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ツール・ド・フランス2017 第4ステージ落車を誘発したサガンが失格処分でツールを去る デマールが念願のツール初勝利 

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・フランス第4ステージは、モンドルフ・レ・バンからヴィッテルまでの207.5kmで争われ、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)がグランツール初のステージ優勝を飾り、フランス人待望の勝利をもたらした。ところが、集団スプリントの最中に2度の大規模な落車が発生し、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が激しく落車。直接の原因となったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)はレース失格処分との裁定が下された。新城幸也はトップと同タイムのステージ53位でフィニッシュしている。

ツール初勝利を飾り、雄叫びをあげるアルノー・デマール Photo : Yuzuru SUNADA

ヴァンケイルスブルク、190kmの一人旅

 スタート地点のモンドルフ・レ・バンは、ルクセンブルク南部の街だ。ルクセンブルクはフランスとベルギーに挟まれた小国で、面積は神奈川県と同じくらい、人口は鳥取県と同程度である。そのような小国にも関わらず、過去に4人のツール・ド・フランス総合優勝者を輩出している。最も記憶に新しいのは、2010年に繰り上げによって総合優勝したアンディ・シュレクだろう。2014年限りで現役を退き、現在はルクセンブルク国内で自転車屋を営んでいる。前の晩は、古巣のトレック・セガフレードを訪問し、かつて激闘を繰り広げたライバルであるアルベルト・コンタドール(スペイン)と再会。第3ステージスタート前に開催されたセレモニーには、兄のフランクと共に招待されていた。兄弟は、今も根強い人気を誇っているようだ。

サガンと記念撮影するシュレク兄弟(左がフランク、右がアンディ) Photo : Yuzuru SUNADA

 第4ステージは、クライマーであるアンディやフランクが得意としていた山岳ステージではなく、むしろスプリンター向きのド平坦ステージである。カテゴリー山岳は残り37km地点に4級が1ヶ所設定されているのみだ。この日の逃げはギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)のたった1人のみだった。今大会が始まる前から、ワンティは毎日逃げに選手を送ることを目標に掲げており、ここまでは宣言通りの展開となっている。単独の逃げにもかかわらず、平均時速40kmを越えていた。

 最大13分程度までタイム差は拡大したものの、集団スプリント勝負に持ち込みたいスプリンターチームが中心となってタイム差をコントロール。終盤に近づくにつれタイム差は縮まっていった。残り50km地点に設定された中間スプリントは、ヴァンケイルスブルクが先頭通過。そしてメイン集団では小競り合いの末、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)が集団の先頭を取った。続く4級山岳も、ヴァンケイルスブルクがリードを保ったまま通過して、いよいよ集団スプリントに向けて集団が動き出した。

カヴェンディッシュと接触

 残り20km地点でメイン集団とのタイム差は30秒まで縮まり、残り16.7km地点でメイン集団に吸収された。ヴァンケイルスブルクは190kmに渡って単独で逃げ続け、この日の敢闘賞を獲得している。スプリンターチームだけでなく、総合エースの危険回避のために動くチームも入り乱れ、集団の巡航速度は一気に時速50km前後までスピードアップした。

 ディメンションデータ、ロット・ソウダルが集団を牽引するなか、残り2kmを切った。狭いコーナーを曲がっていくと、集団前方で大規模な落車が発生した。スプリンター勢の多くは難を逃れた。総合1位のトーマスも落車は免れたものの、足止めを食らってしまった。残り3kmを切ってからの落車の影響による遅れに対しては、救済措置として先頭と同タイム扱いする規定があるため、結果的にはタイムを失わずに済みマイヨジョーヌをキープしている。

 集団が分断され、20数名に絞り込まれた先頭集団では、ディメンションデータが引き続き先頭をキープしながら、残り1kmのフラムルージュを通過した。マイヨヴェールを着るマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)は、その落車の影響のためか先頭集団から遅れてしまう。

 続いて先頭に立ったのは、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)だ。背後にエースのアンドレ・グライペル(ドイツ)を抱えて、最終加速を始めた。残り300mを切ったところで、3番手につけていたアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)が早めにスプリントを開始。この動きにライバルたちも同時に反応して、スプリントバトルが始まった。

サガンと接触し壁際に寄せられるかヴぇンディッシュ Photo : Yuzuru SUNADA

 クリストフが先行する中、デマールの背後をマークしたカヴェンディッシュが壁際を猛加速。ところが、同じようにデマールをマークしていたサガンと接触し、壁に衝突しながら激しく落車してしまった。時速50km以上のスピードが出ていた状況での落車だったため、背後を走っていたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)とベン・スウィフト(イギリス、UAE・チームエミレーツ)も避けきれずに地面に叩きつけられてしまった。

サガン(左)と接触し落車するカヴェンディッシュ Photo : Yuzuru SUNADA
カヴェンディッシュを避けきれず、宙に浮くベン・スウィフト Photo : Yuzuru SUNADA

 残り100mでデマールはクリストフを交わして先頭に立つ。そのまま、サガンとクリストフを振り切った。デマールにとってはツール初勝利であり、グランツール初ステージ優勝となった。さらに、ポイント賞ランキングでもトップに立ちマイヨヴェールも獲得した。

 しかし、カヴェンディッシュは倒れたまま動くことができない。3分近く経ってから、ようやくチームメイトに支えられながらフィニッシュラインを越えた。縫合が必要なほど、指に大きな裂傷を負ったようで、包帯でぐるぐる巻きにされていた。ただ、レース後に報道陣のインタビューを受けたり、幸いなことに、骨や脳へのダメージは少なかったようだ。

 落車を誘発したサガンは、UCIコミッセールの判断により、ツール・ド・フランス失格処分が決まった。当初は、30秒のペナルティ、スプリントポイント50ポイントの剥奪などの処分が検討されていたようだが、最終的にはカヴェンディッシュに大きな怪我を負わせてしまったことが影響して、最も重たい失格が命じられた。

チームメイトに支えながらフィニッシュするカヴェンディッシュ Photo : Yuzuru SUNADA

 UCI規定には、「明確な暴力行為」は失格の対象との記述はある。果たして、故意の進路妨害が「明確な暴力行為」に該当するのか。そもそも、カヴェンディッシュとの接触は故意の進路妨害だったのか。とはいえ、重大な怪我を負わせたことはよろしくないだろう。等々、議論は分かれることだろう。ただ一つ言えることは、翌ステージからサガンの姿を見ることはもうできず、マイヨヴェール6連覇の夢は断たれたということだ。

 後味の悪い結果となった第4ステージだったが、翌第5ステージは1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユの頂上へフィニッシュする。総合エースたちによる最初の山岳バトルが繰り広げられるだろう。

第4ステージ結果
1 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 4時間53分54秒
2 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) +0秒
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +0秒
4 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) +0秒
5 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) +0秒
6 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル) +0秒
7 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +0秒
8 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +0秒
9 ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) +0秒
10 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) +0秒
53 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +0秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 14時間54分25秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +12秒
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +12秒
4 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +16秒
5 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +25秒
6 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +30秒
7 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) +32秒
8 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) +32秒
9 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +33秒
10 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ) +34秒
100 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +3分21秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 124 pts
2 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 81 pts
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 66 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) 3 pts
2 テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) 2 pts
3 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 2 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) 14時間54分50秒
2 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +12秒
3 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム) +13秒

チーム総合
1 チーム スカイ 44時間43分34秒
2 クイックステップフロアーズ +1分1秒
3 モビスター チーム +1分16秒

敢闘賞
ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)

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