシューズ(オーストラリア)の中間スプリントポイント獲得のための動きだ。雨足がさらに強くなるなか、メイン集団とのタイム差は6分まで拡大した。

 山頂が近づくと、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)がロングスパートを決めて先頭通過を果たす。バルギルは3番手で通過した。

ゲラント・トーマスもリタイヤ

落車してコースアウトしたアレクセイ・ルツェンコ Photo : Yuzuru SUNADA

 ウェットな路面のダウンヒルでは、落車・コースアウトが続出。メイン集団でも、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が落車してしまい、避けきれなかったゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)も激しく地面に叩きつけられた。トーマスは右肩鎖骨を骨折してリタイア。マイカも身体へのダメージが大きく、30分以上遅れて辛うじて完走した。

メイン集団で上りをこなすクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 逃げ集団、メイン集団ともに大きく人数を減らしたまま、2つ目の超級山岳グラン・コロンビエへ突入していく。両者のタイム差は6分15秒だ。ここでも、バルギルが好調さを示し、山頂は先頭通過を果たした。その頃には、天候が回復し陽が射すようになってきた。

 先頭を走るバルギル、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)らに、マシューズ、トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)、ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェーデュゼール ラモンディアール)ら追走集団が追いつき、12人の先頭集団が形成。4分ほど後方にメイン集団という状況だった。マシューズはスプリントポイントを獲得するために超級山岳を2つ越えて、見事に中間スプリント地点で先頭通過を果たした。すると、ガロパンとバークランツが逃げ集団から抜け出し、1分ほどのリードを築いて先行する展開となった。

ポートが落車リタイア

 3つ目の超級山岳モン・デュ・シャの上りが始まると、先頭の2人を目指してモレマとバルギルがペースアップ。バークランツとガロパンに追いつくと、そのままバルギルがアタックし、独走に持ち込んだ。好調のバルギルはモン・デュ・シャの頂上でも先頭通過を果たし、この日だけで山岳ポイントを53点も荒稼ぎし、マイヨアポワを確定させた。

モン・デュ・シャを独走するワレン・バルギル  Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団では、フルームにメカトラが発生する。その瞬間に、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム)がアタックを仕掛けてしまうも、ポートに制されてペースを落とし、フルームの復帰を待った。

 フルームが集団復帰すると、すかさずヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)がアタック。フルームたちに対して30秒ほどのリードを築いた。ペースの上がるメイン集団からはアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が脱落してしまった。

 さらにメイン集団では、アタック合戦が勃発。アル、ポート、フルームと代わる代わるアタックを仕掛けると、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が遅れてしまう。先行していたフルサングも吸収し、メイン集団はフルーム、ポート、アル、フルサング、ウラン、ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)の7人に絞り込まれた。山頂通過時点で、キンタナが30秒、コンタドールは2分近く遅れていた。

 15秒ほど先行するバルギルを追って、メイン集団はハイペースでダウンヒルをこなしていく。すると、コーナーを曲がりきれなかったポートが激しく落車してしまった。ポートの背後を走っていたマーティンも巻き込まれてしまい落車。コース脇の岩壁に激突したポートは、しばらく動くことができず、首元を固定されたまま救急車に運ばれた。検査の結果、右鎖骨骨折と右臼蓋骨折(大腿骨の付け根付近の骨盤の骨折)のため、全治4〜6週間を要するという。

メカトラを抱えたウランがスプリントを制す

 落車を目の当たりにしたはずのバルデは、ダウンヒルでスピードアップを図る。同じく下りを得意としているフルームを置き去りにするほどのハイスピードだった。先頭のバルギルをも追い抜き、独走に持ち込んだ。

 残り11km地点で、ウランにメカトラが発生する。変速器に不調が生じたものの、バイク交換している時間はないと判断。ニュートラルカーのメカニックに無理矢理リアギアをトップ(一番重たいギア)に固定してもらい、レースを続行した。この影響でバルデとのタイム差は30秒まで広がったものの、フィニッシュ地点まではほぼ平坦路が続く。遅れてきたバルギルを吸収し、数で勝るメイン集団は、バルデとの差をじりじりと詰めていくと、残り2.2kmでバルデを吸収した。

 残り1kmを切ると、フルームが先頭でペースアップ。残り500mまで先頭で引き続けると、フルサングがアタックを仕掛けた。真っ先に反応したウランは、残り200mでフルサングをかわして先頭に立つと、そのまま先頭でフィニッシュ。ギアを変速できないトラブルを抱えたままのウランがステージ優勝を飾った。追いすがるバルギルとの差はほんのわずかで、フィニッシュの瞬間は勝利を確信したバルギルがガッツポーズしていた。しばらくして、写真判定によりウランの勝利が確定したのだった。

ツール初勝利を飾ったリゴベルト・ウラン Photo : Yuzuru SUNADA

 ウランは2016年にキャノンデールに移籍してから、初めての勝利となった。過去にはジロ・デ・イタリアで通算2勝をあげている実力者であるが、ツールでの勝利は初めて。さらに総合4位となり、表彰台も狙える位置に浮上した。

 また、キンタナは1分15秒遅れの10位でフィニッシュ。コンタドールは4分19秒も遅れてしまった。最初の2級山岳で遅れてしまったデマールは、58分ほど遅れてフィニッシュ。献身的にデマールを支えたアシスト3人と共にタイムアウトとなってしまった。

 今大会最初の休息日を挟み、11日に行われる第10ステージは平坦ステージとなっている。ピュアスプリンターたちによる迫力の集団スプリント勝負となるだろう。

第9ステージ結果
1 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) 5時間7分22秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ) +0秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +0秒
4 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +0秒
5 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +0秒
6 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +0秒
7 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +1分15秒
8 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) +1分15秒
9 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +1分15秒
10 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分15秒
97 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +27分10秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 38時間26分28秒
2 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +18秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +51秒
4 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +55秒
5 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分37秒
6 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +1分44秒
7 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2分2秒
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分13秒
9 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) +3分6秒
10 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +3分53秒
117 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間12分54秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 212 pts
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 160 pts
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 130 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ) 60 pts
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ) 30 pts
3 アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) 27 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 38時間28分30秒
2 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAE・チームエミレーツ) +2分58秒
3 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +3分28秒

チーム総合
1 チーム スカイ 115時間25分25秒
2 アージェーデュゼール ラモンディアール +7分12秒
3 アスタナ プロチーム +26分17秒

敢闘賞
ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)

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