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つれづれイタリア~ノ<95>夏の暑さは自転車の天敵 ティラロンゴ選手に聞いたエネルギー消耗や日焼け対策

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 梅雨空が続く日本ですが、南から梅雨明けのお便りが届き始めました。そろそろ夏本番です。梅雨のないヨーロッパはすでに真夏で、今年は猛暑が予想されています。ツール・ド・フランスに参加する選手たちにとっても暑さは超えなければならない酷な試練です。

 運よくヨーロッパの夏はそれほど湿度が高くない。一方、日本は高温多湿の気候。家から一歩を踏み出すと、汗が吹き出ます。条件が少し違いますが、日本の気候に近いシチリア出身のパオロ・ティラロンゴ選手(アスタナ プロチーム)に、スポーツをしながら快適に夏を乗り越えるための質問を投げてみました。休暇中で、快く答えてくれました。嬉しい限りです。誰でもわかる簡単なポイントを6つ教えてくれました。

シチリア出身の大ベテラン、パオロ・ティラロンゴ選手 =ジロ・ディタリア第4ステージ、2017年5月9日 Photo: Yuzuru SUNADA

1.体を暑さに慣れさせる

 プロ選手にとっても暑さは大の天敵です。寒い場所からいきなり熱い場所でレースをすると、体を冷やそうとするメカニズムが一生懸命に汗を出そうとするので、とてつもなくエネルギーを消耗し、パフォーマンスがぐんと落ちます。これを避けるため、プロ選手は常に体を暑さに慣れさせます。サウナはかなり有効的な手段です。

 エアコンの効いた環境で仕事をする人の場合、仕事が終わった後に外で歩くか、まだ涼しい早朝・夕方の時間帯に軽くトレーニングをすればいいです。体が自然に暑さに慣れるはずです。

2.ボトルの中身を凍らす

 レース中はスタッフから冷たいドリンクが入ったボトルが渡されますが、一人で練習をする場合、ボトルは必ず二つ持っていきます。一つの中身を半分凍らせ、もう一本は4分の3を凍らせます。そして家を出るときに水を足します。なるべく冷たいドリンクを飲みたいからです。のどが渇く前に必ず一口を飲んでください。一気に冷たい飲み物を飲むと、お腹を下す場合もあります。練習中に氷の売っている場所さえ押さえれば、氷をボトルに足せば快適に走れます。

3.日焼けから肌を守る

 激しい日焼けからも身を守る必要があります。日焼けをすると、焼いた皮膚から大量の水が蒸発します。レース前は、マッサーが背中にまで日焼けクリームをよく塗ってくれます。私は色黒ですので、spf30で十分ですが、肌の白い人はspf50が好ましい。特に首は入念に塗ってください。スキンヘッドの人は頭のてっぺんまで塗る必要がありますし、通気性の高いヘッドカバーを利用するとベスト。太陽光によって唇も荒れるので敏感な人は、リップクリームも使ってください。口回りも意外と乾燥します。

4.水で体を冷やす

 気温が高くなってきたら、体を濡らしてください。水を飲み切ってから、一つのボトルを、体を冷やすために使ってください。体を濡らすと、水が蒸発している間、体が涼しさを感じます。個人差があると思いますが、私の場合は、首、手首、股間、足を濡らします。カーボンソールのシューズは意外と熱くなります。

ボトルの水で体を冷やすヴィンチェンツォ・ニバリ選手 =ツール・ド・フランス第13ステージ、2014年7月18日 Photo: Yuzuru SUNADA

5.やりすぎないこと

 本当に暑い日は、トレーニングの負荷を減らしたほうがいいと思います。気分的に楽になります。涼しい時期と暑い時期はパフォーマンスが違うので、当然データが違ってきます。

6.エネルギーと水分補給

 体が常に体温を下げようとするため、多くのエネルギーを使います。そして熱くなるにつれて食欲も減ります。そのため、ハンガーノックになる危険性があり、あの独特な眠気が襲います。私たちも無縁ではありません。私はシチリア出身ですので、エネルギー補給に潰したバナナ入りのパニーニやドライフルーツ、ドライイチジク、アーモンドペースト入りのスイーツなどを好んで食べます。なるべく自然の糖分を取り入れ、胃に過度の負担をかけないようにするためです。

 アマチュアレーサーの場合、休憩が取れますので、エイドステーションで提供されているものを好きなように食べてください。消化しにくいチーズやチョコレート、タンパク質を避けてください。トレーニングが終わったら、素早く水分とミネラルを補給してください。スイカやブドウなどのフルーツはかなり有効です。そしてタンパク質も補ってください。タンパク質は壊れた細胞を修理するだけでなく、水を細胞に運んでくれます。一石二鳥です。

補給食を加えながら下るパオロ・ティラロンゴ選手 =ジロ・ディタリア第11ステージ、2017年5月17日 Photo: Yuzuru SUNADA

 冷たいビールも確かにおいしいですが、アルコールは脱水を起こすので逆効果です。それはディナーまで待ってください。

 あ!最後ですが一つ重要なアドバイスをします。トレーニング後、絶対に体重をはからないでください。やせた気になりますが、ほとんど失った水です。すぐに戻りますよ(笑)。

パオロ・ティラロンゴ

1977年生まれ(40歳)。2000年に、ファビアン・カンチェッラーラ、フィリッポ・ポッツァート、アレッサンドロ・ペタッキらが所属したチーム ファッサ・ボルトロにてプロデビュー。2010年にランプレからアスタナに移籍し、アルベルト・コンタドールのアシストとして活躍。現在も親交が続く。2011年、2012年、2015年にジロ・ディタリアでステージ優勝を飾る。コンタドールがアスタナを出てからは、ヴィンチェンツォ・ニバリとファビオ・アルのアシストを務めてきた。今シーズン限りで現役を引退する。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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